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【絵本日記】ありのあーちゃんのお誕生日

その日は、ありのあーちゃんの誕生日だった。
あーちゃんをお祝いしようと、
たくさんのともだちがお家にやってきた。

「あーちゃん、おめでとう!」
「おめでとう!」
「ハッピーバースデー!」

お家の中は、ともだちでいっぱい。
あーちゃんも、たくさんのご飯をつくった。

「モグモグ」
「モグモグ」

たくさんのご飯は、あっという間になくなった。
あーちゃんは、大きなケーキをつくった。

「モグモグ」
「モグモグ」

ケーキも、あっという間になくなった。
しばらくすると、ともだちが言った。

「ボクたち、そろそろおいとまするよ」

みんな、
ケーキのわずかなかけらを持ってかえっていく。

誰もいなくなった、ガランとしたお部屋。
さっきまでワイワイとした空気だけがのこり、
あーちゃんは、とてもさみしくなった。

「みんな、
 あっという間にいなくなっちゃったや」

ふきふき。
ふきふき。

あーちゃんが、お片づけをしていたその時。

ピンポーン

扉をあけるとそこには、
一本のチューリップをかかえた、
ありさん仲間の、あんちゃんが
息をきらしてたっていた。

「あーちゃん、ごめんね。
誕生日パーティーおくれちゃった!
どうしても素敵なお花をプレゼントしたくて。
でも、見つからなくて。だからねだからね!」

あーちゃんは、
あんちゃんをギューっとだきしめた。

「あんちゃん。ありがとう。
 とっても、とってもうれしい」

あーちゃんはなんだか気持ちがキューっとなって
涙がポロポロとこぼれた。

「あーちゃん、お誕生日おめでとう」

あんちゃんは、チューリップといっしょに
あーちゃんをギューっとしかえした。

お部屋に入ると、
あーちゃんは、あったかい紅茶をいれた。
やさしい紅茶の香りが
あーちゃんとあんちゃんをつつむ。

にひきは、いつまでもお話ししつづけた。
夜になり外はまっくらになった。

たのしくって、たのしくって、
気づけばあーちゃんとあんちゃんは、
おしゃべりつかれて、ぐっすりとねむっていた。

あーちゃんの寝顔は、ニコニコ笑顔。
夢の中でも、あんちゃんとおしゃべり。

「あんちゃん、ありがとう」

あーちゃんは、ムニャムニャとそう言った。

あーちゃんのお誕生日。
たくさんのともだちに、
おめでとうと言ってもらえる、うれしい日。

でもほんとうは、一緒にいてくれてありがとうと
気持ちをつたえられる、うれしい日。


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