「奇特な病院」こんな目にばかり科
※連作短編小説ですが、1話でも完結します。
第32外来:こんな目にばかり科(担当医 宮城達郎)
「不幸の言い訳をする気はないと、強がりを言ってきましたが、次々に降りかかる不幸に、ふと前を向くのがつらくなったのです。つらいと思わないようにしてきたんですよ。こんな目にばかりと思ってしまったら、やりきれないから。頑張っても、頑張っても、報われない苦労の中で生きていく希望を見つけられなくて。ひどく自分が、惨めであると。気づいたんです。すべては優しさから始まったと。祖母の介護、さら