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答病記

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2020年6月、私は乳がんになった。今までに経験したことのない恐怖。治療開始から1年が経ちようやく闘病記を書き始めた。 2022年6月、骨転移判明。意に反して続編開始。 「闘病は…
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2021年11月の記事一覧

放射線治療①:乳がんと診断されて【21】

放射線治療①:乳がんと診断されて【21】

放射線治療自体は1回につき10分も掛からなかった。初回は夕方で、外来患者さんの診察時間終了後だった。
看護師さんに「1階の放射線科受付に行ってIDバンド見せると案内してもらえるので、行ってきてくださーい」と言われたので指示通りに向かう。

エレベーターで1階まで降りるとガランとした雰囲気だった。外来の診察時間が終わっているから仕方ない。

「すみませーん、pandaです。」と手首のIDバンドを差し

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同僚に告白から再入院:乳がんと診断されて【20】

同僚に告白から再入院:乳がんと診断されて【20】

7月に約1ヶ月仕事を休み、一旦復帰していたので、同僚たちは私の事をもう元気だと思っている。再入院となると心配掛けるだろうな…と思い同じ職場の女性陣にのみ病気のことを告白することにした。
仕事の合間に時間をもらい話し始める。
「実は来週からまた入院することになって。でもこないだ休んでた病気の悪化とかではなく放射線治療で休むねん。」

「放射線…?って…‼︎」
同僚の表情が変わる。

「そう、実は……

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放射線治療まで、いろんな先生に診てもらう:乳がんと診断されて【19】

放射線治療まで、いろんな先生に診てもらう:乳がんと診断されて【19】

仕事復帰をしてすぐ病理検査の結果を上司に報告した。
入院前は「術後はホルモン療法だけで行けそうなので1ヶ月程お休みします」と言っていたのに、リンパ節への転移から計画は大幅に変わっていた。
放射線治療ができる場合、できない場合、抗がん剤治療中の仕事をどうするかをパターン別にエクセルにまとめて上司へ説明する。

放射線治療は平日は毎日通院する必要があり予約時間も流動的。出勤するにしてもフレックスと中抜

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ホルモン療法:乳がんと診断されて【18】

ホルモン療法:乳がんと診断されて【18】

2020年7月1日に乳房全摘手術を受けて7月27日から仕事復帰、8月は今後の計画を立てるために時間を使った。

ホルモン療法については前回サラッと書いてしまったが大きな副作用があるものだった。治療期間は5年〜10年。その間、数ヶ月間隔のホルモン注射と毎日の薬の服用が必須。
この薬の副作用として月経は止まりそのまま閉経を迎える可能性もある。その間妊娠もできない。
女性ホルモンが少なくなることから更年

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退院後外来:乳がんと診断されて【17】

退院後外来:乳がんと診断されて【17】

退院して3日後の外来受診は母親同伴で向かった。病理検査の結果を聞くために。
まずは溜まった水分を注射器で抜く処置。75ml程で入院中より少なくなっていた。ただ微熱は退院後も続いていた。これは入院中から「リンパ節も触ってるから仕方ないかなぁ」と言われていて、日にち薬のようだった。

処置が終わると説明が始まる。
私の体内に広がっていた癌細胞は術前の想定通り顔つきは悪いものではなく、治療しやすいもので

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私の病歴:乳がんになるまで

私の病歴:乳がんになるまで

乳がん治療について、告知から手術、退院まで書いてきた。ここから次のステップに進むにあたり、私の持病が今後の治療に影響を及ぼすので、一度これまでの病歴を書き出したいと思う。
プロフィールに書いている通り、私は生まれてからずっと色んな病気を患ってきた。完治しないものや、進行性の病気もあり、現在進行形だ。

・変形性股関節症
生まれて間もなく股関節が外れていることがわかりギブス、装具をつけても改善せず手

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退院:乳がんと診断されて【16】

退院:乳がんと診断されて【16】

術後12日目で退院することになった。ドレーンを外してからは経過良好で、先生は「退院はいつでも良いよ」と言ってくれたけど、私が週明けまで居たいとお願いをした。
土日でどれだけ水が溜まるのか、水が溜まってまた痛みが出たらどうすれば良いのか不安だったから。
退院の話をしても暗い表情の私に先生は
「退院できるのに嬉しくないの?」と聞いた。
私は家に帰れることは嬉しいけど、これからの事を考えると不安でしかな

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退院日近づく:乳がんと診断されて【15】

退院日近づく:乳がんと診断されて【15】

2本目のドレーンが外れた翌日、前日までの洗浄作業がなくなった代わりに注射器で水を抜いてもらう処置となった。体内から外に出るためのドレーンがなくなったため水分が溜まってしまうのだ。水分は結構な量で注射器で2回程抜かれた。左脇の感覚は無いから注射器を刺されてもちっとも痛くなかった。

当分の間は水が溜まるので、この注射器で抜く処置は続くらしい。この処置は外来でもできるので翌日の様子をみて退院日を決めま

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術後1週間ドレーン外れる:乳がんと診断されて【14】

採血や点滴の度に登場する看護師の山本さん。私の中では「エース」であり「救世主」だ。ここぞという時に現れて処置してくれる。それがたまたまなのか私が【要注意人物】になってて山本さんの担当になっていたのかは分からない。ただ山本さんも交替勤務に入っているからいつも居る訳ではないし、「たまたまの当たり!」と思うことにした。だってなんとなく「ついてる」と思ったほうが嬉しい気分になれるから。

山本さんとは「血

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術後4日目痛みが出る:乳がんと診断されて【13】

術後4日目痛みが出る:乳がんと診断されて【13】

それから数日、同じような毎日が過ぎていく。同室のおばさま2人はリンパへの転移はなかったようで、順調に経過しているようだ。
主治医の高橋先生は毎日回診に来てくれる。手術の傷口とドレーンと袋の状態を確認し、状態に変わりはないか声をかけてくれる。

動きがあったのは手術の4日後だった。
この日も朝、採血をしてその結果、血液の濃度がちょうど良くなったので、ようやく右手の点滴が外れたのだ。
私の相方は左脇の

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続-術後1日目:乳がんと診断されて【12】

続-術後1日目:乳がんと診断されて【12】

足からの採血に始まった手術翌日。
足からの採血なんて特別な話なので一般的な話に戻らないと。
読んでくださる方に何の参考にもならないですからね(苦笑)

術後は脇腹から出ているドレーン(管)から水が出るので1日に数回、看護師さんが計量して捨ててくれます。水の量は日にちとともに少なくなり、その量によってドレーンが外され、その頃には退院日が分かる運びとなる。

そして看護師さんが体温、血圧測定と合わせて

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