見出し画像

『行き着く果てには』


一筋の希望の光を見出だして、手探りで進んだ時の事を私は覚えている。群衆の群れが、暗殺者の存在に恐れおののき、行き場を失う暗闇の中で。
愛と平和を口にして、それで上手く行くのだろうと彼らは言った。行き着く果てには。

政治家たちにとって、烏合の衆の一人に過ぎない男が凶弾された。揺れ動く時代の節目の中で。
怒りと不信に満ちた刺々しい空気の街の通りを群衆の群れが進み、それで上手くいくのだろうと彼らは言った。行き着く果てには。

窒息しそうなほど街の空気は濁りきり、人々は大地にひれ伏し涙して、自らが無価値で無力と思い知り、未来は自らの手に委ねられている物と知り、それで上手く行くのだろうと彼らは言った。行き着く果てには。

多分、いつの日か。
行き着く果てには。

『Eventually』Carole King

写真 小幡マキ 超訳 大崎航

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?