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【英論抄読】肩甲胸郭運動における触覚および言語による誘導の効果

▼ 文献情報 と 抄録和訳

肩甲胸郭運動における触覚および言語による誘導の効果-筋電図および運動学的検討

Staker JL, Evans AJ, Jacobs LE, Ebert TP, Fessler NA, Saini G, Ludewig PM. The effect of tactile and verbal guidance during scapulothoracic exercises: An EMG and kinematic investigation. J Electromyogr Kinesiol. 2022 Feb;62:102334.

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DOI, PubMed, Google Scholar

[背景]


肩の痛みに対する治療的介入において、触覚や言語によるガイダンスを通じて筋活動や関節運動を改善することは、一般的ではあるが、研究不足である。本研究の目的は、臨床家による指導が、指導なしの肩関節運動と比較して、肩甲胸部の筋活動および運動学に変化を与えるかどうかを明らかにすることであった。

[方法]


肩の痛みを持つ11人の参加者を調査した。前鋸筋と上下の僧帽筋に筋電図(EMG)センサーを設置した。肩甲胸郭と胸鎖関節の運動特性は電磁センサーで収集した。5つの一般的な抵抗性肩関節運動が、非誘導、複合(言語と触覚の合図)、言語誘導のみの誘導で行われた。一元配置反復測定ANOVAにより、各運動におけるガイダンスと非ガイダンス条件の効果を判定した。

[結果]


10種類のエクササイズとガイダンスの組み合わせのうち9種類で、筋活動または関節運動のいずれかにガイダンスの有意な効果が認められた。すべての変数において、最も頻繁に有意な改善を示したガイダンス条件は、複合条件であった。すべての変数で最も頻繁に有意な改善を示した運動は、外旋運動であった。最も頻繁に改善した変数は、上部:下部僧帽筋筋電図比(最大11%)、胸鎖骨挙上(最大6°)と肩甲胸部内旋位(最大8°)、胸鎖骨後退変位(最大5°)であった。

[結論]


運動中の肩の筋活動および運動学は、触覚および言語による指導によって修正することが可能である。外旋運動時の筋活動の改善のほとんどは、口頭指導によるものであった。外旋運動時の関節の位置と動きの改善のほとんどは、複合的なガイダンスによってもたらされた。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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私たちは自分たちの手、すなわち徒手誘導が一番!と思いたい節がある。もちろん、私も専門職としてそう思いたい。しかし、本当にそうなのだろうか。
こと肩関節周囲筋に対するエクササイズに対しては、徒手と口頭の「複合誘導」が有効であることが分かった。
この結果は当たり前のようで、非常に大切な情報である。
「徒手誘導」に関しては様々な手技があり、飽和状態といっても過言ではない。
でも、「口頭誘導」はどうだろう。少なくとも私はあまり聞いたことがない。また、「イメージキュー」を用いた介入はあるにはあるが、より科学的に、且つ徒手と組み合わせてより効果的な介入をするにはどうすればよいか。考えていこう。

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