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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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#軍事

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.05.2024

日本語訳この一週間、ロシアはハルキウ州北部ヴォウチャンシクでの攻撃の際、ロシア正規軍とシュトルムZ部隊とともに、ロシア国防省のアフリカ軍団に属する部隊を投入している。

ロシア国防省のアフリカ軍団は2023年12月に登場した部隊で、正規軍の将兵に経験豊富な傭兵が加わって編成されており、その兵力は2,000人を超える。なお、この部隊に加わっている傭兵の多くは、かつてワグネル・グループで任務に就いてい

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 13.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 13.05.2024

日本語訳2024年に入って以降、ロシアが全地形対応車[*注:いわゆるバギー]やオフロード・バイクのような軽車両の使用を増やしている可能性は極めて高く、前線への兵員輸送と、特に夜間におけるウクライナ陣地への攻撃遂行のために用いている。

2023年11月、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、新たに入手した“デザートクロス1000-3”全地形対応車を自ら視察した。なお、この車両は中国製でODES工業

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 09.04.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 09.04.2024

日本語訳2024年3月31日に出回った公開情報の静止画像に、ロシア南部サラトフ州の野外に落着したミサイルの破片が写っていた。当初はウクライナ軍無人航空機と思われるものの一部ではないかと考えられていたが、より詳しく調べた結果、この破片はロシア軍のAS-23a“コディアック”空中発射型巡航ミサイル[*注:Kh-101]の断片である可能性が極めて高いことが明らかになった。

その日の早朝、ウクライナに向

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.03.2024

日本語訳2024年3月20日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、ドニエプル川小艦隊と河船旅団という編制を発表した。ロシア支配下ヘルソン州とウクライナ統治下ヘルソン州を隔てているドニプロ川の水流と島々を確保する任を、この新部隊が負うことになる可能性は高い。現実的な可能性として、ドニエプル川小艦隊はドニエプル部隊集団の隷下に置かれることになる可能性がある。このドニエプル部隊集団は、2024年2月にザ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.03.2024

日本語訳新たに設立されたレニングラード軍管区のルーガで、新設の第44軍団のための募兵広告が出されている。ロシアは、その戦力の大半がウクライナでの作戦に向けられているなか、国内北西部の戦力拡大の取り組みを進めている。

第44軍団のような新設部隊を一度配置した駐留地点に留め置いたままにしておくのか、もしくは、ウクライナにおける戦闘能力を維持するために、そこでの作戦に投入するのかを、ロシアはほぼ間違い

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.03.2024

日本語訳2024年3月20日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、ロシアが2024年に2個軍を新しく編成する予定であることを発表した。これらの戦力は14個師団と16個旅団となる模様だ。この新たな2個軍の兵科・配置場所・編制に関する正確な情報は示されていないが、機械化・機甲・砲兵・兵站等の混成部隊となるとみて、ほぼ間違いないだろう。この新編制が、以前なされた新部隊の発表と、旅団を師団へと拡大する計画

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.03.2024

日本語訳ロシアの軍事ドクトリンは、カモフラージュと欺瞞技術(マスキロフカという名で知られていることが多い)を用いることをかなり重視している。その目的はロシア軍戦力の生存性強化にあり、それに加えて作戦企図の隠蔽にもある。ウクライナ侵略の初期段階においてマスキロフカを効果的に使わなかったことは、ロシア側の作戦面における重要な失策の一つだった。

ロシア黒海艦隊とロシア航空宇宙軍の双方が過去2年間に被っ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 15.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 15.03.2024

日本語訳黒海における一連のロシア軍重要艦艇の喪失を受けて、2024年3月10日にロシア連邦海軍総司令官ニコライ・アナトリエヴィチ・エフメノフ海軍大将が解任され、その後任として北方艦隊司令官アレクサンドル・アレクセーヴィチ・モイセーエフ海軍大将が任命された可能性は極めて高い。

2022年2月以降、2回目となる黒海艦隊司令官の解任のあとにエフメノフ海軍大将は解任され、そして、エフメノフ解任の前にはコ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 14.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 14.03.2024

日本語訳ロシア軍は前線上のいくつかの地区で、攻撃の遂行を継続している。ロシアは現在、アウジーウカ西方とマリインカ西方での作戦に重点を置いている。この二つの町はドネツィク州にある。過去4週間のロシア軍攻撃報告の60%が、これらの攻勢軸からの報告で占められている。

その一方、ウクライナに対するロシア軍地上攻撃の週平均報告数は、2024年2月末以降、13%減少している。なお、2月末時点での週平均は60

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 12.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 12.03.2024

日本語訳2024年3月9日、ウクライナ軍が攻撃のために放った無人航空機が、ロシア領ロストフ州タガンログにあるベリエフTANTK整備工場一帯を襲撃した。タガンログのこの施設は、ロシア空軍のA-50Uメインステイ早期警戒管制機(AEW&C機)を製造・アップグレード・整備・修理する目的で使われている。この施設はまた、ロシアにとって、もっと大きな戦略的重要性を有している。それは、ここで長距離戦略爆撃機や輸

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 10.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 10.03.2024

日本語訳ウクライナが戦線上のいくつかの地区で、防御陣地建設を加速させているのはほぼ確実だ。この種の陣地には、対戦車障害物の“龍の歯”、対戦車壕、歩兵用の塹壕、地雷原、そして防御力が強化された拠点が含まれる。

防衛線を拡張・発展させることによって、ロシア軍の進撃能力、もしくは、ロシア軍が目下、進めている攻勢作戦の一部として、戦術レベルで達成した戦果を拡張する能力は、低下していくだろう。防御陣地を大

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 08.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 08.03.2024

日本語訳モハジェル6はイラン製無人航空機で、ロシアに供与されており、黒海上空とクリミア上空での飛行が目撃されている。モハジェル6は、情報・監視・目標補足・偵察用兵器システムであるが、投下型誘導爆弾を用いた空対地攻撃も行うことができる。

この機の実用行動範囲は、オペレーターによるリアルタイム操縦を維持するために、機体とオペレーターの送受信範囲内に制限されており、おおむね高度1万フィートで200km

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 07.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 07.03.2024

日本語訳ウクライナ東部バフムート市の周辺で支配領域を広げようと、ロシア軍は攻撃を継続して行っている。なお、このバフムートという都市は、2023年5月にロシアが制圧したところだ。ロシア軍はイヴァニウシケという村落の東部地区を占領しようと前進しつつあり、それとあわせて、ボフダニウカに位置するウクライナ軍陣地を攻撃しているところだ。

この攻勢軸におけるロシアの当座の作戦目標が、チャシウ・ヤール占領であ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 06.03.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 06.03.2024

日本語訳2024年3月5日にウクライナの軍情報機関(HUR[ウクライナ国防省情報総局])は、黒海東部のケルチ海峡に近い位置で、ロシアのブイコフ級哨戒艦「セルゲイ・コトフ」を攻撃し、これを撃沈したことを発表した。HURによると、セルゲイ・コトフへの攻撃には、「マグラV5」無人水上艇(USV)が使われたとのことだ。なお、これと同タイプのUSVが、2024年2月14日のロシア軍揚陸艦「ツェーザリ・クニコ

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