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映画「ヒトラー〜最期の12日間〜」感想

この映画は決してヒトラーを美化した話ではないです。

元秘書から見たヒトラーは、
世界を恐怖に陥れる独裁者ではなく
惨めで弱々しい等身大のただの人間でした。

戦局が著しく悪化していき、
敵軍に囲まれ、自軍はボロボロの瀕死状態。

次から次へと信頼していた部下に裏切られ、
残った部下には感情のまま怒鳴り散らし、
戦意を無くし、落ち込む姿まで映し出します。

これがあの世界に恐れられていた独裁者なの?
・・・いやぁ・・惨めで悲惨だなぁ

っと、見るに耐え難い情けない姿がそこにありました。

原題(ドイツ語)は「Der Untergang」
「失脚」「没落」という意味らしいです。

まさに内容通りのタイトルですね笑

あらすじ・解説

1945年4月20日、ベルリン。ソ連軍の砲火を避けるために、ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)はドイツ首相官邸の地下要塞に退却していた。すでに正常な感覚を失っていたヒトラーは部下に実現不可能と思える作戦を熱く語っていた。

解説: 本年度アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた衝撃作。監督は『es』のオリヴァー・ヒルシュビーゲル。『ベルリン・天使の詩』のブルーノ・ガンツがヒトラーにふんしている。本国ドイツでは映画公開自体が一つの事件として大きな社会現象を巻き起こした作品。

引用:シネマトゥデイ

概要

上映時間:155分
制作国 :ドイツ/イタリア
公開日 :2005年7月9日
ジャンル:ドラマ・戦争

みどころ・ポイントについて


一枚岩ではなかったナチス

規律が厳しく統率力がとれたナチス。

そういったイメージがありましたが、
1945年4月のベルリン市街戦ではそれは皆無でした。

冒頭からヒトラーの右腕であった
ヒムラーはヒトラーに和平交渉を提案するが
却下されてしまい
そそくさと連合軍へ寝返ってしまいます。

前線で戦う指揮官も戦況に絶望して、
ヒトラーの指令を受けるふりをして
まったく戦う意思を示さず、
いつでも降伏できるよう準備。

地下壕で必死に挽回を図ろうと
各拠点に伝達を伝えるが、
ことごとく大敗または指令無視される始末・・。

全盛期はドイツをまとめ上げて、
ヨーロッパ全土を支配下においてたナチスも
いまは見る影もありません。

ナチスという組織の中においても、

タイプA:離反派
このままではヤバい!死ぬくらいだったら、
主義主張を曲げて、生きる道を探そう派。

タイプB:忠誠派
どんなに状況は悪くても主義主張は曲げられない
だったら死ぬまで徹底的に戦う派。

大きくはこの2派にわかれます。

映画を見ているとほとんどが
タイプA:離反派のものが多かった気がします。

タイプA:離反者の中にも、
①ヒトラーに助言して否定されたうえで密かに逃げ出すもの。
 (ヒムラーなどのごく一部の上層部タイプ)
②表面上指令に従うふりをして降伏の機会を探るもの。
 (現場レベルの上層部タイプ、そもそもヒトラーに意見言えない笑)
③ヒトラーに堂々と別れを伝え離れるもの。
 (激レアケースのアルベルト・シュペーア)
④ヒトラーに助言して否定され絶望して死ぬもの。
 (親衛隊の医師)

など、極限状態においてのナチスから離れる事を
選んだ人々の行動が色々とあり、
独裁政権の成れの果てをまざまざと映し出します!

どんなに神格化された独裁者であっても
絶対的な存在ではない。
そう教えてくれる組織の分裂がとても詳細に描かれ
印象的でした。


人間ヒトラーを演じる名優

今作はとにかくアドルフ・ヒトラー役を演じた
ブルーノ・ガンツさんが本当に素晴らしかったですね!

wikiを調べて知ったのですが、
大腸がんで2019年にすでに他界されていたのですね・・。
(享年77歳)

歴史で知るヒトラーの映像は少し残っていましたが、
はじめは、正直そこまで似ていないなぁっと思いました笑

老け過ぎ?ちょっと丸すぎる?っと・・

だけど、この作品を観て気持ちが変わりました。

演技って見た目を凌駕して、その人に見えてくるのか?
っと思えるくらいヒトラーになりきり熱演!!!

実際に死ぬ直前のヒトラーの映像や写真などはなく、
見たこともないのであくまでもイメージですが、、
全盛期を過ぎ去り、衰退していく最期の姿として
ハマり役であったと思います!

仲間に裏切られ、作戦がことごとく失敗して
四面楚歌な状態となったヒトラーを
哀愁感たっぷり演じられたブルーノさん、
ご冥福をお祈りします。


学校教材として映画もあり?

この映画は、戦争の悲惨さや命の大切さ、
ナチスが行ってきた狂気ともいえる戦争の愚行を
しっかりと描写して観る人へ訴える内容があります。

ぜひ学校の歴史の授業などでも
こういった名作映画を子供達に見てもらい、
ただのテキスト情報だけではなく、
しっかりと感じ取ってもらえる映画を
教材として活用してもらいたいですね。

戦争・争いは愚かで悲惨なものである。

だからこそ未来を担う子供達に
ぜひ観てもらいたいなぁっと思いました!


以上となります。
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では、また次回!

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