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ひとりごと

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#ひとりごと

勝手に背負う系の私たち

勝手に背負う系の私たち

キャロットケーキ、カフェラテ。室内から流れる音楽。スマホ。本は忘れた。この順番に気を移していく。キャロットケーキに戻る。

こだわりのあるカフェのマスターの、こだわりのある飲みもののつくり方の指導が耳に入ってくる。

はい、なるほど、そうなんですか?マスターの横にいる店員さんの相槌も耳に入ってくる。

やけに体積を占めてくる、静かなピアノ音楽。

私は短く髪を切り揃えた、彼女がそれを揺らしながら戻

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不貞腐れたり

不貞腐れたり

できるだけポップな人生でいたいと思っている。いたいと思うというか、そういうものにただ憧れているだけというか、できるとかできないでなくそういうものを理想に掲げて、置いている。それはほかでもなく私がひとつひとつのものごとをいつだって、この世の終わりみたいに哀しく捉える性格だからだ。一番離れたところから、そこを目指しているというだけだ。

最近東京ラブストーリーを見ている。映像をずっと目で追い続けると必

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よかっ

よかっ

日記

気が早くてツボミでいられずに、ひらいてしまったユリの花粉を取り除く。ここではだれもおしべなんて言わない。つまむと、簡単にぷちっととれる。真ん中にめしべがある。白と透明の間みたいな色をした、真っ直ぐなめしべ。ユリのめしべはほかの花のその部分よりも分かりやすく性的だ。より殖えていくのだという意志をもった見た目をしてる。嫌いじゃない。正直なのだ。暖かい気温を感じると開放的になってしまうのは、花も

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なんにでもなれる日記

なんにでもなれる日記

(図書館にて脳のなかの幽霊という本を読んだ。)

私の手は私の手である。でも、私の手は私の手であると、私がわかっているのではなく、脳がそうだよと信号を出している。私が脳を錯覚させるように振る舞うと、脳は結構簡単に、鏡にうつった違う手や、場合によってはテーブルでさえも私の手だと勘違いするらしい。私と脳は別なのかな。そんな簡単に勘違いするのであれば、私の身体が私であるという意識を(私という身体をうごか

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叔父

※ただの叔父の紹介話。

私は叔父と仲が良い。仲が良いというか、似ていて、相性がいいというのだろうか、波長が合うというのだろうか、とにかく、血が繋がっていないが、一緒にいるときは小さい頃からなんとなく居心地が良い。

叔父は私の住む家から約20分くらい車で行ったところに住んでいて、無口で、海が好きで、ダンプ乗りの還暦である。
私たちはいとこがハワイで結婚式をあげたときは(当時私は高校3年生)、アラ

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週末のこまごま

わたしだって夢見たんだよ。

ふつうのことしか夢みてないんだと思う。

変な夢を見て起きる。朝方トイレに目覚めて起きてから、二度寝したりすると眠りが浅いのか、夢を見る。変な夢のときは微妙な気持ちになるが、夢でもらった気分を払拭するというのがなぜか難しい。

子どもってなんで朝に強いんだろう。
子どもって声の大きさが周りの音の大きさと比例しないから好きだ。絶対今は静かにしなきゃいけないってとこでも自

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あっというまに初夏

あっというまに初夏

最近のぼんやり考えてたこと、思い出してたことの日記。

運転中に横切ったある路面店の駐車場に、オレンジ色のハスラーを発見する。彼女が車を手放したのはここら辺だったっけ。地元に帰っていったあの子。きっとあの車はあの子が手放した車。ほかの人の手にわたって、今そこにある。駐車場に車を停めてくつろぐお姉さん。その車、1年以内に購入したでしょう。実は、わたしはあなたの車の助手席に乗ったことがあります。どんな

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迷路から出られないタイプのマウス

迷路から出られないタイプのマウス

このままだと呆れられてしまうかなと思って部屋を掃除する。サボテンの育て方でも調べて伝えようかなと思う。

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あまり脳のキャパシティが大きくないんだと思う。社会に出て気づいたのは、ひとつのことに対して瞬時に対応することや、とりあえずでもいいからスピーディーにリズムよく、こなしていくっていうのが私はすごく苦手だってこと。私の良いところはひとつひとつゆっくり丁寧で、始めた

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犬と猫と私

犬と猫と私

日記

友人に神社でダンスを踊るから、そこで古本の出店を出さない?と誘われた。読書会をしている人たちに声をかけたら快諾してもらえて、当日は自分の棚からお気に入りの本をたくさん取ってきて、並べた。思っていたよりもたくさんの人が足を止めてくれて、私の持ってきた本に興味を持ってくれたりしたら、私も嬉しくなって、たくさん本の説明をした。

お客さんに説明しながら、それらの本のどんなところが好きだったかを、

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私の自然である

私の自然である

実家に帰ってきて、4ヶ月くらい経った。他の人と比べたらゆっくりすぎるペースで日々を過ごして、やっと今月から働き先を1つに決めた。結局、自然の世界に戻ってきた。嬉しい。仕事をしている間はずっと葉っぱのにおいがしていた。青臭くて、生き物の、清潔なにおい。もうひまわりを見た。

人生死ぬまで勉強、と祖父がよく言っていたらしい。ちなみに祖父には会ったことがなく、私の祖父は姉が生まれて姉のことをお風呂に入れ

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父

実の父があまり好きではない。私の父親との記憶は私が中学校に上がる直前から10年間途絶えている。その間女系家族で育った。何も問題なく、健やかに、祖母と母と姉から、愛された(母からしたら大変な日々だったかもしれないが、私の目からはいつでも理想の母だった)。その後大人になり再会をしたりするのだが、それはまた別の話。

前記事で私は料理をつくるのがあまり得意ではないと書いた。だが年に数回、自分のためにひと

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混ざり合う

混ざり合う

実家を出て大学のそばでひとり暮らしをし始めた頃から、「料理」というものを部屋で食べることがかなり減った。最低限簡素な料理はしていたが「おいしい食事」に対する熱量みたいなものがかなり薄く、2つくらいの材料で3分以内にできて、「焼く」という行為から生まれるものを「料理」と呼んでいた。

それ以外は基本、「食材」を食べていた。恥をしのんで書くと、卵を炒ったもの、ピーマンを焼いて醤油で味をつけたもの、納豆

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大人の世界と子どもの世界

大人の世界と子どもの世界

SNSで動画が流れてきた。居酒屋のような雰囲気の韓国のお店で、店員の3~40代らしい女性が、パフォーマンスをする。

酒瓶を何人分かのグラスに注いでいくのだが、あの手この手を使って、かなりおもしろく考えられている。振ることでシュワシュワを強くして、穴を開けてまるでビームみたいに酒を注ぐ。
最後に残りの泡が出てくるときに、女性が瓶の細長いところを手で覆い、扱くような動作をすると、客である男性たち数人

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好き

好き

困った顔とばかみたいな会話

街を歩く。天気のいい日に街を歩くのは気持ちがいい。お薦めの店に入り、食事をする。ここがいかに素敵な場所か教わる。私は店よりも君が好きだよ。君が美味しいと思うものを食べて、私が残したら食べてくれる。それもいいけど、たった一回だけ、適当に入った店で甘いものばかりがメニューに載っていたときに、食べるのは得意な君が、「甘いものは少しでいい」と言いながら困った顔で渋々パンケーキ

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