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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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2023年11月の記事一覧

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.11.2023

日本語訳:

ロシア空挺軍、いわゆるVDVが、新しく編成した第104親衛空挺師団(第104 GAD)をウクライナに初めて配置し始めている可能性は高い。この師団はおそらくヘルソン州に集結しつつある。

2023年8月、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が第104 GADを再び編成する計画を発表した。この部隊は以前の1998年、より小型の旅団規模部隊に縮小されていた。第104 GAD隷下部隊に第337連

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.11.2023

日本語訳:

2023年11月を通して、ロシア空軍が500kgクラスター弾頭爆弾RBK-500を、今までよりも頻繁に用い始めている可能性は高い。派生型によってまちまちであるが、1発のRBK-500はおよそ100から300個の子爆弾を放出する。そして、一般的に1発の子爆弾は、爆発して数百の破片を高速でばら撒くか、単発だがより威力の大きな対戦車弾薬として爆発する。

RBK-500がヴフレダル作戦軸と

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.11.2023

日本語訳:

ここ最近の数日間にロシア軍は、ドンバスの都市アウジーウカを両翼から包囲する企図の片方である北翼攻勢軸上で、わずかな前進をさらに重ねている。

2023年10月に入ってから、ロシア軍はこの地域において最大で2km分、前線を押し上げている。控えめな成果ではあるけれども、この進撃が2023年春以降で最大のロシア側戦果の一つになっている可能性は高い。なお、この進撃によって、投入部隊は数千人の

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.11.2023

日本語訳:

2023年11月を通してロシア側は、ウクライナ軍参謀本部の報告によれば、平均して1日あたり931人の死傷者を出している。

以前に報告されたなかで、ロシア側の犠牲が最も多かった月は2023年3月であり、ロシアのバフムート強襲攻撃がピークに達するなか、平均すると1日あたり776人の損失を出していた。

英国・国防情報部はその統計方法が適切かどうか判断できないけれども、戦死と負傷の双方の

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.11.2023

日本語訳:

2023年11月を通して例外的なロシアの航空輸送があったが、それは、ロシアが戦略防空システムを、ウクライナ戦線での最近の損失を埋め合わせようと、バルト海に面した飛地であるカリーニングラードから移動させている可能性が高いことを示唆している。

この動向は、2023年10月末にロシア占領下のウクライナでのSA-21[S-400]防空システムの損失が増加したことに続く動きだ。

ロシアの最

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.11.2023

日本語訳:

ロシア黒海艦隊(BSF)が巡航ミサイルを艦艇に再搭載する目的でノヴォロシースク基地を利用できるかどうかが、艦隊の効果的運用の面で、かなり重要な要素になる可能性は高い。

これまでBSFは、クリミアのセヴァストポリで巡航ミサイルの再搭載を行ってきた。ウクライナの長距離火力打撃によって、ここの施設の危険性がますます高まるなか、ロシアがノヴォロシースクを最適な代替地とみなすようになる可能性

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【和訳】 英国国防省 ウクライナ情報 24.11.2023

【和訳】 英国国防省 ウクライナ情報 24.11.2023

日本語訳:

ウクライナに展開しているロシア軍は、ウクライナ軍の長射程精密火力打撃によって、最前線から十分後方にある地点でかなり多くの死傷者を出し続けている。2023年11月10日、最前線から23km離れた場所にあるヘルソン州のフラドキウカという村落で、トラック隊列が攻撃され、おそらく70人を超えるロシア軍将兵が死亡した模様だ。

それに続いて2023年11月19日には、ロシア側支配地域の内側60

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.11.2023

日本語訳:

⚪︎2023年11月14日、元ワグネル戦闘要員の一部グループに公式の退役兵身分証明書が発行された。この出来事は、元ワグネル戦闘要員が公式に退役兵として認められた初めての事例である。

ロシア国防省は新しい制度を導入しており、その制度のもとで、元ワグネル戦闘要員は退役兵身分証明書と相応の支給金を受け取ることができるようになっている。なお、ワグネル・グループは最近、ロシア国家親衛隊(ロス

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.11.2023

日本語訳:

ウクライナ南部において、クリンキという村落辺りでの戦闘が続いており、そこでウクライナ軍海兵隊はドニプロ川東岸における橋頭堡を維持している。

地上戦闘の特徴は、樹木の多い複雑な地形における降車歩兵による混沌とした戦闘であり、また、その地における砲撃の応酬である。ウクライナは小型無人航空機をとりわけ効果的に用いており、一方でロシア空軍は地上部隊を支援するために出撃回数を大幅に増やしてお

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.11.2023

日本語訳:

2023年11月18日から19日の間にロシアは、約50機のイラン設計の片道攻撃型無人航空機シャヘドを、主にキーウに向けて発射した。この攻撃は2方向からそれぞれ次々と発射された。一つはクルスクから東部へと、もう一つはクラスノダールから南東部へと発射された。

ロシアの目標の一つが、ウクライナのエネルギー・インフラへの冬季統合攻撃作戦に先立って、戦場の形成を進めるために、ウクライナ防空能

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.11.2023

日本語訳:

2023年11月7日、戦場に送られているロシア兵の妻たちが、ウクライナ侵略開始以降おそらく初のこととなるモスクワでの街頭デモ活動を行った。デモ参加者は中心部にある劇場広場に集まり、自分たちのパートナーが前線から離れたところと前線との間でのローテーションができるように求める横断幕を広げた。

2022年2月以降、ロシア人の妻や母親たちが最愛の夫や息子たちの従軍環境に関して、ウェブ上で抗

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.11.2023

日本語訳:

ロシアが、ソヴィエト時代のM-55「ミスティックB」高高度偵察機を実任務に復帰させることを検討している可能性は高い。7万フィートを超える巡航高度をもつこの機体は、地球科学分野の調査プラットフォームとして最近、運用されている。その一方で、この機体がロシア軍用機での運用を目的に開発された軍用偵察ポッドを装備している模様が目撃されている。

ロシアの物資調達戦略における重大な欠陥は、適切な

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.11.2023

日本語訳:

ここ1週間で極めて激しい地上戦闘が起きていたのは次の3つの地区で、それはルハンシク州のクプヤンシク攻勢軸、ドネツィク州アウジーウカ方面、そしてヘルソン州ドニプロ川東岸だ。なお、ドニプロ川東岸においてウクライナ軍は橋頭堡を確立している。

上記3地区のいずれの場所でも、両軍に実質的な進展はみられない。アウジーウカ方面でロシア軍は、とりわけ甚大な人的損耗に苦しみ続けている。観察された情報

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.11.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.11.2023

日本語訳:

初めてのことになるが、ロシアがA-50“メインステイ”D早期警戒管制機を投入し始めている可能性は高く、その目的は、SA-21[S-400]長射程地上発射型防空ミサイル・システムのために、ウクライナ上空の攻撃目標を特定することにある。この任務は、メインステイの中心任務である戦闘機の統制に加わるものだ。

通常用いられるSA-21用の地上設置レーダーと比べ、メインステイは自機のレーダーを

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