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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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2024年1月の記事一覧

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.01.2024

日本語訳

BBCロシア支局の調査によると、ロシア軍は 2023年9月から、短期契約での受刑者の募兵を停止しているとのことだ。現在、受刑者には通常の(つまり、より長期任務の)軍務契約が提示されている。そして、その契約には、少なくとも2022年の部分動員令の解除までの間、軍務に就くことへの同意が含まれている。

受刑者の短期契約は、ロシア国内で一定程度の社会的議論を生み出しており、帰還兵の再犯と、無

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.01.2024

日本語訳

独立系テレグラム報道チャンネル“アストラ”の2024年1月27日付報道によると、ロシア軍航空機が、ベルゴロド地方の2つのロシア村落に、FAB-250無誘導爆弾2発をそれぞれ誤って投下したとのことだ。一つ目の爆弾はポストニコフにある農場に落ちた。一方で、二つ目はストレレツコエ村の街路上に落ち、その半径500m以内にいた150人に至る人数の民間人に避難が求められた。

今回の件によって、自

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.01.2024

日本語訳

2022年2月24日から2024年1月25日までの期間に、ロシア地上軍(RGF)は主力戦車(MBT)を2,600両ほど、そのほかの戦闘装甲車両(ACV)を4,900両ほど失った可能性が大きい。RGFの2023年の車両損失は、2022年のそれの約40%減になったものと思われる。装甲車両損耗率の減少の理由が、2023年の戦いがますます陣地戦的様相を帯びてきたことと、2023年のかなりの期間

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.01.2024

日本語訳

2024年1月22日にロシア当局は、2022年2月にこの戦いが始まってから、軍の募兵事務所に対する攻撃が220回あったことを報告した。報道メディアのメディアゾナが報じた当局とは別の統計によると、2023年7月26日以降の募兵事務所への攻撃は記録上、 113回にのぼるとのことだ。総合的にみて、これらの統計数字は、直近の6カ月間で募兵事務所に対する放火攻撃が倍増したことを示している。

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.01.2024

日本語訳

ロシアは複数の軸線上でのー攻勢を続けており、その動向はドンバス占領というロシアの戦略目標に沿ったものだ。ロシア軍は2024年1月21日にハルキウ州クロフマルネという小村落を、2024年1月18日にバフムート近郊のヴェセレという小村落を占領しているが、これらの戦果に戦略的意味はない。戦前のヴェセレの人口は102人で、クロフマルネのそれは45人だ。このことは、ウクライナがアクティブ・ディフ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.01.2024

日本語訳

2024年1月25日、ロシアの裁判所は、元軍事ブロガーで連邦保安庁元将校のイーゴリ・ギルキンに対して、4年の懲役刑を言い渡した。その罪状は、ウクライナでの戦争を批判するために「過激な活動を公然と煽った」ことにあるとのことだ。

ギルキンは2014年にドネツィクの分離主義者勢力側で戦い、短い間ではあるが、ドネツィク人民共和国国防大臣の地位にあった。2022年、彼はウクライナ侵略を支持する

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.01.2024

日本語訳

ここ最近の数カ月間、ロシア各地の16の地区で暖房システムの故障が生じている。氷点下の気温のなかで起きたこれらの故障は、数十年もの間、ロシアの各都市に蔓延ってきた以前からの問題が大きくなったものだが、ロシアの戦時政策によって、その深刻さが増しつつある可能性は高い。

ロシアは公共インフラ施設へ資金を再投入するよりも、軍事支出を優先することが常であり、このことは2022年のウクライナ侵略以

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.01.2024

日本語訳

2024年1月22日、ロシア連邦ドゥーマ、つまり連邦下院は、ロシア軍と「特別軍事作戦」を公に批判したロシア人の不動産も含む金融資産を押収する法案の審議を行った。何人かのロシアの著名作家と一人の音楽家が、ここ最近の数カ月間に、戦争批判の罪で有罪宣告されている。

2022年7月、ロシアのプーチン大統領は2012年版「外国の代理人法」の改正を承認した。この改正法は、2022年12月1日に施

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.01.2024

日本語訳

2023年12月のウクライナ諸港からの農業生産物輸出は、ロシアによる侵攻開始以来、最も多くなった。このことが、黒海に面するウクライナ側主要港の再開と、ウクライナ側による一方的な海運輸出航路の確立に起因しているのはほぼ確実である。そして、この輸出量は、国連とトルコが仲介した黒海穀物イニシアティヴが有効だった期間の月あたりの実績を上回っている。なお、黒海穀物イニシアティヴは、ロシア側の査察

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.01.2024

日本語訳

2024年1月19日のウクライナ軍参謀本部の報告によると、前線でのロシア軍の攻撃は前日よりも27%増加したとのことで、それには81回の空爆と45回の多連装ロケット砲攻撃が含まれていたとのことだ。

2024年1月14日から18日の期間とその前の5日間を比較したウクライナ軍参謀本部の追加データが、ロシア軍の攻撃急増を裏付けている。14〜18日の5日間、ロシア側軍用車両損失数は88%増加し

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.01.2024

日本語訳

ウクライナはドニプロ川左岸[東岸]に展開させた軍事力を維持しており、兵站上の懸念を抱えているにも関わらず、ロシア軍の攻撃を撃退し続けている。2024年1月16日にウクライナの南部防衛軍報道官は、ドニプロ川左岸での補給物資の物流が、困難に直面していたことを述べている。

ロシアのドニエプル部隊集団は、この作戦方面の戦力バランスの点でほぼ確実に大きく優位に立っているにも関わらず、ウクライナ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.01.2024

日本語訳

⚪︎2024年1月14日に既に報じられているように、1機のロシア軍A-50“メインステイ”が爆発し、その後、アゾフ海に墜落したことはほぼ確実である。A-50メインステイはウクライナ上空でのロシア軍の任務遂行を支える主要な役割を担っており、脅威に対する早期警戒とともに指揮統制の役割も果たしている。

2024年1月17日にロシア空軍は、別のA-50メインステイを1機、作戦任務に投入した模

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.01.2024

日本語訳:

ロシア中央銀行は金利を1%引き上げ、新たな基準金利は16%になった。2023年7月に現在の利上げサイクルが始まってから、今回で5回目の引き上げとなる。なお、2023年7月時点の基準金利は、6.5%だった。

今回の引き上げ幅はこれまでのものよりも低い。ロシアのインフレ率は2023年末に向かうにつれて、加速的に上昇し続け、11月には前年同期比で7.5%に至った。この数字は10月時点の6

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.01.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.01.2024

日本語訳:

2024年1月14日、ロシア軍の早期警戒管制機A-50“メインステイ”1機がほぼ間違いなく爆発し、その結果としてアゾフ海西部に墜落した。同時間帯に、ロシア軍の航空機IL-22M“クートB”1機が損傷を被ったことが伝えられている。だが、この機体は近くのロシア側空港に着陸できたとのことだ。2024年1月15日現在、ウクライナ軍総司令官ヴァレリー・ザルジュニー将軍は、A-50を撃墜し、クー

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