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書店員日記 「月刊誌ってどこ?」

「あのさ、月刊誌ってどこに置いてあるの?」
 
これ年配の男性のお客さんにありがちな問い合わせです。
ベテランの書店員になるとたぶん一度くらいは訊かれたことがあるでしょうから、すぐに察して案内ができますが、新人アルバイトさんとかだと戸惑うかもしれません。
 
「〇〇誌」というのはその雑誌の刊行ペースを表現しています。
週に1回発売される雑誌は週刊誌、月に1回なら月刊誌、2か月に1回なら隔月刊誌、年4回なら季刊誌です。
つまり、毎月発売される雑誌はすべて「月刊誌」であり、店頭に並んでいる雑誌のほとんどは「月刊誌」なのです。

「どこにあるの?」と言われましても、そこらで見えているほとんどが月刊誌でしょうに。
と言いたくなってしまうわけです。
 
そうではなくて。
この場合、お客さんが訊ねているのは、「文芸誌」または「総合誌」のことです。
「文芸誌」はたとえば、「文學界」「群像」「文藝」「すばる」「新潮」など、小説やエッセイなど文学作品を掲載している雑誌ですね。月刊のものも隔月刊、季刊もあります。
「総合誌」は、思想、政治、経済などの論文・評論などが掲載されている雑誌。「月刊WILL」「月刊Hanada」あたりがメジャーどころでしょうか。
 
たぶん、お客さん的には、
週刊文春 ⇒ 「週刊誌」で通じる
文藝春秋 ⇒ それなら「月刊誌」で通じるだろう

みたいなイメージなのでしょうね。
ちなみに、このお客さんが探していたのは「中央公論」でした。
 

 
そう言えば、こんなお問い合わせもありましたね。
 
「月刊の『現代』ってある?」
「はい? 『週刊現代』ではなくて、月刊ですか?」
「週刊誌じゃないよ。月刊のやつ」
「えーと……『月刊現代』っていう雑誌はないので……では総合誌とか文芸雑誌のコーナーをご案内しますね。こちらです」
「ありがとう、見てみるよ」

 
お客さんがレジに持って来られたのは「正論」でした。
なぜ……「正論」が「月刊の現代」になっちゃうの?

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