マガジンのカバー画像

【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

300
英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
運営しているクリエイター

2023年9月の記事一覧

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.09.2023

日本語訳:

2023年9月29日にロシア当局は、プーチン大統領がワグネル・グループの元参謀長アンドレイ・トロシェフと会談する動画を公開した。そこでトロシェフは、新たな「志願兵戦闘部隊」の設立と監督の任を授けられた。国防次官のユヌス=ベク・エフクロフもこの会談に加わっていた。

2023年6月の反乱が起きた頃、トロシェフは正規の保安部隊内のある役割を引き受けていた。トロシェフは、おそらくほかのワグ

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.09.2023

日本語訳:

民間軍事会社(PMC)ワグネル・グループの元戦闘要員のなかの最大で数百名ほどの人々が、ここ最近の数週間、個人もしくは少人数のグループでウクライナに再度送られている可能性が高く、さまざまな新ロシア派部隊の一員として戦闘に従事している。

ワグネルは2023年6月上旬までにウクライナでの戦闘から手を引き、その後の2023年6月24日に失敗に終わった武装蜂起を行った。さらに2023年8月2

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.09.2023

日本語訳:

ロシア航空宇宙軍(VKS)は2022年2月以降、およそ90機の固定翼機を喪失している。VKSはまた、いくつかの種類の戦闘用航空機を平時よりも集中的に飛ばしている。

あらゆる航空機には規定の耐用期間というものがあり、それは飛行時間で示される。この戦時下で航空機が通常以上に使われていることで、ロシアがVKSの想定以上に早く、機体の残存耐用期間の多くを食い尽くしつつある可能性は極めて高い

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.09.2023

日本語訳:

2023年9月の中頃から、ロシアは新設の第25諸兵科連合軍(25 CAA)隷下部隊を初めて実戦に投入している可能性が極めて高い。この新編制部隊は、2023年8月末からウクライナ国内へと移動し始めた。

報告によると、25 CAAの機動戦力を成す第67自動車化狙撃師団と第164独立自動車化狙撃旅団に属する諸部隊が、ドネツィク・ルハンシク州境沿いに位置するシェヴェロドネツィク及びクレミン

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.09.2023

日本語訳:

ここ数週間、ロシア黒海艦隊(BSF)は一連の大規模攻撃による損害を被り続けており、その頂点が2023年9月20日と22日のBSF司令部への攻撃である。今回の一連の攻撃は、この戦争における今までの攻撃と比べて、より与えた損害が大きく、より協同がとれた攻撃になっている。

BSFに与えた物理的な損害が深刻なものであるのはほぼ確実であるが、それはまた局地的なものでもある。同艦隊が巡航ミサイ

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.09.2023

日本語訳:

ロシア軍はここ1週間ずっと、オリヒウ地区とバフムート地区の両方で進撃するウクライナ軍に対して、局地的な反撃を実施しようと精力的に取り組んでいる。両方の地区でウクライナ軍は、ロシア軍の攻撃を撃退しており、最近解放した地域の拠点も維持している。

ロシア軍関係者が投稿したコメントには、これらの反撃、特にバフムート地区での反撃に関わった人々の中からの大きな失望感が示されており、そこには、「

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.09.2023

日本語訳:

ロシアの消費者がここ数週間、国内におけるディーゼル油とガソリンの不足に直面している可能性は極めて高い。この不足の理由が、戦争に直接関係している可能性は低い。おそらく、農業部門での短期的な需要増加、例年夏季になされる石油精製所の整備、輸出に魅力的な価格といったさまざまな要因が引き金となり、不足が生じているのだろう。

2023年9月21日、ロシアは国内市場を安定させる目的で、ほぼすべて

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.09.2023

日本語訳:

2022年2月以降、最も名声のある空挺連隊の一つの指揮官が、3人連続で辞任もしくは戦死している。

第247親衛空中強襲連隊の連隊長であったヴァシーリー・ポポフ大佐は、2023年9月上旬に激戦地のオリヒウ地区で戦死した可能性が高い。そのたった数週間前ことだが、2023年8月に前任者のピョートル・ポポフ大佐が連隊長の地位を退いたものと思われる。ロシア独立系メディアの情報の主張によると、

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.09.2023

日本語訳:

ここ直近の4日間、ロシア・ウクライナ双方ともに、戦線後方の自国奥深くに対する、例のないほどの激しい攻撃にさらされている。クリミア、クラスノダール地方、モスクワ周辺に位置する兵站拠点や空軍基地、そして指揮所での爆発が複数報じられている。

ロシア黒海艦隊が再び攻撃目標として重視されている可能性は極めて高い。だが、モスクワ付近にあるチカロフスキー空軍基地での爆発は、ロシア指導部にとって戦

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.09.2023

日本語訳:

本日、2023年9月21日は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年に「部分動員」を発表してから1年目の日である。この「部分動員」によって、約30万人のロシア予備役兵がウクライナでの軍務のために召集されたものとみられている。

2023年9月15日、ロシア下院国防委員会の委員長で元大将でもあるアンドレイ・カルタポロフは、「特別軍事作戦」が続く限り、動員兵は軍務が義務づけられ

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.09.2023

日本語訳:

2023年9月15日、ウクライナ軍はクリシチーウカとアンドリーウカという村落を制圧し、以降、この両村を確保し続けている。なお、この2つの村は、ドネツィク州の都市バフムート南方約8kmに位置している。

この戦術的成果の結果、ウクライナ軍はT05-13道路に接近することができている。この道路は、南からバフムート市内へと流れる主要補給ルートの一つだ。だが、クリシチーウカとT05-13道路

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.09.2023

日本語訳:

2023年9月の初めから半ばまでの間、激しい戦闘がヘルソン州ドニプロ川下流域の中州周辺で続いている。この島々のあたりが現在、最前線になっている。

両陣営ともに中州と対岸に対して小型ボートに乗り込んだ小部隊による襲撃を仕掛けている。この地区の担当が新設の第40軍団になって以降、ここでのロシア側の作戦が活発化している可能性があり、その可能性は現実的にみえる。

投入されている兵力数は他

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.09.2023

日本語訳:

ここ最近の2週間、ロシアはザポリージャ州オリヒウ攻勢軸上に新たにVDV[*注:ロシア空挺軍]所属の空挺部隊を投入して、苦境に陥っている第58諸兵科連合軍をさらに増強している可能性が高い。

第7師団と第76師団から投じられた連隊は少なくとも5個あり、これらの連隊は現在、最前線になっているロボティネという村落から数km範囲内に集結している可能性が高い。完全戦力の場合、これらの戦力はおよ

もっとみる
【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.09.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 17.09.2023

日本語訳:

ここ数日間、ロシア軍がウクライナ南部に位置する同軍占領下の都市トクマクの防衛態勢を強化している可能性は高い。なお、この都市は現在の前線から約16km後方にある。

ロシアはこの地域に追加の検問所と「ヘッジホッグ」対戦車障害物を設置し、新たな塹壕を構築している可能性が高い。また、この地域を保持しているのは、第58諸兵科連合軍である。

トクマクをロシア軍第2主要防衛線の要にする準備が進

もっとみる