本と対話する

本に答えや正解を求めるのではなく、本からヒントやエッセンスをもらい、ときに疑問を持ちな…

本と対話する

本に答えや正解を求めるのではなく、本からヒントやエッセンスをもらい、ときに疑問を持ちながら、そこから考えをまとめていったり、大切にして何度も見返したいと思うことのメモだったり、自由に綴っていく。そんな本との、そして著者との、時代を超え空間を超えた仮想の「対話」ができたらいいな

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この世は美しい:『よろこびの書』

私が人生の指針として大事にしている言葉のひとつに「この世は美しい。生きる価値がある」という言葉がある。知人に教えてもらった、ヘミングウェイの言葉「The world is a fine place and worth the fighting for.(この世は素晴らしい。戦う価値がある)」をもじっている。 私自身、無意識に「人生は戦いだ」という信念を持っていたことがある。そのことに気づいたときには、え?私、そんなことを信じているんだ!と驚きと同時に、そうだろうなぁと思う妙

    • 「人生の意味」を見出そうとしないこと:『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考』

      ふと「人生の意味」を考えるときがあるかもしれない。私の人生は何の意味があるのだろうか?私という人間がこの世の中からいなくなったとしても、世界は回り続ける。そしてそれはどんなに素晴らしい人だとしても、その人が亡くなったからといって、ともに世界が終わるわけではない。ならば、なぜ生まれてくるのだろうか。「生きる意味」とは一体なんなのだろうか。 歴史を通してその問いを考えることで、今、私の頭で考えるのとはまた違った角度で物事が見え始める。 ▼ 「奇跡の人」はいったい誰なのか偉人と

      • 賢明なもう一人の自分を呼び覚ます:『直観を磨く 深く考える七つの技法』

        ふと「直観」に関する本を読んでみようと、『直観を磨く 深く考える七つの技法』を手にとった。これがめちゃくちゃよかった。 私がそもそも「直観」に関する本を読んでみようと思ったのは、自分の中の「直観力を磨きたい」と思ったからだ。だけれど、この本のタイトルには、続いて「深く考える」と書かれてある。なんとなく、直観と深く考えるは反対のような気がする。その答えは早々に説明されていた。 直観と論理的思考の関係より深く考えるということは、直観と論理的思考を対極におかない。その2つは対立

        • 「正義」なんて、あるのか?:『歪んだ正義』

          最近「正義」という言葉に疑問を抱くというか、「正義」ってなんだろう…と思っている。 3つのきっかけひとつは世界情勢の変化がきっかけだ。ロシアとウクライナの現状において、正直、歴史に、そして世界情勢に疎い私としては、何がどうなって今があるのかよく分かっていない。1点、ロシアが侵攻したという点においては、戦争は即刻やめてほしいと思うし、そこはロシアが選択を間違っているように思う。だけれど、前々から小さな火種はウクライナから仕掛けられていたとも聞いたりもするし、何が正しくて、何が

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        この世は美しい:『よろこびの書』

          作為的なことをしないということ|何もせずに達成する(4):『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』

          前回、この世(現状)や、かの世(ここではないどこか)への執着を手放すことが道筋になるのではないかと考えた。そして、老子の「無為自然」から、意図や意思、主観をすべて捨て去ることの大切さを学んだ。 この「意図をしないこと」や「作為的なことをしないこと」が非常に奥が深い。作為とはどういうことか?意図をしないとは?ふとつながった「願い」について考えることでヒントが見つかった。 何を「願い」、何を「思考」するのか『思考は現実化する』という本がある。このタイトルが非常にキャッチーなた

          作為的なことをしないということ|何もせずに達成する(4):『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』

          無為自然|何もしないで達成する(3)

          前回からのつづき。「何もしないで達成する」を考えるにあたって、まずは「何もしない」という誤解をとき、そして「何もしない」の落とし穴を明らかにしつつ、以下のポイントにたどり着いた。 「何もせずに」=「がんばらずに、努力せずに」 現時点があって、努力や時間を重ねて、ようやくできる状態に変化する…ではない できない現状があって、ゴールがあってギャップを埋めていくことではない その代わりに 意図よりも自然の流れに従う 委ねる 物事を起きるがままにする タイミングを待つ

          無為自然|何もしないで達成する(3)

          何もしないで達成する(2):『無為の技法』

          前回から「何もしないで達成する」ということを考えている。まず「何もしない」ということを明らかにしていこう。 まず「何もしない」に対して、抵抗がめちゃくちゃある「何もしない」といったら、それに関わることを一切しないという極端な思考に走るのと同様に、なぜか私の中に「何もしない」ことへの抵抗がどんどんと湧いてくる。読んだあなたにも共感してもらえるものもあるかもしれない。 ・努力をすれば達成できる…という落とし穴 小学生の頃にこう思った。人から一目置かれるのは、3つのポイントが

          何もしないで達成する(2):『無為の技法』

          何もしないで達成する

          先日、嵐の櫻井翔さんがお誕生日を迎えるにあたって目標を聞かれ「『何もしない』をしたいと思います」と答えた、というネット記事を読んだ。記事の中にも、「何もしないってどういうこと?」という展開もあったのだけれど、私自身ずっと「何もしないで達成する」を掲げ続けていることもあって、ここで少し考えてみたいなと思った。 「何もしないで達成する」の最初のイメージ世の中には「自分からは特に何もしていないんだけれど」と言いながら、欲しい物を手に入れている人がいる。本当は裏で努力している場合も

          何もしないで達成する

          40代からの「老い」という冒険:『NHK100分de名著 ボーヴォワール 老い』

          私には90歳になる祖母がいる。祖母は建屋は別に、同じ敷地内に住んでいる。90歳にもなると、もちろんできないことも増えてきて、物忘れも激しくなって、さっき言ったことを忘れてしまったり、まったく違うように記憶したりする。そんな祖母をつぶさに観察していて、「老い」について考えている。「老いる」ということはどういうことか。「老い」を受け止めるということ、また受け止められないというのはどういうことか。 「老い」を単純にそしてネガティブに考えるのではなく、客観的に、かつ冷静にプロセスと

          40代からの「老い」という冒険:『NHK100分de名著 ボーヴォワール 老い』

          続けられない…三日坊主にもならない…と悩むとき

          新年になると「今年はこれに挑戦しよう!」という気持ちが湧いてくる。例えば、英語をしゃべれるようになる!毎日30分は英語の勉強をするぞ!とか。通信教育のCMもめちゃくちゃ流れるよね。今年こそは!ときっと多くの人が思うのだろう。ただ、結構な割合で1月の段階で「継続できなかった…続けられない…」と断念してもいそうな気がする。私だけ? そこで今回は「継続する」「やり続ける」ということについて考えてみたいと思う。こんなこと、ありふれたテーマであり、どこかの誰かが、もっと適切な表現で届

          続けられない…三日坊主にもならない…と悩むとき

          「人生」に触れさせてくれるもの:あなたには何度か見返したい本や映画はありますか?

          あなたには、何度か見返したい本や映画や動画などはあるだろうか? 楽しくてお気に入りで何度も観るという意味ではなく、人生の節目に読み返してきたとか、自分にとって大切なことを取り戻すために観たくなるとか、そういった類のもの。聞いておいて何なのだけれど、私自身はそこまで仰々しいものはパッと思いつかない。でも、本は放っておくとどんどん増えていくから、もういいかなと思えばあっさり手放すようにはしているつもりの中、十数年もずっと一緒に引っ越しを繰りかえしている本や映画のDVDがある。そ

          「人生」に触れさせてくれるもの:あなたには何度か見返したい本や映画はありますか?

          自分の道を歩むということ:『キリン解剖記』

          生き方で憧れるのは、その道を最大限に楽しんでいるんだろうな、と感じる人だ。YouTuberが憧れの対象になるのは、楽しいことをやってお金を稼げるなんて、という側面もあるかもしれないけれど、子どもを魅了している点は「楽しいことに全力で取り組んでいる姿」じゃないだろうか。もちろん、大人になると、YouTuberだって楽しいことばかりではなく大変な作業もしている、ということに気づく(はず…な)のだけれど、子ども同様、興味関心を広げて好奇心をもって活動をしている人には惹かれるんだと思

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          仕事ってなんやろ?:『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』

          転職も何回か経験していくつかの業種・職種、そして会社員もフリーランサーも体験してきた。就職活動をしていた頃の「仕事ってなんやろ?」という感覚と、今の「仕事ってなんやろ?」という感覚は若干変わってきている気がする。そして、時代としても、変わってきている気がする。 この本を初めて知ったのは、NHK「100分de名著『資本論』」の回を見たときで、ほんの少しだけ紹介されていたに過ぎないのだけれど、インパクトは十分だった。「クソどうでもいい仕事」という単語を聞いただけで、どこか頭に思

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          旅と本が見せてくれるもの:『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

          お笑い芸人さんが好きで、アメトーークも好きで、読書大好き芸人も好きで、たくさん文学本を読んでいる人は信頼していて、で、オードリー若林さんの本が気になって読んでみた。 ひと言で言うと良かった。気軽にサクサク読めるし、オススメ。人見知りやインドア派と自負する彼が、急に「そうだ、キューバに行こう」とキューバ旅行したエッセイ。旅行気分も味わえる。もちろん、味わえるのは旅行気分だけじゃない。 5日間の夏休みが出来たからキューバに行くという弾丸旅行の数年前に、彼はニューヨークを体験し

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          向き合う姿勢の学び:『土偶を読む』

          最近「縄文時代」が気になっている。前から縄文時代がブームになっていることは知っているのだけれど、改めて気になっている。当時の世界観を垣間見て、思いを馳せることをしたいな〜と思っていたら、この本が流行っていて、面白かったよ!と教えてもらったので読んでみた。 私の感想としては、私は当時の世界観を知りたいと思っていたので、私の目的を満たすものではなかったかな、と思う(たぶん著者としては、世界観そのものを書いているじゃないか!とおっしゃる気がする) ちなみに私は、本や映画を読んで

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          お金と価値と人と:『あたらしいお金の教科書』

          高校の授業でお金の授業がスタートするらしい。それも「資産形成」で。 文部科学省が2022年度から高校の授業に「資産形成」の内容を導入することを決定した。具体的には、公民科と家庭科に株式や投資信託といった金融サービスに関することを学ぶ。他にも、電子マネーなどのキャッシュレス決済や仮想通貨、金融商品のリスクとリターンなど、具体的な題材も取り扱うそう。 これを知って一番最初に思ったことは「え?いきなり資産形成について??いきなりキャッシュレスや仮想通貨??」という疑問だ。 私

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