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書店員日記 「これの前の巻ありますか?」

40代くらいでしょうか、女性のお客さんが、
「これの前の巻ある?」
 
お客さんが手に持っていたのは、「ないものねだるな」(阿川佐和子/中央公論新社)です。
 

 
「ないものねだるな」は、阿川佐和子さんが日々の生活の様子や、そこで考えたことなどをユーモア溢れる表現で綴ったエッセイです。
もちろん、エッセイでもシリーズになっているものはあります。
たとえば、東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズ
 


文庫版では特に巻数が振ってあるわけではありませんが、単行本ではシリーズ●巻と表紙に書かれていますね。全47冊にも及ぶシリーズですし、タイトルもすべて「●●の丸かじり」で統一されていますから巻数が振られているのも当然と言えましょう。
 
「ないものねだるな」も、雑誌「婦人公論」に連載されているエッセイをまとめたもので、「いい女、ふだんブッ散らかしており」「老人初心者の覚悟」に次ぐ第三弾にあたるので、もちろん「1巻」とか「3巻」とかいう捉え方も間違っているわけではないのですが。

シリーズ名があるわけでもなく、タイトルが個別についているエッセイ集を「巻数のあるシリーズ」として認識してはいませんでした……。
たとえば伊坂幸太郎さんの「グラスホッパー」「マリアビートル」「AX」をまとめて「1巻から3巻までぜんぶ面白いよ!」みたいな言い方には違和感があるというかなんというか。

でも、そういう風におっしゃる方もいらっしゃるんですね。覚えておかなければ!
 
お客さんは2巻目にあたる「老人初心者の覚悟」を買っていかれました。
 


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