嘘を食べる
鈴虫のような耳鳴りがうるさいam4:00
あの日、ベタな恋愛映画で泣いてる君をどこか笑っていた私が、同じ監督の映画で泣いてしまった昨日。
誰に言う訳でもない事実を持て余している。
恋がしたいのではない、ただ誰かとお話したいだけ。
そう気づいた時、その誰とも私は目が合わない気がして、息がしづらかった。
この人はなんのために私と話すのだろう。
そう考えれば考えるほど、自分の価値に自信がなくなった。
私は私の声が出せなくなっていた。
どこかふわふわとした誰かの声でしか話せない。
ぜんぶうそ。だって夢だから、
この世界は誰かの夢で、私たちは嘘を食べて生きていけるのだろう。
だからあの月も星もロマンチックなものではなくて、口に入れればチクチクとして、きっと少しだけしょっぱいのだろう。
案外、夢なんてそんなもんなのだ。
夢占いを本気で信じる人なんて殆どいない。
そんな感じで毎日誰かのゆめを生きて、嘘を食べる。
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