見出し画像

【英論抄読】瞑想と運動

▼ 文献情報 と 抄録和訳

瞑想と運動の両方による眼窩前頭葉皮質の活性化。近赤外分光法による研究

Miyashiro S, Yamada Y, Muta T, Ishikawa H, Abe T, Hori M, Oka K, Koshikawa F, Ito E. Activation of the orbitofrontal cortex by both meditation and exercise: A near-infrared spectroscopy study. PLoS One. 2021 Feb 23;16(2):e0247685.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景]
マインドフルネスや禅など、ある種の瞑想では呼吸が注目されるのに対し、過剰で短時間の無酸素運動では筋肉が注目されるようになる。このように、どちらの場合も、身体のある特定の部分に注意が集中する。瞑想も運動も、一般的には人間に精神的なリフレッシュを与えてくれる。我々は、ヒトの場合、両方の努力によって同じ脳領域が活性化されると仮定した。

[方法]
この仮説を検証するために、被験者に瞑想、運動、対照の3つの課題を課した。各課題終了後、思考を集中させる2バックテストを行い、同時に近赤外分光法(NIRS)を用いて血中ヘモグロビン濃度の変化をモニターした。参加者は17名(20〜24歳、男性11名、女性6名)。NIRS波動データに高速フーリエ変換(FFT)解析を適用し、一般に精神的リフレッシュに関与する脳部位である眼窩前頭皮質(OFC)と背外側前頭皮質(DLPFC)における(1)瞑想と対照、(2)運動と対照、(3)瞑想と運動のFFTデータの相関係数を計算した。

[結果]
瞑想と運動の解析では、OFCとDLPFCの相関係数に有意差が検出され、信号源解析では、NIRS波が左右のOFC端(=左右のこめかみ)から中心に向かって広がっていることが確認された。

[結論]
この結果から、瞑想と運動のいずれも、情動反応や意欲行動に関与するOFCを活性化し、精神的なリフレッシュをもたらすことが示唆された。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

✅着眼点が非常に面白いと感じた。
個人的な感覚としては、精神的なリフレッシュのために両者を用いる場合には、”使い分け”が重要であると思う。
例えば、何か気が散るような状況や出来事に遭遇した場合、もちろん瞑想が効果的な場合があるが、逆に気が付くとマインドワンダリングな状態になってしまい、落ち込むことがある。そんな場合運動(しかも激しめ)は、いわば”強制的集中モード”にスイッチしてくれ、マインドワンダリングに陥ることも少ないと思われる。
そんな風にして、”瞑想と運動”を上手に使い分けていくことは、日々の生活の中で重要であるし、患者さんや選手を指導する際にも大切な知識であるだろう。

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

#理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #論文 #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #ARI #ミントライム

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

本マガジンを始めた経緯や活用方法はこちら
↓↓↓

医療従事者と研究活動における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥

少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。