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【和訳その他】戦争・軍事・安全保障

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戦争・軍事・安全保障に関する各種英文情報の日本語訳や紹介、内容要約
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2023年4月の記事一覧

【論考紹介】 “ウクライナの一番長い日:予期される反攻の最初の24時間は、間違いなく決定的な時間になるだろう” (Ukraine’s Longest Day: The first 24 hours of the expected counteroffensive will likely be decisive., by Franz-Stefan Gady, Foreign Policy, 18.04.2023)

【論考紹介】 “ウクライナの一番長い日:予期される反攻の最初の24時間は、間違いなく決定的な時間になるだろう” (Ukraine’s Longest Day: The first 24 hours of the expected counteroffensive will likely be decisive., by Franz-Stefan Gady, Foreign Policy, 18.04.2023)

ウクライナの反攻が予期されているが、1944年、ノルマンディに連合軍が上陸する前、ドイツのロンメル元帥が述べたように、勝負を決めるのは最初の24時間であり、そのため、攻勢初日はウクライナ軍の“一番長い日”になるだろう。

ウクライナの反攻作戦については、時期や場所、兵力といったことがよく議論されるが、そのようなことを知り得るのはウクライナ指導部のごく一部の人間のみであって、ここ数カ月間で私たちが知

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【Twitter スレッド翻訳】 ロシア軍の防御陣地について(@Tatarigami_UA氏)

【Twitter スレッド翻訳】 ロシア軍の防御陣地について(@Tatarigami_UA氏)

ウクライナ軍の反転攻勢に関する議論が続くことに関連して、戦線沿いに、とりわけ南部の戦線沿いに設けられたロシアの多層的構造をもつ防御システムを理解しておくことは極めて重要だ。この種の防衛線は複数の障害要素で構成されており、今後、ウクライナ軍はそれに直面することになる。

その実態をより明確に描き出すための一助として、2023年2月以降の衛星画像を用いて、ザポリージャ州ヴァシリウカ南方地区にある敵の強

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【Twitter スレッド和訳】 ロシア軍“Storm Z”部隊について(@Tatarigami_UA氏)

【Twitter スレッド和訳】 ロシア軍“Storm Z”部隊について(@Tatarigami_UA氏)

私は「第8軍のZ突進部隊[Storm Z]に関する規定」と題されたロシア軍文書を入手した。この文書は“Storm Z”部隊の目的・組織・兵站面での必要物に関する概要を示したものだ。その内容を分析したのち、重要点をまとめてみた。

この文書によると、“Storm Z”中隊は、独立して統合された戦術規模の諸兵科連合中隊として定義されており、通常の軍団部隊編制とは別枠で一時的に設立され、特に複雑な戦闘任

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【論考紹介】 “なぜ中立政策は21世紀において時代遅れになっているのか” (Why Neutrality Is Obsolete in the 21st Century, by Franz-Stefan Gady, FP, 04.04.2023)

【論考紹介】 “なぜ中立政策は21世紀において時代遅れになっているのか” (Why Neutrality Is Obsolete in the 21st Century, by Franz-Stefan Gady, FP, 04.04.2023)

フォーリン・ポリシーに寄稿した最新の分析において、私は次のことを論じている。外交と軍事の両側面からみて、オーストリア・アイルランド・マルタの各政府が中立政策を維持している状況はその意味を失っており、今後の国家安全保障を危険にさらすことにもなり得る。

中立の維持は二つの主たる理由によって、以前よりも困難になっていく。第一に、欧州の中立国家の存在は、冷戦期においては東側と西側双方の目的に適っていたが

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【Twitterスレッド和訳】 “ウクライナ戦況考察” (@KofmanMichael氏 | 2143 JST 04.04.2023)

【Twitterスレッド和訳】 “ウクライナ戦況考察” (@KofmanMichael氏 | 2143 JST 04.04.2023)

現在の戦争の動向、ロシア軍冬季攻勢、バフムート戦、現在のこの段階が今後の数カ月間に及ぼす影響の程度、それらに関する幾つかの考察。また、以下のWOTRポッドキャストもチェックしてください。今回のテーマの一部に触れています。

ドンバスでのロシア軍攻勢は未だ終わってはいないが、作戦のペースと烈度の点で弱まりつつある。成果はほとんどなく、ロシア軍はウクライナ軍攻勢を予期して、おそらく防御態勢へと移行する

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【論考紹介】 “短期戦への米国の強い拘りが抱える危険性” (America's Dangerous Short War Fixation, by Raphael S. Cohen & Gian Gentile, The RAND Blog, 31.03.2023)

【論考紹介】 “短期戦への米国の強い拘りが抱える危険性” (America's Dangerous Short War Fixation, by Raphael S. Cohen & Gian Gentile, The RAND Blog, 31.03.2023)

米国は短期戦で戦争を終わらせることに強い拘りをみせるが、戦争というものは、米国の歴史をみても、長期化する場合が多い。

戦争が長期化する理由の一つに、“サンクコスト(埋没費用)誤謬”がある。

つまり、軍事的合理性の観点からは、ある時点で戦争をやめることが適切な場合でも、これまでに投じたコスト(払ってきた犠牲)を考え、さらに戦争をエスカレートさせてしまうということだ。とりわけ政治指導者は、権力喪失

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【論考紹介】 “ウクライナの消耗戦略” (Ukraine’s Strategy of Attrition, by Franz-Stefan Gady & Michael Kofuna, Survival, 28.03.2023)

【論考紹介】 “ウクライナの消耗戦略” (Ukraine’s Strategy of Attrition, by Franz-Stefan Gady & Michael Kofuna, Survival, 28.03.2023)

この戦争の特徴は「消耗戦」にあり、機動戦が生起した場面も消耗の結果だ。

例えば、昨年のウクライナ軍によるハルキウ攻勢は機動戦的展開(10日足らずで6,000平方kmを超える領土を奪還し、ロシア軍は潰走した)になったが、これも消耗戦の結果である。

昨年春以降のロシア軍ドンバス攻勢の結果、ロシア軍は相対的に甚大な損失を被り、さらにヘルソン地区(ドニプロ右岸)に戦力を再配置した結果、ハルキウ方面の戦

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【Twitter スレッド和訳】 ウクライナ軍の制度的課題 Part 2 (@Tatarigami_UA氏)

【Twitter スレッド和訳】 ウクライナ軍の制度的課題 Part 2 (@Tatarigami_UA氏)

私が確信していることは、NATOと米国はウクライナでロシアを止めることに関して、完全に関与していないということだ。とはいえ、私たち自身の軍内部にも注意を要する領域が存在する。パート1で論じたように、グレン・グラントの論考を参照して、これらの問題を取りあげていくつもりだ。

グレンの提案によると、前線任務の遂行に相応しくないすべての軍人を、それと同等かより優れた関連技能をもつ民間人に置きかえる施策を

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