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魔女の伝言板―日本の現代伝説


魔女の伝言板―日本の現代伝説

 副題に『日本の現代伝説』とありますね。現代伝説=都市伝説、と考えて、ほぼ間違いはありません。
 つまり、これは、都市伝説の本です。

 二〇一一年現在からすると、「ちょっと昔」の都市伝説を取り上げています。一九九〇年代の都市伝説ですね。
 とはいえ、二〇一一年現在でも、「これ、最近、聞いたなあ」という話もあります。
 もちろん、二〇一一年現在では、あり得ないだろうと思う話もあります。

 大まかに言えば、「道具立ては変わっても、人間の考えることや行動は、あまり変わらない」ことが、わかります。

 例えば、一九九〇年代―特に前半―には、インターネットが未発達でした。
 しかし、当時にも、コンピュータのネットワークはありました。それは、パソコン通信と呼ばれていました。
 パソコン通信の世界には、たくさんの都市伝説がありました。今のインターネットと同じです。
 「舞台がインターネットに変わっただけで、今でも、この話はあるんじゃないか」と思わせるものが、載っています。

 ネットを徘徊する都市伝説を検証したいなら、本書は、必読でしょう。貴重な例話が、いくつも載っているからです。

 個人的には、「パソコン通信にまつわる都市伝説」と、「博物館にまつわる都市伝説」が、興味深かったです。
 ことに、「博物館にまつわる都市伝説」は、他書では、ほとんど見られません。今後、大いに検証の余地があると思います。

 他に、定番である「トイレにまつわる都市伝説」や、「自動車にまつわる都市伝説」などが、載っています。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

I メカ社会
 パソコン通信
 うわさ
 魔女の伝言板
 パソコン通信の怪談
 江戸東京博物館のコンピュータ
 コンピュータのお祓い
 安売りパソコン
 ゴキブリの昇天
 ウラで走る
 ディスクをコピー
 新人とFAX
 書き込む
 B4でコピー
 メッセージをどうぞ
 顔コピー
 真夜中のコピー
 バーコード頭
 勝手に流れる心電図
 電磁波はキケン
 うまれるのは女の子
 オッ、俺だよ
 足返せ
 もう、くるな~
 カーステレオから声
 いってらっしゃい
 よくも落としたわね
 幽霊屋敷
 帰ってくる死体
 心霊写真の自動販売機(奈良編)
 自販機で声
 センサーに反応
 幻の電車
 幽霊電車
 無人のデラックスバス
 赤い車

II 日常生活奇談
 きれい好き
 ゴミ出し
 コンタクトレンズだと思ったものは……
 私そんなにきれい?
 危険な友人
 消えたタコ焼き
 エビとピラフ
 クソ
 半クラ
 急がばまくれ
 胃腸薬のコマーシャルソングはイ長調
 ドロボーにバッグを投げる
 電車の外にポニーテール
 とんだヘアー
 コンピュータウィルス
 横文字に弱い母
 猫に煮干し
 虎屋の羊羹は赤飯
 ドッペルゲンガー
 帰ってきた指輪
 奇妙な出会い
 異臭騒ぎ

III トイレ
 三番目の花子さん
 赤い紙やろか青い紙やろか
 三ばばあ
 覗いていた顔
 カミをくれ
 赤いマント
 足はどこ
 紫ばばあ
 トイレの鏡
 トイレの神隠し
 便器から手
 トイレのしみ
 開かずのトイレ
 トイレから泣き声
 トイレに首

IV 金しばり
 金しばりにあうベッド
 幻視の中で歩いたキリンの縫いぐるみ
 金しばりの幻聴で聞いた泣き声
 添い寝して触れられた金しばり体験
 金しばりの証拠
 二人同時に金しばり
 幽体離脱と魂の浮遊

V 車社会
 死ねばよかったのに
 人柱をたてたトンネル
 工事中の事故死と怪異
 交通事故とトンネルの怪
 火葬場とトンネル

VI 博物館
 心霊写真1 呪われた花嫁衣装
 心霊写真2 甲冑の怪
 赤ちゃんの泣き声
 悪魔が来たりて髪を引く
 処刑用の籠
 ポルターガイスト1 怪奇を招く霊感少女
 ポルターガイスト2 収蔵庫の扉
 だれか来てェ!
 足音
 白い人影
 金しばり
 資料が少ない収蔵庫
 祟りをなす資料
 絵馬展の怪
 飛び込み自殺
 おまじない
 肝だめし

解説・現代伝説の魅力  常光 徹
主要引用文献
関連文献



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