「奇特な病院2」不安に寄り添う科
※連作短編小説ですが、1話でも完結します。
第19外来:不安に寄り添う科(患者 寺田とくと)
私が不安なのは、鍵を失くすことと鍵をかけ忘れること。
それに他にも、もし親が死んだらとか、もし私の大事な誰かが死んだらとか。不安は尽きない。
一つ不安になったら、どんどん不安が膨れ上がる。
それもこれもあるひとが、死んでから不安に思うことが、続いている。
幼い頃の私は悪いことがあっても、これはここが、きっと底辺で、浮き上がるしかないんだと自分に言い聞かせて、私は大丈夫と