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【英論抄読】骨盤底筋を収縮させるための、正しい『手順』とは?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

骨盤底筋を正しく収縮させるために、最も効果的な言葉による指導とは?

Ben Ami N, Dar G. What is the most effective verbal instruction for correctly contracting the pelvic floor muscles? Neurourol Urodyn. 2018 Nov;37(8):2904-2910.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的]
本研究の目的は、経腹超音波検査で骨盤底筋の変位として調べた骨盤底筋(PFM)を正しく収縮させるための4種類の口頭指示の効果を比較することであった。

[方法]
平均年齢24.2±2.5歳の女子理学療法士学部生56名が研究に参加した。6MHz 35mm湾曲リニアアレイ超音波トランスデューサ(Mindray M5)を横平面で下腹部の上に仰臥位で設置し、垂直から15~30°の角度を依存させた。
参加者は無作為に後方群と前方群の2群に分けられた。各グループは、PFMを正しく収縮させる方法について、4種類の口頭指示を受けた。
グループ間で異なる口頭指示は1つだけであった。「肛門を絞る」(後方グループ)と「尿の流れを止める」(前方グループ)である。

[結果]
後方群では27名(90%)が正しい収縮を行ったのに対し、前方群では17名(65%)であり、「肛門」の指示を支持する統計的有意差が示された(P = 0.025)。腹横筋の収縮と呼吸を組み合わせた口頭指導、すなわち「適度に息を吸い、息を吐き、骨盤底を引き寄せ、持ち上げる」指導では、47名(84%)の参加者が下降運動を呈した。

[結論]
理学療法士学生56名において、PFMを正しく収縮させるために最も効果的な口頭指導は、"肛門を絞る "という後方指導であったことが示唆された。また、参加者の大多数(90%)がPFMを正しく収縮させることに成功した。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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以前、骨盤底筋のトレーニングと口頭指示に関する記事を紹介した。

今回紹介した研究は(この研究の方が前に行われた研究だが)、以前紹介した研究を支持する結果となっている。
一つ、解釈に注意が必要なのは、対象者が理学療法士の学生であること。骨盤底筋の解剖学的な知識はあると考えてよいだろう。

▶臨床への示唆
上記の2つの論文から、骨盤底筋を正しく収縮させるための手順は以下のようになるだろう。
①骨盤底筋の解剖学的な知識を教育する
②「肛門を締める」といった口頭指示でトレーニングする
大切なのは、患者さんに骨盤底筋の解剖学的な知識を教育した後に、トレーニングすることだと考えられる。

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医療従事者と研究活動における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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