【Twitter スレッド翻訳】 ロシア軍の防御陣地について(@Tatarigami_UA氏)
ウクライナ軍の反転攻勢に関する議論が続くことに関連して、戦線沿いに、とりわけ南部の戦線沿いに設けられたロシアの多層的構造をもつ防御システムを理解しておくことは極めて重要だ。この種の防衛線は複数の障害要素で構成されており、今後、ウクライナ軍はそれに直面することになる。
その実態をより明確に描き出すための一助として、2023年2月以降の衛星画像を用いて、ザポリージャ州ヴァシリウカ南方地区にある敵の強化防御陣地帯を分析していくつもりだ。撮影後、ある程度の変化はあるが、防衛網に関する一般的な設計概念は変わっていない。
ロシア軍多層防衛線の主な特徴の一つに、有名な“龍の歯”がある。これはピラミッド型の対戦車障害物で、機械化もしくは自動車化部隊の攻撃を効果的に阻止できるし、そうでなくとも動きを遅滞させることができる。この種の障害物は、その他の防御上措置と組み合わせることで、とりわけ効果を発揮する。
龍の歯の前後の地域に相当数の地雷が埋設されているのはよくあることで、この防衛線上のある地区においても例外ではない。
その後方に続く防衛線は、龍の歯から大体300〜500mほど離れた場所にあって、昔からある塹壕、掩蔽壕、車両防御壕によって構成されており、装甲車両は「ハルダウン」モード[*注: 砲塔部だけ地表に出している状態]で待機することで保護されている。
弾薬・監視哨・対戦車ミサイル運用チームをカモフラージュするために樹木境界線を利用することはよくみられる。このような場所において、MT-12ラピーラのような旧式対戦車兵器の存在が確認できる可能性もありうる。
さらに500mほど下がった位置で、新たな防衛線が始まり、それには対戦車壕が含まれる。このように地面を掘ってつくった堀状のものは、攻撃を仕掛けてくる車両をそこに落とし、動けなくすることで、攻撃側車両の前進を阻止すること意図して設けられている。
これらの各種障害を乗り越えることは間違いなく実行可能ではあり、ウクライナ軍のもつ能力のなかで対応できるが、この要塞化された防御網は頑強で、攻撃部隊の機動力を著しく阻害する可能性を持っていることを認識しておくことは大切だ。
これまで衛星画像上でみてきた多層防衛線を一つの層としてみた場合、重要な点として、ロシアが同一地域に複数層、構えていることに注意しておく必要があり、ある方向では3層も存在し、各層は数十km離れている。
航空戦力によって、これらの防衛網を無力化することは可能だ。しかし、十分な機数の新鋭ジェット機を投入できないということが、航空戦力による無力化を難しくしている。
このような防御網を切り裂くことに成功できたならば、研究者や歴史家にとっての価値ある事例研究として役立てるだろうし、有効な軍事術の提示にもなるだろう。
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