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書店員日記 「100まんびきのねこってどこにありますか?」

「孫が猫大好きで、猫の絵本ばっかり読んでるのよ」
 
店主も猫を飼っているので、こういうお問い合わせは嬉しくなってしまいますね。
統計をとったわけではないので単なる肌感覚ですが、書店員は猫好きが多いような気がします。
書店や本のシンボルに使われているのも犬より猫の方が多いかも。
犬って猫に比べてアクティブなので、インドア派の猫の方が「読書」と親和性が高いのかもしれません。
 
さて、それはともかくお問い合わせです。
 
「100まんびきのねこ……ですか? ええと、『100万回生きたねこ』ではないですか?」

 
この時点で店主は「どうせ『100万回生きたねこ』の間違いだろう。あるある」みたいな気持ちで対応していますが、後にそれを後悔するはめになります。
 
「違うのよ、それはもう持っているの」
「あ、そうなんですね。申し訳ありません。ではこちらでは?」

 
「ああ、それも持っているの。私も大好きなんだけどね」
「本当に申し訳ありません。お調べしてまいりますね……」

 
と、検索したら。
 

 
「100まんびきのねこ」ってあるんですね……お客さんは何も間違ってなかったです。恥ずかしい。本当にゴメンナサイ。
 
お問い合わせは基本的に「疑ってかかる」というのは、実は失礼なことではなくて、むしろその姿勢で挑む方が、お客さんの探している本に短時間でたどり着きます。
これは「お問い合わせの基本」です。
(あなたの言ってること間違ってますよね、という感じを態度に出すのはNGですが)
お客さんが間違ったタイトルを言っているのに、そのまま検索して「そんな本ないですねー」とか言っている方がよっぽど不誠実だと思います。
 
でも、今回のようにお客さんが言っているタイトルを最初から間違いと決めつけてかかるのはまったくもってよろしくない。猛省すべきです。
 
そういえば、以前にもこんなことがありました。
 
「空手家の人が描いた漫画ある?」
 
このとき店主のアタマにはなぜか大山倍達とかそういう人たちが浮かび、
「えーと、空手家の人はたぶん漫画とか描かないと思うんですよね。たとえば大山倍達さんの自叙伝みたいな本だったらありそうなんですが、そういう感じですか?」

「違うのよーカラテカの人が漫画描いてベストセラーになってるって聞いたから」
 
そうなんです。お客さんが探されていたのは、
 


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