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高齢者が週1回、3か月間体操教室に通うと、、、
▼ 文献情報 と 抄録和訳
高齢者における3ヶ月間の運動介入後の前頭前野の可塑性が認知能力の向上に関連すること
Soshi T, Andersson M, Kawagoe T, Nishiguchi S, Yamada M, Otsuka Y, Nakai R, Abe N, Aslah A, Igasaki T, Sekiyama K. Prefrontal Plasticity after a 3-Month Exercise Intervention in Older Adults Relates to Enhanced Cognitive Performance. Cereb Cortex. 2021 Aug 26;31(10):4501-4517.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
✅ 結論
高齢者が週1回、3か月間体操教室に通う(運動介入する)ことで、前頭前野の可塑性を誘導できることが示唆された
[目的]
本研究では、高齢者の脳の構造と機能に対する運動介入の効果を検討した。
[方法]
以前の研究で、3ヶ月の介入後に認知機能の改善が見られた61歳から82歳の健康な成人47人の脳データを分析した。参加者は、12週間の運動トレーニングプログラムを行う運動介入群(週1回、体操教室に通う)(n = 24)と、いかなる運動プログラムも行わない待機対照群(n = 23)に割り付けられた。
[結果]
前頭皮質と海馬の構造解析の結果、介入群では前頭前野のいくつかの領域で灰白質体積および/または厚さが増加し、対照群では海馬の灰白質体積が減少した。重要なことは、介入群における中前頭溝の体積増加は、介入後の全般的な認知機能の改善と関連することであった。機能分析では、ワーキングメモリ課題中の前頭前野の機能的結合が、介入または待機に反応して、両群で異なる変化を示した。介入群では機能的結合が減少したのに対し、対照群では対応する結合が増加し、これは認知能力の維持と関連していた。
[結論]
今回の縦断的知見は、短期間の運動介入により、高齢者の認知能力に関連する前頭前野の可塑性を誘導できることを示すものである。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅たった、週1回、体操教室に通うことで、脳にこれほどの変化が生じることは驚きだ。
個人的に気になったこととして、今回の結論では、『運動習慣』によって前頭前野の可塑性を誘導できるかもしれない、としている。一方で、『社会参加(他者との交流)』という側面で考えてみるとどうだろう。
今回の研究結果から、このような群分けをした追加研究を考えた。
介入群1:週1回、体操教室に通う
介入群2:週1回、リモートで自宅にて運動に参加
対象群
ポイントは、介入群2は他者との交流が少ないこと、である。介入群1と2で、前頭前野の変化に有意な差がないのであれば、運動そのものによる変化である可能性が高まる。介入群1の方が有意な差を生じるのであれば、「運動+他者との交流」によって、前頭前野の可塑性をより誘導できる、といえるかもしれない。
ともかく、個人に合った形で、何かしらの運動をする機会が最低でも週1回ある環境を提供することは、私たちの責務であろう。
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今回の研究は以下のサイトでも紹介されています。
【プレスリリース】短期間の運動習慣が高齢期の認知機能や脳の可塑性を促す -高齢期における前頭前野の柔軟な可塑性- | 日本の研究.com (research-er.jp
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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。
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