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ひとりごと

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#エッセイ

父

実の父があまり好きではない。私の父親との記憶は私が中学校に上がる直前から10年間途絶えている。その間女系家族で育った。何も問題なく、健やかに、祖母と母と姉から、愛された(母からしたら大変な日々だったかもしれないが、私の目からはいつでも理想の母だった)。その後大人になり再会をしたりするのだが、それはまた別の話。

前記事で私は料理をつくるのがあまり得意ではないと書いた。だが年に数回、自分のためにひと

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好き

好き

困った顔とばかみたいな会話

街を歩く。天気のいい日に街を歩くのは気持ちがいい。お薦めの店に入り、食事をする。ここがいかに素敵な場所か教わる。私は店よりも君が好きだよ。君が美味しいと思うものを食べて、私が残したら食べてくれる。それもいいけど、たった一回だけ、適当に入った店で甘いものばかりがメニューに載っていたときに、食べるのは得意な君が、「甘いものは少しでいい」と言いながら困った顔で渋々パンケーキ

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非常識で優雅なガールズ

非常識で優雅なガールズ

友人とのんびりと過ごして、夜にさしかかった頃に電車に乗った。

私はかなりの田舎に住んでいて、都内に出たあとは電車と車を使い、片道2時間近くかけて家に帰る。

下りのローカル線。

この線の電車には新幹線の椅子をくるっと回したような、向かい合った席がある。

乗車する人の少なさからかこういう構造がまだ残されているが、正直言って知らない人と向かい合わせで乗るのは気が引けるし、4人でこの電車に乗ってど

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冬の間眠る

冬の間眠る

じっと 待っている 春が来るのを

今は 眠っている

まるで 枯れたみたいに。

植物は 冬 苦手なんだと思う

陽の光が浅くて 夜が早いから

空気は澄んで 生き物が活動しない分

二酸化炭素も 少ないのかな

活動を止めて 春を待つなんて
なんて賢くて 強いのだろう

冷凍保存された 微生物みたいに
その時が来るまで 静かにしている

春がきたら 木は起きて

そうすると私も やっと起きら

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みじかい夜のエネルギー

みじかい夜のエネルギー

今日が終わる。

と、感じると同時に、特別篇のように、みじかい夜が始まることがある。

皆にはある?

みじかい夜を呼び出す方法はこんな感じだ、まず、

1日頑張ってしまい、眠くて眠くてどうにも動けない体を用意する。

寒いからお風呂にだけ入って温まって、身体や頭は洗わず明日にすればいい、あったかくなったらそのまま出てきて寝てしまおうと頭の中で宣言する。

自分を騙しだまし湯船に浸かりながら、温ま

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他人と眠る

他人と眠る

わたしが生きていて意味があると思う、
または生きていて良かったなあとしみじみ思う瞬間があるとするなら、

恐らく、「満足だ」と思って眠る夜に遭遇したときだ。

たとえばどんなときに思うのかというと、

好きだと思うひとが横にいて、同じ空間またはベッドで眠ったときだ。

人生の中で何が一番私にとって大切かと問えば、結局いまは(恋愛に限らず)愛する人とのつながりだと思う。

私はとても向上心の低い人間

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何もできないので昔のことを思いだした

何もできないので昔のことを思いだした

最近の体調の悪さは異様だ、仕事が終わった瞬間に頭痛、車の中ではお腹すいた〜と思っていたのに、
車を降りて部屋のドアをバタンと閉めるとわらわらと胃の気持ち悪さがやってきて、なんにも食べられなくなる。

ミックスナッツが体にいいと聞いて、買ってきてきておいて朝食べたら量が多すぎたのか、
出かけたら昼には胃が重くなって、全身の力も出なくて、
もう何もしたくなくなって無理矢理家に帰って眠る日もあった。

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星と血に代わる分析術

星と血に代わる分析術

体がぐったりと重い。
連休直前に体調を崩してから、楽しみにしていた予定全てに穴を開け、家でぼうっとテレビ画面を見ている。
体調が悪いときは何かに集中することが苦痛で、テレビから目を逸らしてはスマホの画面を見、本を数ページぱらぱらと捲り…と何をしているでもない時間が過ぎていくだけだ。

ピコピコ、というアホっぽい音と同時に、上司からメッセージが届く。
「体調は大丈夫ですか?土曜のシフトは変わってもら

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検査を続けていた未来を考える

検査を続けていた未来を考える

もう叶うことのない日常を、供養します。
私が想像していた、「その後 慣れることができた」バージョンの世界。



私はとある会社の正社員、検査職。

仕事も段々と慣れてきた3年目の夏。朝起きるとすぐにトースターでパンを焼き、立ったまま食べる。適当な冷凍食品をタッパーにつめて、スーツに着替え、お姉ちゃんにいってきますをして、家を出る。

駅のホームに着くと、たまに会うことのできるショートボブの「天

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