空想草紙屋 猩々堂 sho-jo-do

ミステリ小説を中心に扱うちいさなちいさな空想の本屋、猩々堂です。 おすすめ本やフェアの…

空想草紙屋 猩々堂 sho-jo-do

ミステリ小説を中心に扱うちいさなちいさな空想の本屋、猩々堂です。 おすすめ本やフェアの紹介、店主の日々の雑記など。

最近の記事

おすすめ本紹介 「黒野葉月は鳥籠で眠らない」(織守きょうや/双葉社)

教え子の女子高生への淫行容疑で家庭教師の男が逮捕された。 その弁護人になった木村龍一は、非協力的な被疑者に戸惑うばかり。 だが、不起訴を望む被害者の黒野葉月が木村のもとを訪れ、法に則った驚くべき切り札で事件をひっくり返してしまう。 新米弁護士の木村が先輩の高塚と共に難儀な依頼を解決。 鮮やかなどんでん返しと感動の結末が待ち受ける連作短篇「木村&高塚弁護士」シリーズ第一弾。 いわゆる、「リーガルミステリ」というジャンルに属する短編集です。 店主は、このリーガルミステリ

    • 書店員日記 「POPってどう描きますか?」

      店主はミステリ読みなので、POPを描くのも必然的にミステリが多くなります。 どんな小説でもそうですが、ミステリは特にその性質上、先入観や情報をなるべく入れずに読んだ方が面白いものが多いです。 クイーンの「国名シリーズ」や有栖川有栖さんの「学生アリスシリーズ」のような、いわゆる「犯人当て」ミステリであれば、ある程度内容がわかっていたところで面白さが減じることはないかもしれませんが、「どんでん返し」を売りにしているタイプのミステリは、何も知らない状態で読みたいものです。

      • 書店員日記 「音符の種類と意味が載っている本ありますか?」

        こういう感じの問い合わせは、実はけっこう多いのです。 店主が受けた問い合わせでは、たとえば、 「平成元年が西暦何年かとか調べられる本ある?」 とか。 もちろん、音符の意味が載っている本もありますし、和暦と西暦の対応表が載っている本だってあります。 そりゃあるんですけどね。 でも、それって本にするほどの情報量ではないですよねえ。 和暦と西暦の対応表なんて1ページで終わっちゃうし。 そもそも、自分の生年の和暦と西暦は皆知っているのだから、その年をもとにして自分で紙に書

        • 書店員日記 「講談社の「漱石の妻たち」って本ある?」

          このお問い合わせはすぐに正解がわかりました。 出版社も正しいし、タイトルもほぼ合っています。 店主はこの本を読んだことがあったのですぐにピンときましたが、もしこの本の存在を知らない書店員さんだとしても、「漱石」「妻」「講談社」のキーワードで簡単にたどり着くでしょう。 書店員の検索の基本は、 「てにをは」や余計な付属物を外してシンプルなキーワードのみで行う というのが第一原則。 その基本技で十分、正解にたどり着きます。 でも、よく考えると。 「妻たち」って、漱石

        おすすめ本紹介 「黒野葉月は鳥籠で眠らない」(織守きょうや/双葉社)

          書店員日記 「10人の有名建築家がホテルを作ったらしくて…その本ある?」

          お問い合わせしてくださったのは、年配の男性のお客さん。 このお問い合わせの正解は、残念ながらわかりませんでした。 「そのホテルの建築写真集のようなものですか」 「もしくは建築の専門書ですか」 「雑誌か、書籍かわかりますか」 「何でその本を知ったのですか」 「いつ頃出た本ですか」 「その建築家の方って一人でもわからないですかね」 など、いろんな質問を重ねてしました。 でも、お客さんが何もわからないみたいで……何を訊いても、「10人の有名建築家がホテルを作ったらしくてさあ

          書店員日記 「10人の有名建築家がホテルを作ったらしくて…その本ある?」

          書店員日記 「春雨入りハンバーグが作りたいんですけど、載っている本ありますか?」

          内容を訊かれる問い合わせというのも、わりとあります。 これこれこういうことが知りたいからそれが載っている本はありますか、というような場合です。 たとえば、 「折り紙で『新幹線』を作りたいんだけど、載ってる本あるかな?」 というような場合。 これはそれほど難しい話ではなくて、折り紙の本の目次を見れば新幹線の折り方があるかどうかはすぐわかるでしょう。 何冊か確認すればたぶん見つかると思います。 でも「春雨入りハンバーグ」って。 どのレシピ本見ればいいのかわからないし、そもそ

          書店員日記 「春雨入りハンバーグが作りたいんですけど、載っている本ありますか?」

          おすすめ本紹介 「放課後探偵団」(相沢沙呼・他/東京創元社)

          収録作品と作家さん。 「お届け先には不思議を添えて」(似鳥鶏) 「ボールがない」(鵜林伸也) 「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」(相沢沙呼) 「横槍ワイン」(市井豊) 「スプリング・ハズ・カム」(梓崎優) 全編書き下ろしの学園ミステリ・アンソロジーです。 東京創元社からデビューした1980年代生まれの若手作家さんが「学園」というくくりで若い読者層に向けてミステリを書く、というのがこの本のコンセプト。 学園ミステリなのでどれもライトな感じで読めますが、その一方で、本格

          おすすめ本紹介 「放課後探偵団」(相沢沙呼・他/東京創元社)

          書店員日記 「これの前の巻ありますか?」

          40代くらいでしょうか、女性のお客さんが、 「これの前の巻ある?」 お客さんが手に持っていたのは、「ないものねだるな」(阿川佐和子/中央公論新社)です。 「ないものねだるな」は、阿川佐和子さんが日々の生活の様子や、そこで考えたことなどをユーモア溢れる表現で綴ったエッセイです。 もちろん、エッセイでもシリーズになっているものはあります。 たとえば、東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズ。 文庫版では特に巻数が振ってあるわけではありませんが、単行本ではシリーズ

          書店員日記 「これの前の巻ありますか?」

          書店員日記 「この本、最近出ましたか?」

          先日、お客さんとこんな会話がありました。 「これ私買ったかどうかわからなくなっちゃって。最近出た本かしら?」 「えーと、これは……最近じゃないですね」 「そうなの。いつ出たの?」 「えっと、今年の2月に発売されていますから、もう3か月くらい前ですね」 「あら、今年出た本なのね。ならまだ買ってないわ」 書店の商品のサイクルはとても速いです。 主な文庫本だけを見ても、月の前半は文春文庫、光文社文庫、幻冬舎文庫、双葉文庫。 中旬で講談社文庫、集英社文庫。 後半は角川文庫、新

          書店員日記 「この本、最近出ましたか?」

          書店員日記 「鬼滅の刃、どこにありますか?」

          「鬼滅の刃」のアニメ柱稽古編が始まりましたね。 コミックのアニメ化は売上にかなり影響を及ぼしますが、「鬼滅の刃」のように社会現象にまでなったものはさすがに少ないです。 あの頃は大人も子供もみんな、鬼滅、鬼滅、鬼滅。でしたから。 店主も大好きでアニメも観ていましたし、いまだに時々コミックは読み返してしまいます。 「鬼滅の刃」について語りだすと長くなってしまいそうなので、やめておきます。笑 さて。 アニメの影響からか、昨日、ご年配の女性のお客さんから、 「『鬼滅の刃』はどこ

          書店員日記 「鬼滅の刃、どこにありますか?」

          おすすめ本紹介 「好きです、死んでください」(中村あき/双葉社)

          発売前に出版社さんにプルーフ(校正用に刷られた本。発売前に書店員などに試し読みのために配布される)を頂き、とても気に入った本です。 発売されたら絶対がんばって売るぞ! と思っていたのですが……今のところあまり評判になることもなく……売れ行きも含め、とても寂しいです。 今後も推していきたい一冊なので、ぜひここで紹介させてください。 無人島のコテージに滞在する男女の恋模様を放送する、恋愛リアリティーショー「クローズド・カップル」の撮影が始まった。 俳優、小説家、グラビアアイドル

          おすすめ本紹介 「好きです、死んでください」(中村あき/双葉社)

          書店員日記 「値段、消せますか?」

          プレゼント用に本を購入されるお客さんはわりと多いです。 年齢層で言えば、圧倒的に年配のお客さん。 若い方はあまり、本を誰かにあげるということはしませんね。 おじいさん、おばあさんが、お孫さんや知り合いのお子さんに絵本や児童書をプレゼントするというパターンが一番多いような気がします。 最近はプレゼント用の袋を用意しておいて、それに入れるという書店も増えているようですが、当店は昔ながらの紙の包装を採用しています。 包装紙は、四種類。お子さん用の可愛らしい絵柄が2種類と、大

          書店員日記 「値段、消せますか?」

          フェアの紹介 「雨の日に読むミステリ7選」

          本日、関東地方は雨降りです……雨の日の書店はとても暇です。 晴耕雨読という言葉がありますが、雨の日に本を読む人はいても、買いに来てくれる人はあまり多くないようです。そりゃそうですね。 そこで、当店では雨にまつわるミステリを集めてみました。 梅雨入りにはまだちょっとありそうですが、雨降りの日にぜひお手に取って頂けたら嬉しいです。 死神の制度(伊坂幸太郎/文芸春秋) 死神は担当となった人間が死ぬべきか、そうでないかを一週間のうちに判断し、決断する。それが彼らの仕事だそうです

          フェアの紹介 「雨の日に読むミステリ7選」

          書店員日記 「返品できますか?」

          返品、交換を受けつけるかどうかは書店によると思います。 当店では、基本的にはどちらもお断りさせて頂いていますが……あくまでそれは原則。ケースバイケースで受けることもあります。 たとえば、 「これ先週買ったコミックなんだけど。2巻がほしかったのに、間違えて1巻買っちゃって。ダブっちゃったので替えてもらえるかなあ」 なんていうのは、お断りしています。 コミックの場合は「読んじゃった。1回読めばもう要らないから次の巻と替えてもらおう」というのができてしまいます。 すべてのお客さ

          書店員日記 「返品できますか?」

          書店員日記 「ブックカバーお付けしますか?」

          皆さん、書店でブックカバーって付けてもらっていますか? 店主は他のお店で買い物をしたときには、基本的にはブックカバーも袋も要りません、と言っています。 付けていただいても結局、家の本棚に並べるときは外すことになるのであまり意味がないかなと思っています。 外に持ち出すときは、自前のブックカバーを付けていますしね。 初めて訪れた書店の場合は例外で、カバーを付けてもらっています。 その書店オリジナルのものだと記念になるのでとても嬉しいです。 さて。 ご年配のお客さんは、カバ

          書店員日記 「ブックカバーお付けしますか?」

          書店員日記 「お店の人ですか?」

          書店員のユニフォームと言えば、皆さんどんな格好を思い浮かべますか。 おそらく、多くの方がエプロン姿を想像するのではないでしょうか。 でも、当店では、エプロンを着用しているのは女性スタッフだけです。 以前店主が勤めていた書店でもそうだったので、そのパターンの書店はわりと多いのかもしれません。 男性スタッフは基本的に、ワイシャツ(ネクタイは個人の任意)にスーツのパンツ。一見、普通の会社員ですね。 もちろんネームプレートは付けているのでよく見れば書店員だとわかるのですが。

          書店員日記 「お店の人ですか?」