夢のような日々を曖昧に生きて、

まだ透明にもなっていない早朝の空気が好き。灰色のサンダルで踏みしめた一日の始まりは不規則なリズムを刻んでいる。
カーブミラーに映る朝焼けを追いかけて、私はそのグラデーションの桃色の部分にキスをした。気づいたらわたしは泣いていて、いっそ鏡の中に逃げたかった。

朝に近づくほどこわいのに、この時間は私だけのものに思える。きっと私と世界との境界線が曖昧だから。逆に朝は正しいフリをする人ばかりで街ゆく人をみるだけで苦しくなる。

眠れないとき、ぬいぐるみを抱きしめる。少し固まった綿の重量が心地よい。自分の心臓の音が伝わって、今日も生きていたと思い知らされる。そんな毎日がこれから何回おとずれるだろうか。夢のような日々を曖昧に生きて、

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