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誰でもできる「科学的思考」

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震災や感染症などで不安や混乱が取り巻く社会に決まって広がる似非科学、デマ。 SNSが発達した今、あなた自身がデマ拡散に加担しているのかも。 これは、ニセ情報に騙されないハウツーを…
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2023年6月の記事一覧

だましのテクニックとしてのマルチプルアウト

だましのテクニックとしてのマルチプルアウト

マルチプルアウトはマジシャン、心理学者などの他、占い師もよく用いる心理術の一つ。

マルチプルアウト(multiple outcomes)、すなわち「多数の結果」の派生語で、事前に様々な結果や反応に対する対応策を準備しておくことからその名がついています。

例えば、「あなたは最近、大切な何かを失ったように感じます」というようなあいまいな主張を提示し、クライアントの反応を見極める。

主張のあ

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科学は子供の夢の敵なのか?

科学は子供の夢の敵なのか?

その昔、私が学生の頃、早稲田大学・大槻義彦教授のミステリーサークル調査団に加わって渡英したことは、拙ブログでも触れました(「『超常現象体験談』はただのエンタメ:真に受けず、深入りもせず」。

そのころはミステリーサークル(麦が倒れ、麦畑に円形を主体とした幾何学的パターンができる現象)が一種のブームで、UFOの着陸跡だなどと主張する者も。

で、そういったUFO論を後押しする形で当時のTV番組が、

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疑似科学を放置すべきでない理由

疑似科学を放置すべきでない理由

疑似科学は疑似であるがゆえに検討に値しないのか?
「それはあり得ない」で済ませて良いのか?
調べる前に怪しいと切って捨ててよいのか?

それよりは、公平かつ客観的に研究しその成果を公表する、少なくともその方向で努力するというのが、科学者として正しいスタンスであろうと、私は思います(※)。

神経科学者のテレンス・ハインズはその著書”Pseudoscience and the Paranormal”

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科学研究、その立証責任とは?

科学研究、その立証責任とは?

占星術、心霊現象、UFO、クリプトジオロジー、古代宇宙人説といった疑似科学の信奉者は、何を根拠にそれを信じ、またその実在の証拠として何を挙げているか?

それは、写真、映像、目撃証言など多岐にわたります。

例えば、UFO信奉者は、空に浮かぶ未確認の飛行物体の写真を証拠として挙げるでしょう。

この場合彼らの主張はUFOが、本来の単なる「未確認飛行物体」という意味を越え、宇宙人の乗り物としての意味

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太古の地球に宇宙人?

太古の地球に宇宙人?

古代宇宙人説は、太古の時代に地球外生命体が地球を訪れ、人類の文明や技術の発展に重要な役割を果たしたと主張する仮説。

幼いころ本で見て、センセーショナルな挿絵にも突き動かされ、胸をときめかせたことも。

年齢と共に「まさかなぁ」となったのですが、世の中にはこの論を信奉する大人もそれなりにいたみたい。

彼らはエジプトのピラミッドやペルーのナスカの地上絵、そしてそれ以外の数多くの世界中の遺跡や古代の

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ベルギーUFOウェーブの顛末

ベルギーUFOウェーブの顛末

1989年11月29日、ベルギーの国境警備所にいた憲兵隊員が「三つの異常によく光るライトを持ち、非常に低空で飛んでいる物体」を目撃した、と報告。

1990年3月にはベルギー空軍のレーダーに捕捉され、戦闘機出撃騒動にまで発展(発見には至らず)、同年4月には有名な、あの三角形の鮮明な飛行物体像を映した写真も撮られ、社会現象がピークに。

以後1992年まで断続的に目撃情報が報告された一連のUFO騒動

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人の心理を読む植物?

人の心理を読む植物?

クリーヴ・バクスターは、20世紀のアメリカのポリグラフ(ウソ発見器)の技師であり、1960年代に植物にポリグラフを接続した実験を行い、その結果を発表しました。

彼の最も有名な実験は、植物が人間の思考や感情に反応するという結論を引き出したものです。(※)

ドラセナという観葉植物の葉に熱いコーヒーをこぼしてもポリグラフに目立った反応はなかったが、「葉を焼いてしまおう」と思った瞬間、ポリグラフは強い

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