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【Twitter スレッド和訳】 ウクライナ軍の制度的課題 Part 2 (@Tatarigami_UA氏)

以下の文章は、上述のツイッター投稿(スレッド)の日本語への翻訳になります。

私が確信していることは、NATOと米国はウクライナでロシアを止めることに関して、完全に関与していないということだ。とはいえ、私たち自身の軍内部にも注意を要する領域が存在する。パート1で論じたように、グレン・グラントの論考を参照して、これらの問題を取りあげていくつもりだ。

グレンの提案によると、前線任務の遂行に相応しくないすべての軍人を、それと同等かより優れた関連技能をもつ民間人に置きかえる施策を、優先して実行すべきということだ。さらに、地域防衛隊(TrO)の志願兵の登用も考慮に入れるべきである。

能力や成果ではなく、縁故やコネで指揮官が選ばれてきたという事例がいくつか存在している。これは懸念される課題であって、最も有能な人々が指揮官の地位に任命されることを確実にするために、急ぎ取り組む必要のある課題だ。

昇進する可能性のある指揮官を見極める作業を合理化する施策、そして、それと並行して指揮官に不向きな人材を見極める施策、これらの確立は急を要する。

急ぎ取り掛かる必要のある基本的な分野として、集団的な訓練がある。将兵の技能を向上させ、将兵が一つのチームとして効果的に機能できることを確かにするには、部隊として集合的な訓練を受けることが必要不可欠だ。

NATO加盟国のなかでも規模の大きな国では、集合的訓練は通常、大隊規模と旅団規模で実施されており、大掛かりな訓練の期間では師団規模で実施されることさえある。前線から学んだ教訓は、訓練内容向上のため、あらゆる兵士と教官に手渡されるべきだ。

J7(訓練担当)参謀長のような地位に就いた参謀は、訓練要件に関して指揮決定をすべきではない。任務を指揮するために任命されたのは指揮官だけであるべきで、任務に沿った部隊の編成と訓練の指揮も、任命された指揮官のみが行うべきことだ。

ウクライナ軍全体で標準化が欠如しているのは、由々しき問題であり、それが任務遂行の成功を阻害している。ソヴィエト式体制・NATO標準・即興的行動の混在は、カオスを生んでいる。統一された制度の確立が本質的に重要だ。

防衛に必要な兵器の生産をウクロボロンプロムに依存している状況は、専売という結果を招き、戦争に申し分なく適しているわけではない。このことは、必要な兵器・装備の提供が遅れていることから分かる。

軍の医療体制が主たる弱点になっている。戦場での手当てに関する兵士の訓練が整えられていないこと、重傷者や基本的な医薬品を必要とする者たちへの支援・金銭給付に関する国家レベルでの政策が不十分であることがそうだ。

戦場に派遣されない将校で、連れ合いが重傷を負ったり亡くなったりした際に、その家族のために必要な書類の作成支援ができる将校を、各部隊に置くことは極めて重要だ。

兵站手順の合理化を確実に進めるために、それぞれの地域に専用の兵站ハブを設ける必要がある。この兵站ハブを設ければ、必要な物質を入手するために1時間以上運転して戦線後方に向かわなければならない旅団は確実にいなくなる。

極端に長い距離が関係する場合、兵站「ソケット」を部隊の近くまで必要物資を届けられるように拡張すべきだ。兵站の電力ソケットには、戦闘部隊にとって必要不可欠な要素が網羅されていなければならない。そこには医療物質や負傷者搬送が含まれ、食料・燃料・弾薬・バッテリー・車両の交換部品・ドローン・あらゆる種類の個人装備が含まれる。それはデジタル登録される。また、交換・修理用の技術機材のためのリーチバック能力も含まれ、それは例えば、電話・コンピュータ・無線などになる。そして、エンジン交換から砲身交換、小規模な車体修理に至るまでの非装甲車両・装甲車両の前線での補修も含まれる。

グレン・グラントによる洞察に富む見解に加え、私自身もウクライナ軍の現状に関する見解を指摘したいと思う。重要な指摘点としては、ウクライナ軍で最大の編制は旅団であるということがあり、ウクライナは恒常的な組織としての軍・師団という編制をもっていない。だが、複数の旅団の行動を調整する「各地域に」組織された部隊が、事実上存在する。これらの部隊は、いくつかの点で、師団として機能しているかもしれないが、師団として必要とされる組織構造を欠いており、これらの部隊に配属された将校は、おおむね一時的な配置である。これと比べると、師団もしくは軍は、明白に定められた組織構造をもっており、はっきりと定められた義務と責任を有する単一機構として任務にあたっている。

次の結論にあたる[Twitterの]スレッドで、私は注意を要する緊急の懸念材料をまとめようと考えている。私の見解では、単に私たちの協力国からの支援を求めるだけは不十分なのだ。つまり、まず取り掛かる必要があるのは、私たちの兵士の命を守るために、私たち自身で内部改革を行うことなのだ。

私が参照したグレン・グラントの論考の全文は、以下のリンク先にある。


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