ぱの

二十一歳 文と映画と音楽と美術で生きのばしてます

ぱの

二十一歳 文と映画と音楽と美術で生きのばしてます

最近の記事

夢のような日々を曖昧に生きて、

まだ透明にもなっていない早朝の空気が好き。灰色のサンダルで踏みしめた一日の始まりは不規則なリズムを刻んでいる。 カーブミラーに映る朝焼けを追いかけて、私はそのグラデーションの桃色の部分にキスをした。気づいたらわたしは泣いていて、いっそ鏡の中に逃げたかった。 朝に近づくほどこわいのに、この時間は私だけのものに思える。きっと私と世界との境界線が曖昧だから。逆に朝は正しいフリをする人ばかりで街ゆく人をみるだけで苦しくなる。 眠れないとき、ぬいぐるみを抱きしめる。少し固まった綿の

    • 水色

      オレンジ、ピンク、水色がとけているような空を眺めて、それらしい事をつぶやくあさ。街はまだ夜との境界で空気はとろんとたゆんでいる気がする。目を瞑れば、私も朝と夜の境界に溶けいることが出来る。なんだかくすぐったくて自然と口元が緩んだ。そんな日々を繰り返して、みんな死ぬ。「死ぬ。」口パクでそう呟いてみると、喉の奥から苦い何かが込み上げてきて慌てて飲み込む。思わず周りを見渡す。良かった、バレてない。 あどけない瞳の連続にくらくらする春。 頭がズキズキとするのはきっと私の中のキラキラが

      • 全ての消えてしまった少女に捧ぐ

        大森靖子の「stolen worlD」を流す。窮屈なバスの中、ギュッと目をつぶる。車内の酸素が薄く、このまま倒れてしまいそうだ。 冬なのに背中から嫌な汗が垂れる。水中にいるような耳鳴りがする。ぶくぶく溺れていくようだ。もがく代わりに靴の中で一定のリズムを刻む私の親指。 これが私の全てだった。 何も出来なかった。何もしようとしなかった。 母から渡された冬期講習の茶封筒の厚みから目を背けたかった。 大人たちが、どうしようもない私という人間を正当化していることが申し訳なかった。

        • 嘘を食べる

          鈴虫のような耳鳴りがうるさいam4:00 あの日、ベタな恋愛映画で泣いてる君をどこか笑っていた私が、同じ監督の映画で泣いてしまった昨日。 誰に言う訳でもない事実を持て余している。 恋がしたいのではない、ただ誰かとお話したいだけ。 そう気づいた時、その誰とも私は目が合わない気がして、息がしづらかった。 この人はなんのために私と話すのだろう。 そう考えれば考えるほど、自分の価値に自信がなくなった。 私は私の声が出せなくなっていた。 どこかふわふわとした誰かの声でしか話せな

        夢のような日々を曖昧に生きて、

          歩幅をひろげて

          膝の裏側がくすぐったくなるような格好は、未だに私の心臓を波打たせる。駅前にたちはだかる横に大きいスカウトを突っ切るように歩幅を広げる。 お姉さん そう声をかけられるが、更に歩幅を広げてみる。 iQOS特有の匂いが少し鼻につく溜息を聞くか聞かないかのところで、私は震えが止まらなくなる。 小4くらいからスカートを禁止されていた時期があった。 膝の裏側を撫でるような、軽快な生地が私を笑ったように感じた。 お姉さん 紛れもなく私のことだろう。若い女性を指すその言葉の当事者で

          歩幅をひろげて

          ぐちゃぐちゃ

          ぐちゃぐちゃとかきまわす。 苺パフェだった。それは、まるで私の中みたいだと思った。 頭の中が上手く整理できない。 行動したいこと、言葉にしたい感情、沢山あるのに気持ちだけが先行して、いざ行動に移すとそんなはずじゃなかったばっかりだ。 人生うまく行くように出来てるんだよ そう口走ってみたものの、そんなものは自分を納得させるための呪いの言葉だと思っていて、いまだにわたしは怯えている。 目の前であなたが泣いていたとしたら、私はあなた以上に泣いてしまう。そんなような人間で、実

          ぐちゃぐちゃ

          日記

          こんなはずじゃなかった毎日で 同い年くらいのかわいい女の子をみると、大嫌いな自分の顔をたまに思いっきり切り刻みたくなる時があるの、おかしいかな 惨めである自分しか愛せない、嘘。本当はずっと幸せになりたかった。 人に好かれるということはいつか嫌われるということで、永遠なんてない事実に脅えている。 寂れた夜の街で路上ミュージシャンが空を掻き回すように叫んだ。 こうして、彼の歌声は街を歩く、誰かの人生のBGMになっている。 私も誰かの生活の一部になりたい 私は私の生活を私と

          初恋は水色

          はやくおとなになりたいな 誰よりも先にプリキュアを見るのを辞めた 水色のランドセルが良かった 背の順が一番後ろで、真っ赤なランドセルがいちばんに似合わなくなったわたし 映画のおんなのこ、屋上の淵に立ってこう話す 「今日も私は大丈夫。」 駅のホーム、黄色い線の内側に立つ 「大丈夫」 マスクの下、口を動かした 享年18才の私がいまを生きる理由 母が編んだ水色のマフラーを抱きしめる ほんのりあまい香りがした いつから、大丈夫になったんだろう いつから、大丈夫なふ

          初恋は水色

          始発帰りの青色の匂いが好き。 まだ少しアルコールの匂いに溺れていた。 クリスマスソングにある"君"って誰だっけ、 ぼんやりと考えた午前5時。 左腕を爪で引っ掻いて、世界を広げてみた。 やめなよ。 君が見てくれていたことに安堵する自分に嫌悪する。 あれ、君って誰だっけ。 そんなことをきっと君も思っているんだろうな。 あれ、私って誰だっけ。 そんなことを思って、私はまた世界を広げてみるのだ。

          永遠になれなくてごめんなさい。

          冬、もう冬か。 夏から一気に冬になりましたよね。 そう話してみると、ああそうだね。 と皆、同意して、笑う。 バス停で酔っぱらいのカップルが抱き合ってキスをした。そのまた左側の女性は鼻で唸るように歌っていた。 街ビルに見えたクリスマスツリーのネオンだけが本物で、私は偽物だから、きっと視界が滲むのだろうと思う。 バスから見える景色が好きです。なんだか同じ場所をぐるぐるしているみたいで、完全では無いものに惹かれてしまう。 私は私が好きな人が好きで、嫌いだ。 人を好きになれない私は

          永遠になれなくてごめんなさい。

          目を逸らす、初夏。

          バケツをひっくり返したような日々を過ごしている。散らばった星屑を丁寧に、丁寧に拾い集める仕事をしています。あのときのプールの授業みたい、ゴーグルなんてつけないで思いっきり目を開ける。あの子の太もも、赤く染まる耳たぶ、壊れてしまいそう。 思わず、目を逸らした。初夏。 あたしの家は豪邸なの 嘘を吐く、おんなのこ。ぜんぶ、大嫌いだったよ。私だけは好きでいて欲しかったのにね。 青が好きです。透明にいちばん近いから 、 黒々とした青を透かしてみるとき、いちばん汚いところが見えるから

          目を逸らす、初夏。

          ほしたべよ

          そう言って、星型の米菓を突っ込んできた。 口のなかで十角形がまあるく溶けていく。 かわいた秋の空気のように笑い、去っていく あたし 思わず呼び止める。 その振り向きざまがあまりにも永遠ではなくて、苦しくなりました。 なんでもない そう言って逃げてきたあの子のこと あたしは好きだった。 変わっちゃったのかな 可哀想な方が輝いていたね。 昔は目の前にあった月の話でもしようか もしかしてもう飽きちゃった? でも忘れないようにしなきゃ、これはきっと義務だから。 星ってきっと甘

          ほしたべよ

          答え合わせ

          クラスメイトの××ちゃんが泣いていた。 兄と喧嘩したらしい。私は衝撃を受けた。なぜなら家庭内と学校は全くの別物だと思っていたからだ。小学校のころから、私は内と外でモードを意識的に変えていた。 級友と会話する時にズレを感じたからだ。 "普通"は、私とはきっとかけはなれてると思った。大ボラを吹いたわけではない、少し調節を加えてはみ出さないようにしていただけだ。 ××ちゃんが羨ましくてたまらなかった。 みんなに取り囲まれて、肩を撫でられてた××ちゃん。羨ましくて、たまらなかった

          答え合わせ

          青が突き刺さる

          あのこは私だ、そう思うことが人一倍多い。 物騒な世の中だ。目を背けたくなるような出来事がタイムラインに流されていく。 他人事にすれば他人事できっと終わるだろう。 直接関わっていなくても、加害者になっていた可能性だってある。 近づきすぎると、だめな時だってきっとある。 距離感を常に考えている。本当はもっともっと踏み込んでみたい。普通に生きていたら出会うことのなかった人との邂逅を大事にしていきたい。 人が嫌いです。そう言って孤高ぶっていたことだってある。ただ、怖かっただけだ。

          青が突き刺さる

          備忘録

          もう十分頑張っただろうと、人生を妥協してしまうのが怖い。 そう思いたくなかったはずなのにお手軽に手に入る幸福感にずるすると侵食されて行った。 日常に溶け込むために、輪郭が分からなくなるまで削って分け与えていたものがいつの間にか薄まっているようなそんな空虚感と戦っている。 ふと、思い出す。 見えないはずのものがそこにあると思い込むと目の前に現れた幼少期を。 空だって飛べるし、UFOもいたし、お化けだって、かみさまだってそこにいた。 正しいと思ったことを貫いていたら変な子だって笑

          薄暗いだけに見える。眩しいような、クラクラするその朝日は私だけ、私だけ知っているもので私以外が知っていたらどんなに狂ってしまうものだろうと思う。自己中心的な考えは幼少期から全く変わっていない。それはたとえアルコールを嗜むようになっても、それは言い訳する要素が増えただけだ。 私だけなんじゃないかって思ったことは戯言で意外と世界中のみんながとっくに思っていたいたことで、誰かのまねごとできっと世界は成り立ってる。 電車に乗っている時のように少しだけ呆けていたら目標なんてあっという間