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「日本語」と「通訳」の間 2019年の成人式に考える

▼今年、成人式を迎えた人は、東京の新宿区では約半分が外国人だったそうだ。

〈新宿の新成人、半数が外国人 日本語学校の留学生多く〉
(鬼室黎記者、2019年1月14日20時24分朝日新聞デジタル)

〈新成人の2人に1人が外国人の東京都新宿区で14日、成人式が行われた。会場にはマレーシア、ウガンダ、マダガスカル、ブラジル、中国、韓国、カナダ、フランスなどさまざまな国出身の若者の姿があった。

 区によると、新成人は4109人で、うち外国人が1868人と約45%を占める。区全体の外国人比率は10%余りだが、日本語学校や大学も多く、20歳を迎える留学生が多いことが一因という。

▼日本のすべての都道府県で外国人が増えているし、これからも増える。このニュースを見て思い出したのが、裁判の時の通訳が減っている、という記事だ。2018年11月26日付の東京新聞1面トップから。

〈法廷通訳、担い手不足/5年で200人減 ニーズ増/負担重く誤訳・冤罪の恐れ/入管法改正案で懸念〉

〈外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が臨時国会で審議される中、外国人が被告になる裁判で必要な「法廷通訳」の担い手が不足している。裁判所が法廷通訳の候補者をリスト化した「通訳人候補者名簿」の登録数は二〇一七年四月時点で六十二言語三千八百二十三人で、一二年(同・四千六十七人)より約二百人減ったことが、静岡県立大学の研究グループの調査で分かった。〉(中山岳記者)

これは、一大学の調査で分かったのであって、国の調査ではないわけだ。

〈同大の教員らでつくる「法廷通訳研究会」は、一二年と一七年、裁判所の通訳人候補者名簿の登録者数の推移を調べ、担い手が減っていることを突き止めた。〉

▼以下のような実態をくわしく知ると、「そりゃ減るよね」と思う。

〈国際関係学部の高畑幸教授(社会学)は「法廷通訳の依頼は不定期で、一回の通訳料は一万五千円程度。公判前に準備する資料の翻訳は無報酬だ。担い手の中心は一二年調査で四十代だったが、一七年では五十代に上がり高齢化の兆しもある。外国人の人権を守る責任の重さに比べて収入が低いことが、担い手を減らす原因ではないか」とみる。

法務省の犯罪白書によると、一二~一六年に通訳人が付いた刑事裁判の被告は約二千三百~二千七百人で増加傾向にある。言語は中国語など約四十。〉

▼当たり前だが、日本では日本人の犯罪が多い。外国人が増えれば、外国人の犯罪も増えるだろう。裁判の通訳で誤訳が増えれば、冤罪が増える。これも道理だ。目も当てられないひどい誤訳の例もある。

通訳が必要な言語は約40。「おもてなし」という言葉を支える日本の思想が、観光とは別のかたちで問われている、ともいえよう。

(2019年1月15日)

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