「この島が自分に合っていると思える」離島暮らし3年目を迎える彼女と、地域のつながり
埼玉県でアパレルの仕事をしていたけれど、気付けばもう西ノ島生活3年目に突入!
イベントの企画運営や島の方と移住者を繋げる活動を通して、みるみるうちに島に馴染んでいった坂本さん。
今回はそんな坂本さんと、彼女の島での暮らしに大きな影響を与えてくれている石塚さんにお話をお伺いしました。
西ノ島ならではの穏やかでふんわりな雰囲気が皆さんに伝わると嬉しいです。
ーおふたりが初めて会ったのは何がきっかけだったんですか?
坂本さん:
私最初にバスガイドに興味があって、それに同行させてもらった時にお会いした気がします。
確かその時のガイドが石塚さんじゃなかったですか?
石塚さん:
弘志くん(大人の島留学の西ノ島コーディネーター)が、最初に何人か島留学生を赤ノ江に連れて来たでしょう?
その中に坂本さんいなかった?
坂本さん:
私いなかったと思います(笑)
ガイドか春頃の縁側カフェだと思うんですけど。
でも早い段階で知り合ってはいたと思います。
別府地区(坂本さんが島留学生時代にシェアメイトと住んでいた地区)で安安会(別府地区の婦人会のようなもの)の方と色々させてもらっている時に、石塚さんもお手伝いで入ってくれることが多くて。
そこから関わりが増えていきました。
R4年の10月から赤ノ江に島留学生のシェアハウスができることになったんです。
そこに入居する子達に地区の案内をしてあげたいけど、自分で案内するにはちょっと知識が足りないなと思って。
そこで地区の案内を石塚さんにお願いすることにしました。
それが最初に頼らせていただいたことだったと思います。
ーお互いの第一印象はどんな感じでしたか?
石塚さん:
もう丸2年だよね。2年経つと大人になるよね。
最初は元気で賑やかな人だなって。
最近はちょっと落ち着いてきたかなって気はする。
坂本さん:
島の雰囲気とかに慣れてきたんですかね。
最初は「自分を売っていかないとな」って思っていたんで。
とりあえず自分を覚えてもらわないと、島で何かするにも難しいと思っていたので。
「あの元気な女の子ね!」「あの島留学生か~」みたいに
関わった人の頭に少しでも残った方が活動しやすいと思っていたから。
自分が必死だったから石塚さんの第一印象覚えていないです(笑)
石塚さん:
来たばかりの頃ってみんなマスクしていたけど、それでもなんとなく「元気な人だな」という印象でした。
坂本さん:
2年経っても頼りっぱなしです。
赤ノ江の案内とかもそうだし、「TERRACE」でもお餅出してもらったし。
石塚さん:
全然そんなことないんだけど。
でも何か頼まれたら断るのもかわいそうかなと思うから。
本当はこういうの(インタビュー)も外に出たくないんだけど(笑)
坂本さん:
今日寒いですもんね(笑)
私以外にもR4年度の島留学生だと、まいまいも朝市で石塚さんに出店してもらったりお世話になったと思います。
あと歴代で赤ノ江に住んでる子達みんな楽しいって言いますよね。
石塚さんの家にお呼ばれしてごはん食べさせてもらったり、
畑にも挑戦させてもらってるじゃないですか。
あと、みほちゃんも孫みたいな感じですよね。
石塚さん:
(みほちゃんは)自分でふつうに家に入ってくるよ。
若い人が島に来てくれて、声も掛けたいなって思うし。
赤ノ江地区では月に一度食事会をするんだけど、そこに来る地区の人たちも
島留学生と話すのを楽しんでます。
坂本さん:
私も一回その会お邪魔させてもらったことあるんですけど、
皆さん楽しそうに島留学生と話していて羨ましかったです。
別府では安安会の方とは関わるけどそれ以外の方とはそこまで関わりがあったわけではなかったので。
コロナ渦というのもあってそもそも食事会がなかったっていうのもあると思うんですけど。
石塚さん:
今は集会がない地区も多いからね。
地元の人と関わる機会が少ない所はちょっとかわいそうかなという気はする。
坂本さん:
私が関わってきた中では、赤ノ江地区が一番島らしさを体現している集落なのかなと思います。
食事会で皆さんが民謡をうたっていたのも印象に残っています。
また参加させていただきたいです。
石塚さん:
産業文化祭で私らがよもぎのお餅を出していたんだけど、
その時に坂本さんが暇そうにしていたから
「あんたお客さん引っ張っておいで!」って言って手伝ってもらって。
坂本さん:
楽しかったですね。
石塚さん:
この前もコインランドリーで会ったよね。
私とお父さんに大判焼きをくれてね。
坂本さん:
たまたまおふたりがいるのが見えたので。
石塚さん:
せっかく田舎に来ても、誰に声掛けていいか分からないままだとちょっとね。
だからといって私は「お世話する」みたいな感覚はないんです。
今赤ノ江に住んでいる島留学生も時々「行っていいですか?」って声をかけてくれて。
坂本さん:
いいな、私も遊びにいきたいです。中々時間が作れなくて。
なんだだかんだ忙しくて。「島なのに」って感じですよね。
ー坂本さんはご自身で変わったと思う部分はありますか?
坂本さん:
今まで意外と人見知りだったけれど、島内では人見知りしなくなりました。
海外旅行はできるけど、国内旅行はひとりじゃ行けないです。
周りの目が気になっちゃうんです。海外は何言っているか分からないし、オープンだから大丈夫なんです。
でもこの島なら、本当にヘマしなければ何してもいいかなって思えて。
だからこの島本当に自分に合うなって思えて。
この前浜田に行ったんですけど、ここより都会だけど自分は住めないかなって感じました。
コンビニとかもあるけど、ちょっと中途半端というか。
だったら極端に何もない方が私はいいなと。
人との関わりも西ノ島ほど密でもないと思うし。
石塚さん:
小さいまちの利点っていうのは大体顔が見えるところで。
でも顔が見えすぎるのが嫌という人もいると思うし。
坂本さんはこっちの環境が合っているんだね。
坂本さん:
合っているんだと思います。
この前もおじさんにLINEのやり方を教えに行ったんです。
午後休とって家でゴロゴロしていたら、玄関がガラガラって開いて「お前何で家にいるんだ、具合悪いのか」って体調を心配して家に来てくれて。
「昼寝してました~」って言ったら「暇ならLINEのやり方教えてごせ!」って。
教えに行って、そのお礼ということで夜ごはん食べさせてもらいました。
「某携帯ショップよりいいなあ」って言ってもらいました(笑)
石塚さん:
そういう風に接してもらえるのは、坂本さん自身が島に入っていくことに違和感がないからだよ。
「この島嫌だな」って思っているとどうしてもそれが滲み出ると思うけど、それがないから皆安心してそういう風に声をかけられるんだと思うよ。
坂本さん:
最近自分でも「島の方の知り合い多いな」って思うようになって。
同世代でも島の方と遊んでるんですよね最近。
移住者って移住者同士で遊ぶ人多いじゃないですか。
地元の人と飲みに行ったりドライブしたりして、「馴染めたんだな」って思いました。
石塚さん:
こっちの人になってきたんだきっとね。
移住者でずっと固まり過ぎちゃうと、なかなか島のいいところが見えてきづらい部分もあるかもしれないね。
ー島の好きなところを教えてください。
石塚さん:
一番はやっぱり海の見える景色なのかな。
赤ノ江からは、知夫里島と海士町の間の海が見えるんだけど、あれを見てると心が落ち着くというか。
坂本さん:
赤ノ江の海綺麗ですもんね。集落があって、その前に海が広がっているのいいなって思います。
中々ああいう地形の集落、西ノ島にないですよね。
石塚さん:
私は出身がこっちではなくて三重県なんです。
海があるにはあるけどやっぱりこっちとは全然違う。
こっちの冬は大変でしょう。暗い感じだし寒いし。
だけど春になっていく楽しさっていうのは向こうでは味わえなかった気がする。
「春になった!」っていう嬉しさは独特かな。
冬場の国賀海岸の眺めと、夏のそれも全然違うし。
そういうのは「西ノ島らしさ」にも繋がると思うんだけど。
坂本さん:
私はもう「人」ですかね。
この前浜田で地域おこし協力隊の活動報告をしてきたんです。
資料を作っていて「2年間で学んだこと」とかを振り返っていたんですけど、この島で過ごして、改めて「人と関わったりお話することが好き」だって気付けたと思います。
元々おしゃべりとかは好きだったんですけど
ここまで幅広い世代と話すことって中々ないですよね。
呼ばれてすぐ会いに行けたり、そういうのが苦にならないって
気付かせてくれた島の方が好きですね。
石塚さん:
こっちの人は素直というか、例えば「今度遊びにおいで」って言って、その相手が本当に遊びに来たらちゃんと受け入れると思います。
「本当に来たの?!」とはならないと思います。
ーどんな人が西ノ島に合っていると思いますか?
石塚さん:
「見える関係性」が好きな人はいいんじゃないかな。
あまり干渉されたくないようなタイプの人は嫌なのかなあ。
でもこればかりは来てみないと分からないですよね。
島留学のような形で、お試しで来てみるのはいいことだと思います。
坂本さん:
一概に「こういう人が合っている」とは中々言えないですよね。
私には分からないです。
合うか合わないかは住んでみないと分からないと思うので。
坂本さんの言葉通り、島での生活が合うかどうかは、
実際に来てみないと分からない部分も大きいと思います。
もしかしたらあなたも西ノ島での生活が肌に合うかも。
一度、島へ足を運んでみませんか?