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12ビート

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旅と音楽に纏わるポエム、歌詞の超訳など。
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#ポエム

『12ビート』

『12ビート』

12ビートの円を描く。
12小節の乾いたリズムに色を付けてみる。
12ビートのリズムがメロディに変わる。
メロディに12ビートのリズムを上塗りする。12ビートの景色があっという間に出来上がる。

12ビートをループさせる。
軌道を外れることなく宇宙空間を堂々巡りする流星群のように。  

4ビートの間に、0.5ビートの休符。
4ビートの間に、0.5ビートの休符。
プラス4ビート。

メロディの始ま

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『16ビート』

『16ビート』

16ビートの円を描く。16ビートの乾いたリズムに七色をつける。出来上がった16小節のメロディーにリズムを上塗りする。あっという間に16ビートの音楽が出来上がる。

同時に『荒城の月』の16ビートのリズムを延々とループさせる。何の脈絡もなく。全く無関係に生きている、通りすがりの他人のように。

1はる 2こう 3ろう 4の 
5はな 6の 7えん 8 ー
9めぐ 10る 11さか 12づき
13いま

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『行き着く果てには』

『行き着く果てには』

一筋の希望の光を見出だして、手探りで進んだ時の事を私は覚えている。群衆の群れが、暗殺者の存在に恐れおののき、行き場を失う暗闇の中で。
愛と平和を口にして、それで上手く行くのだろうと彼らは言った。行き着く果てには。

政治家たちにとって、烏合の衆の一人に過ぎない男が凶弾された。揺れ動く時代の節目の中で。
怒りと不信に満ちた刺々しい空気の街の通りを群衆の群れが進み、それで上手くいくのだろうと彼らは言っ

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『棒切れ一本、交差点』

『棒切れ一本、交差点』

Cross road 悪魔の誘いを受けて立ち。
Cross road 原始の男が仁王立ち。
Cross road 棒切れ一本天を突き。
Cross road オイラは根性試された。

オマエは東へ、アイツは西へ。前後も左右も。過去も未来も。海も空も。光も影も。
ワルツを踊る、玉雪粉雪。

Cross road オイラは十字路ど真ん中。
棒切れ一本思いのままに。
Cross road 何もかもをも操

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『転がる石のように』

『転がる石のように』

昔は綺麗ななりをして。大判振る舞いして、そのうち落ち目に合うって噂され。あんたは嘲りだって突き放し、笑ったよな。ブラついて、職にあぶれた奴らに今はデカイ事も言えないよな。プライドも無くして、飯にありつく事しか考えられなくなって。

どんな気分だよ。帰る家もなくしてさ、思いも至らぬ方に、転がって、転がって、転がる石のように転がって。

偽政者にアーティストだとかおだてられたよな。だけど体を張って生き

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『Peace In The Valley 』

『Peace In The Valley 』

私が窓の外を見ると、谷に静寂は訪れていなかった。私のせいでもあったのだけど、兄たちの仕業だって分かっていた。遊び疲れるまで遊んで日が暮れてきたのだけど、私たちは構わず遊びに続けた。私は一つの事実を知った。まだ何も始まっていないということを。真実は一つしかなかった。まだ何一つ始まっていない。

あなたに潜む、小さな嫉妬心に気を付けて。あなたの楽しみを壊してしまうから。そして心の準備をしてほしい。今か

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『It's Going To Take Some Time』

『It's Going To Take Some Time』

今は時がかかるかも。元に戻るまで。答えの入り口で答えを見つけ損なって。木々で羽を休める眠りについた鳥たちが、私の名を呼び、さえずり始めるまで。

今は時がかかるかも。何をすべきか解らないから。けれど沢山の涙を流した後、心が落ちつくように、冬を越した若い木々が枝葉を広げる季節が来るから。もう一度路上へ踏み出せばいいのだから。

今は時がかかるかも。木々が枝葉を広げる季節が来るまで、何をすべきか解らな

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『Knockin' On The Heaven's Door 』

『Knockin' On The Heaven's Door 』

母さんへ。

他人が僕に貼り付けたレッテルを外して欲しい。

もう使い物にならないから。

何もかも暗すぎて見えないから。

僕は天国のドアをノックした。

天国のドアをノックした。

天国のドアをノックした。

母さんへ。

僕が手にした銃を地面に転がしてくれ。

僕はもう、撃つことはないから。

空が雲に覆われたから。

僕は天国のドアをノックした。

天国のドアをノックした。

天国のドアを

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『ポケットは空っぽだけど』

『ポケットは空っぽだけど』

友だちも夢も、ポケットのお金も無くしちゃって。心も体もがんじがらめに縛られて。楽しいことなんて考えつかないの。ロープを振りほどこうと、必死なの。他に何をしたらいいか解らなくて。もう限界かもしれなくて。

空を雲が覆いつくしている。けれどロープを振りほどこうと、必死なの。

他に何をしたらいいか解らなくて。私は色々考えすぎていたから。

誰かがハシゴを降ろしてくれたから、私は少し元気になって登って行

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『地面に風穴を開ける』

『地面に風穴を開ける』

地面にガッパリ風穴を開けてやったよ。オレの隕石みたいなパンチ一つで。

むしゃくしゃするからよ、植物みたいにワシャワシャしている男どもが。

地面って奴は、ずうずうしいんだよ。てんで動こうとしないから。女みたいだよ。

ユンボやトラクターなんて大嫌いだよ。奴らは規則正しく動くから。血の通っていない油だろ?鉄の塊に解る訳がないだろ?生き物の本当の気持ちが。

いつでもオレは、スコップ一丁で十分だ。

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『君は僕の友だちだから』

『君は僕の友だちだから』

君が生まれ出ずる困難に晒され、打ちのめされて、誰かの愛が必要なのに、誰も、誰も、君に道しるべを示してくれなくても。ゆっくりと目を閉じて、僕を感じて欲しい。僕は君の元へすぐに駆けつけるから。君の心の闇に、必ず明かりを灯すから。

ただ僕の名前を呼んでくれればいい。僕はいつでもどこでも、何度でも君の元へ駆けつけるから。

冬でも春でも夏でも秋でも。僕の名前を呼んでくれればいい。直ぐに行くから。君は僕の

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『Up On The Roof』

『Up On The Roof』

地球の創世記以来きっと色々な事がありすぎて、沢山の出会いと出来事に疲れきってしまったから、一つずつ階段を登って、屋根によじ登ってみたの。

少しだけ私の気分は良くなった。屋根の上ってドキドキするけど難しいことなんて忘れてしまうから、一緒に屋根に登ってみようよ。

ネズミたちのレースみたいな騒々しさや、沢山の出来事に打ちのめされて、疲れ果てて寝床に帰ってきたのだけど。屋根の上で、新鮮で心地よい風に吹

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『北国の少女』

『北国の少女』

もし北国の祭りに行く事があるのなら、伝えて欲しい。国境に強い風が吹き付ける所だけれど。僕の事を覚えている人たちに伝えて欲しい。僕が彼女を愛していた事を。

雪の礫が渦巻いて、夏が終り、川は凍りつき、吠えるような風が吹き付けているだろうけど。彼女が暖かいコートを身に纏っているか確かめて欲しい。彼女が長い髪を垂らしているか確かめて欲しい。僕は確かに、そんな彼女の姿を覚えているのだから。

彼女は何度も

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『カイラスへの旅』

『カイラスへの旅』

お掃除していたら、二十代で俺が狂ったように旅をしていた頃の詩集や写真が出て来て驚いた。片言の中国語と人民服で変装し、ヒッチハイクを繰り返し、人民解放軍の基地に連れ込まれた時、難聴のふりをして、困難を切り抜け、このヒンズー、ボン、ジャイナ、仏教徒の聖地、カイラスに辿り着いた事を思い出した。

ある時俺に、売人が言った。人を刑務所に入れる事が何故刑になる。人の自由を奪う事は、刑になる。その対極にあるの

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