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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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#イギリス国防省

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 03.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 03.11.2023

日本語訳:

ここ数週間の作戦行動から、戦争初期以降、ずっと見受けられる傾向がまだ続いていることが分かる。つまり、ほかの条件が同じならば、地上戦のバランスは一般的に防御軍側有利になるという傾向だ。南部において、ウクライナ軍の進撃は、ロシアが念入りに整えた2本の主要防御陣地線の間で、相対的にみて動かないままでいる。一方、ドンバスの都市アウジーウカ周辺では、ロシア軍の大規模攻撃は強固なウクライナ側防衛

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 02.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 02.11.2023

日本語訳:

ここ1週間のウクライナ軍の攻撃によって、ロシアは少なくとも4基の長射程空対地ミサイル(SAM)発射台を失った可能性が高い。2023年10月26日、ロシア・メディアは3基のSA-21[*S-400]発射台がルハンシク地域で破壊されたことを報じた。ウクライナ側情報筋は、クリミアでさらにロシア軍防空能力が失われたことを報告している。

ロシアは長い間、潤沢なハイテク長射程SAMシステムを軍

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 01.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 01.11.2023

日本語訳:

ロシアの片道攻撃用小型無人航空機(OWA UAV)システムであるランセットは、過去12カ月間にロシアがウクライナに投入したもののなかで、最も効果を発揮した新能力の一つになっている可能性が高い。ランセットは敵側支配地域上空で人によって操縦される設計になっており、攻撃目標を特定するまで待機し、特定後、目標に突っ込んでいって爆発する。

ランセットはザラ・エアログループが製造している。ザラ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.10.2023

日本語訳:

ロシアの政府系メディアの報道によると、在ウクライナ・ロシア軍副司令官ミハイル・テプリンスキーが、ロシア軍ドニエプル部隊集団の指揮を自ら引き受けることになった可能性が高い。なお、彼はオレグ・マカレヴィッチ大将に代わって指揮をとることになる。この部隊集団はロシア占領下ヘルソン州を担当しており、そこにはドニプロ川東岸も含まれている。

最近の数週間、この地域での戦闘は激化しており、ウクライ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.10.2023

日本語訳:

2023年10月中旬にロシア連邦教育科学省が大学に対して、ロシア国内の「政治的・経済的・社会的なマイナスの動向」に関してはそれが何であれ、開かれた議論を学術活動の際に行わないよう指示を出したと伝えられている。

この動向は、戦時下ロシアでの情報空間に対するさらなる規制の一つであり、情報空間で政治的テーマに関して開かれた議論を行うことはますます難しくなっている。もっと長い目で見ると、政

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.10.2023

日本語訳:

過去1週間、激しいが決定打の出ない戦闘が、ドネツィク州の都市アウジーウカ周辺で続いている。この地域でロシアは、2023年10月中頃に大規模な攻勢の実施を始めた。

おそらくロシアはこの地区にさまざまな旅団に所属する部隊を投入しており、その旅団数は最大で8個旅団であると考えられる。現在に至るまでの間に、2023年の高いロシア側死傷率の悪影響が一定程度、これらの部隊に及んでいる可能性は高

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.10.2023

日本語訳:

ロシア空軍の長距離航空隊(LRA)の重爆撃機は1カ月以上、ウクライナ領内に向けた空中発射型巡航ミサイル攻撃を実施しておらず、この戦争が始まってから最も長い中断期間になっている。

ロシアには利用可能なほかの攻撃手段があるとはいえ、敵側射程外からの長距離精密攻撃を行うための主たる手段は、これまでLRAであった。減少してしまったAS-23a“コディアック”[*注:Kh-101]巡航ミサイ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.09.2023

日本語訳:

本日、2023年9月21日は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年に「部分動員」を発表してから1年目の日である。この「部分動員」によって、約30万人のロシア予備役兵がウクライナでの軍務のために召集されたものとみられている。

2023年9月15日、ロシア下院国防委員会の委員長で元大将でもあるアンドレイ・カルタポロフは、「特別軍事作戦」が続く限り、動員兵は軍務が義務づけられ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.08.2023

日本語訳:

2023年8月15日、ロシア大統領府第1副長官セルゲイ・キリエンコはロシア占領下ウクライナ東部のドネツィクへ出向き、学校を訪問し、同地の学校がロシアの教育制度に組み込まれているかどうかの確認を行った。

ザポリージャ州の占領統治機関には、教育機関を許認可する際の新基準の導入に関する指示がロシアから与えられた。また、ロシア出身のジャーナリストも、被占領地域にある報道機関で雇用されている

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.08.2023

日本語訳:

ウクライナは戦時下の様々な困難さに直面し続けているが、燃料備蓄増加への取り組みによって、次の冬季を過ごすのに十分な量の燃料備蓄の確保に成功する公算は大きい。

ウクライナは効果的に炭鉱部門を動員し、産出の維持に成功している。その結果、火力発電所と冬季の暖房プラントで使う石炭の継続的な供給は確保され、それに伴い、相当量のガスをさらに備蓄することができている。

この冬もロシアがウクライ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 16.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 16.08.2023

日本語訳:

ロシアがイラン製シャヘド・ドローンを設計のベースとした片道攻撃型無人航空機(OWA-UAV)を自国で製造し、戦争に投入し始めていることはほぼ確実といってよい。なお、ロシア軍は2022年9月からイラン製兵器システムの導入をずっと行ってきた。

国内製造によって、ロシアが今後、OWA-UAVのより安定的な供給を確立できるようになる可能性は高い。この種の兵器は様々な任務を遂行するが、ウクラ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 14.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 14.08.2023

日本語訳:

この1週間、ドニプロ川下流域の河岸沿いで小規模戦闘の増加がみられた。

ウクライナ軍は強襲のため、もしくはロシア側が押さえている東岸の新たな地点で小橋頭堡を築くために動いている。2023年6月以降、破壊されたアントニウシキー大橋周辺で維持している橋頭堡をウクライナ軍は広げているが、この動きはそれに加わるものだ。また、今回の作戦行動の一部が、ロシア軍の局地的な部隊ローテンションに付け込

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 13.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 13.08.2023

日本語訳:

ワグネル・グループは規模縮小と組織再編のプロセスへと向かっている可能性が高いが、それは主に、財務状況が厳しい現在、要員への給与支出を切りつめる必要があるからだ。

2023年6月の失敗に終わった反乱以降、ロシア国家はワグネルのオーナーであるエフゲニー・プリゴジンのビジネス上の利益を封じる動きをとってきた。クレムリンがこのグループへの資金提供をもう行っていない可能性があるというのは、現

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 12.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 12.08.2023

日本語訳:

ロシアは空挺軍(VDV)の部隊を、ヘルソン地方から激しい戦闘が続くザポリージャ州のオリヒウ方面に再配置している可能性が高い。第58諸兵科連合軍(58 CAA)は2023年6月4日以降、ウクライナ軍の集中的な攻撃にさらされ、交戦を続けている。

早くも2023年7月11日の時点で、当時の58 CAA司令官が解任された。自分の部隊には交替が必要だと彼が主張したことが、解任理由の一端となっ

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