何もしないで達成する
先日、嵐の櫻井翔さんがお誕生日を迎えるにあたって目標を聞かれ「『何もしない』をしたいと思います」と答えた、というネット記事を読んだ。記事の中にも、「何もしないってどういうこと？」という展開もあったのだけれど、私自身ずっと「何もしないで達成する」を掲げ続けていることもあって、ここで少し考えてみたいなと思った。
「何もしないで達成する」の最初のイメージ
世の中には「自分からは特に何もしていないんだけれど」と言いながら、欲しい物を手に入れている人がいる。本当は裏で努力している場合もあるかもしれないけれど、「裏で努力しているかもしれない」と思うのは「努力していてほしい」という、見る側の願望でしかない。「だってがんばって、しんどい思いをしてくれていないと割に合わないじゃないか」と。
でも、実際には「何も考えていないけれど自由自在の人生を送っている」とか「なんか気づいたら手に入れられていた」という人がいたりする。「運がよかった」とも言える。それはそうだ。運の他は何もないのか…？そういうのが「何もしないで達成する」の最初のイメージだ。
それはぜひ、手に入れたいと思った。そうなってみたい。
もともとは計画を立てるのが好き
私はもともと人生においては計画を立てるのが好きだったように思う。どうしてもそれを達成する、という根性を発揮するかどうかは置いておいたとして（＝中途半端に実行しているもの、挫折したものもたくさんある）例えば、ささやかな例でいうと、高校のときにはなんとなくやりたい職業、憧れることはあって進路を決めるのにも特に迷わなかったし（大学は希望通りではなかったけれど）、有名な会社に入ったあと人事の方が「30過ぎた女性はちょっと…」という今では非常に考えられない発言を聞いたときから「この会社には30までだな」と決めていろいろと動いた。（そして、30歳になる半年前に飛び出した。準備半ばだったけれど。）
期限とゴールを決めて、現状と、その間にあるギャップを埋めるためには何をしたらいいのか？そんなふうに考えて、生きてきた私が数年前にメンターから「何もしないで達成する」を掲げたらいいですよ、と突然言われた。何もしないためには、何をしたらいいのか？そんな問いしか浮かばない。そもそも何もしないってなんだ？
くまのプーさん
「何もしない」の参考になりますよ、と勧められたのが映画『プーと大人になった僕』だ。
親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経ち、大人になったクリストファー・ロビンは、 日々仕事に追われ、会社から託された難題と一緒に時間を過ごせない家族との問題に悩んでいた。 そんなクリストファーの前に突然現れたプー。久々の再会に、喜びと懐かしい日々を感じながらも、 また仕事に戻らなければならないクリストファーに、「仕事って、ぼくの赤い風船より大事なの？」とプーは問いかける。（後略）
その中でプーさんが何をしているか聞かれて「何もしていないをしているんだよ」と言っていた。
まず考えたこと「何もしないって…？」
私自身が「何もしないで達成するってなんなのか？」と悩んでいるとき、同じように周りに「ゴールをたてて現状とのギャップを埋めるための計画を立てる」という手順が得意な人がいた。彼がある人に「何もしないってなんですか？僕がイメージするのは、例えば、金メダルを取るぞ！とゴールを立てて、それに向かって何もしないから、ポチッとテレビをつけてゴロゴロする…」と話していた。彼も言いながら「これは違いますよね？笑」と言っていたけれど、私も傍で聞いていたらそれが違うことは分かった。
だけれど、これって陥りがちだよな、とも思った。なぜか私たちは「何もせずに」というと「すべきことをせずに」と同じ意味になってしまっている。
「何もせずに」というのは「ダラダラしながら」という意味ではない。「じっとしたままで」という意味でもない。残念がら、それは「ダラダラ」を行動しているし、「じっとする」を行動している。すべきことはしていないけれど、他のことをしている。
「何もしないってなんだ？」と模索をつづけてきたら、なんとなく分かってきたこと。それは、私にとって「何もしないで」というのは、
「がんばって、努力をする」ことをしない
自分の望みからの一方的な計画を立てない
いろんなことを自分の思い通りにしようとしない
…などということかもしれない。
「しない」というのは「手放す」とも言えて、「しない」というのは「何かをすることを手放す」ということだ。私にとって、手放したらいいことは、この通りにしようという計画であり、画策することであり、自分の力で手に入れようとすることであり、苦しみながら手に入れることだったり…いっぱいありすぎる。
引き続き他にもヒントを探っていきたい…（つづく）
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