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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2021年1月の記事一覧

エロスとタナトスとタコスとティラミス

エロスとタナトスとタコスとティラミス

 
生と死を重ねてつくるティラミスのいちばん苦いところをすくう
 
しにたいと呟く夜のスーパーで手に取る赤の半額シール
 
洗いもの溜めておけない包丁のひかりがあんまりおそろしいから
 
この星で切実なのは皿を洗う音をバックにうたう歌だけ
 
たまごやき焦がした夜は眠るのも朝を呼ぶのも下手になるので
 
いい夢を見た日もひどい悪夢でもひたすらあげるからあげあげる
 
うつくしいひとはいつでもうつく

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フォーゲット・ミー・ノット(0129)

フォーゲット・ミー・ノット(0129)

 
もう怯えなくてよくなったことにいちいち怯えてしまうこと、お母さんと似てないねって言われてどっかほっとしてること、お父さん似なのって聞かれてもそうですかねぇ、って曖昧に笑って答えるしかできないこと、橋の下からひろってきたのよ、って、冗談がほんとうはほんとうだったら良かったなって、思ってごめんなさい、って、思えなくてごめんなさい、AIに育てられた子どもには愛が目に見えるものだって気付かれてしまうね

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いつかぼくの胸のスーパーノヴァ

 
夜にならないとわからないことがあって、だから太陽は後悔したことがないらしい。
惑星を10個、てきとうに拾ってくる。陽当りのよい不自由ない部屋(彼らにはすこしせまい)を与えて、日がな一日うたって暮らすように言った、きみたちのとこの住人はうちの星でうまくやってるので気にしないでのんびりしてね、と、笑いかけるのもわすれなかった、なのに、彼らのうちはんぶんくらいは、夜になると机に向かうようになった。

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ねぇサトシさん、ポケモンマスターってきっとかれらをいちばんあいした奴のことかな

ねぇサトシさん、ポケモンマスターってきっとかれらをいちばんあいした奴のことかな

エンペルト恥ずかしそうにしないでよわたしにとってはずっとペンちゃん

恋すると電気がはしるらしいのでピカチュウあの子に10まんボルト

ともだちになってくださいいつだってマスターボールのきもちで投げる

ぼうけんがこわいわたしの相棒はからげんきだけがとくいなズルッグ

大丈夫さみしくないよフーディンがまげたスプーンとすっぱいカレー

つきのいし抱きしめたってあのひとのかわいいピクシーに進化でき

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ザ・レッドモーメント・ネバーエンヅ

 

君、の命日には河があかくあかくなるから海も空も見なくたって背骨の前にひざまずける、パラレルワールドのわたしが死んだこと、アートじゃなくてエンタメにしてほしい、前世のわたしが死んだこと、歴史じゃなくてフィクション映画にしてほしい、あかいあかい線はゆっくりと規則的に伸びていく、ピアノを弾けないならレクイエムを贈れないので、指はぎゅうっとにぎって大人しくしておく、その代わりに6秒間、五感のすべてを

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