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書店員日記 「小説の映像化はどうするべきですか?」

先日、ドラマ「セクシー田中さん」の件について社内調査報告書が発表されましたね。

店主は、ドラマをまったく観ていませんでしたので、そのドラマの内容の是非についてはコメントする資格が無いのですが、三者(原作者・出版社・テレビ局)のトラブルによって起きた事件についてはとても悲しく思います。
今更ですが、追悼の意を表します。
 
映像化された作品に対して、視聴する側としては、当然賛否があると思います。
店主の個人的な感想ですが、最近で言えば「ACMA:GAME」(あ、これも日テレですね)は、原作の面白さを完全に放棄していてびっくりしました。
ゲームにおける心理的駆け引きや展開の面白さは駆け足過ぎてまったく伝わらないし(そもそもゲームのルールが原作未読の視聴者に伝わってますかね?)、グングニルがゲーム大会を開く意味がないという根本的な設定ミスがあって、楽しく観られませんでした。
 
とは言え、視聴側における映像化作品の評価は「原作に忠実であるか」ということよりも、「どちらを先に目にしていたか」で決まっているような気がします。
店主ももしかしたら原作のファンでなければ、このドラマを面白く観ることができたのかもしれません。
原作を読んでいる以上、もはや公平な評価をすることはできないですよね。
 
さて。
あの報告書を読む限りにおいて、映像作品の作り手には原作の魅力を最大に引き出し、原作ファンも新規ファンも満足させるような面白い作品を作ってやろうという気概はないと感じました。
いえ、もちろんそういう気持ちで頑張っている方々もいるのでしょう。
しかし、環境としがらみと大人の事情が制約となり、満足いくものを作ることが出来ないのだと思います。
 
つまり。
私たち小説や漫画のファンは、映像化作品はまったく別物だという認識でいるしかないと思います。
少しキツい言い方をするならば「作家さんの許可を得て作られた、素人による二次創作」であるというくらいの認識でいるといいのかもしれません。
同人誌に「原作と違う」って言うのは筋が違うでしょ、みたいな気持ちで。
 
作家の皆さんも同様に。
自作を映像化するということは、そういうことだという認識で原作を渡してください。
原作のコア部分が捻じ曲げられていようが、大事な部分がカットされていようが、キャラクタの設定が変わっていようが。そうなるに決まっているという前提でいてください。
映像化することで本が売れるわけだし、まあいいか。
映像化作品がへぼくても小説や漫画の魅力が減るわけではないしな。
という感じでいてくれるといいなと思います。
東野圭吾さんのように「渡した以上好きにしてくれていいよ~」というスタンスが一番ストレスにならないのでしょう。

大丈夫です、原作ファンは分かっていますし、映像化作品から興味を持って原作を読んだ新規ファンは「なんだ、こっちの方が面白いじゃん」と思ってくれます。

それでもどうしても嫌だと思うのなら、映像化を断ってください。
映像化作品を作っている人たちには原作を尊重する気持ちはない(もしくはあっても実行することはできない)のだということを忘れないでください。
それを期待するのは、期待する方が間違っているのです。
私たち、小説や漫画のファンは作家の皆さんの決断を尊重し受け入れます。

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