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詩作まとめ

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2022年3月の記事一覧

『キラメキハショウゲキハ』

『キラメキハショウゲキハ』

表参道はウツロゲな人の群れを戻し
明治神宮前カラーフイルムを巻く

それどころじゃないね
とボヤき
それどこかできいたね
を横目に
そんなもんは知らん
と捨て歩く
そんなヤツの姿も
ウツロゲで

裏道の先の待ちぼうけした時間でノド癒す
笑い飛ばされた箱庭にはクチナシの花が咲き

これどこにもないね
とウツロゲで
これどこかで見たね
を捨て歩く
こんなもんわからん
と向き合う
そんなヤツの姿は
ここ

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『ヒトデクルー2』

『ヒトデクルー2』

星に帰るロケットの クルーが見えるこの海に
青いレインコートの クルーがひとりで落っこちた
カタチはおおよそ ヒトデに似ていて
記憶はすべて 飛んでった
ロケットになって

✳︎

海に馴染むヒトデたち クルーに次々絡みつく
ひなたぼっこのヒトデたち クルーは開いた貝を踏む
ナミダは大ウソ 赤潮にまじって
一握の砂 溶かしていった
バラバラになって

✳︎

ヒトデたちの踊りを真似ることより
目の

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『残像陶冶』

『残像陶冶』

駅の前

ぽつんと長い影一つ

どぶ底の、あの日の曙光に反射した

ひどくなまった針みつけ

それを、そうっとズックへと

白々と、そして騒やかな森へと

回送を見送り、次を待つ

✳︎

闇に覗く、ゾードロープのその隙間

繰り返される信号の、消えて、点いてはまた消える

網膜に灯るその残像、残像、残像・・・

――いつか観た、ニューシネマが

記憶からこぼれた、その刹那

ゴウン、と響いた雷鳴

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『鈍色の絨毯を織る』

『鈍色の絨毯を織る』

下じきになってしまった人のため
泣きうたい 鈍色の絨毯を織る
そのこころ 窓に映る今は鋭いイチョウの樹
そのうた かつて母が読み聞かせてくれた絵本

鉛のように冷ややかで ささくれたったこの床に
絨毯を敷き 膝を抱えた

飄々と海風が吹き抜ける
ーー黄緑色の原風景が
頭の中で 巻きあがる

その絨毯を売る

『Sjoop』

『Sjoop』

“お開けください お開けください”
心は広く なお狭く
その語に挟まれ 哭きもがく
振り返り 眼下に御出でになる像に
繰り返し 描かれる紐の譜を
唯一度だけ 歌ってる

「Sjoop 待つわ
動くわ
あなたの為に…」

偽も真も 何もない
有るのは 幾何学するあなた
閉口する僕