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その”労働”の意味は?|ただのレンガ職人だった私の懺悔

今回は、「働く意味」についてのお話です。

今、日本では

「自分のやりたいことで生きる!」
「好きなことを仕事にする」

という生き方がある種、
トレンドのようになっていますよね?

そんな中、もしあなたが、
こんな風に感じているなら…?

  • 自分の好きなこと・やりたいことを
    仕事にできてる人が羨ましいなあ。
    そんな生き方を私もしてみたいけど、
    今の職場じゃ、とても無理。

  • なぜ私は、好きでもないこんな
    仕事をしなくてはいけないの?

今の仕事に対して「働く目的や意味」を
考えてみることで、その仕事に取り組む
モチベーションだけでなく、生き方や
今後の人生までも変える
ことができます。

ですので、興味のある方は、
最後まで読んでみて下さいね。

はじめに。

実は私、ウガンダへ移住してから
「レンガ職人」だった過去があります。

「オピコさんが、レンガ職人ってどういうこと?」

と思ったあなたへ。


【3人のレンガ職人】の話を知ってますか?

ある旅人が、旅の途中で出会った
3人のレンガ職人に同じ質問をしました。

「何をしているんですか?」

1人目は、
「見れば分かるだろう。レンガを積んでるんだ。
朝から晩まで。なんでこんなことをしなきゃいけないんだ」。

2人目は、
「壁を作っているんだ。
この仕事のおかげで、家族を養っていける」。

3人目は、
「歴史に残る大聖堂を造っているんだ」。


1人目のレンガ職人にとって、
レンガ積みの目的は特になし。

2人目の職人にとっては、生活費を稼ぐこと。

3人目の職人にとって、レンガ積みは
天職。後世に残る偉大な仕事に自分が
携わることによって、社会貢献すること。

※参考:アンジェラ・ダックワース『GRIT やりぬく力』


この話を始めて知った時、

「何て素敵な話なんだろう!」

と感動したと同時に、

「私は間違いなく、3人目のレンガ職人だな」

と思いました。


ところが!

その後、衝撃の事実を突きつけられる出来事が起こったのです。


それは2019年2月。

まもなく開業する予定だった、
クリニックの資金作りに悩んでいた時のこと。


ある日を境に、夫の帰宅が
23時と極端に遅くなり始めました。

それまで21時には帰宅していたのに、
なぜ遅くなるのか電話連絡もないし、
ワケを聞いてみても、ただ一言。

「忙しいだけ。心配しなくて大丈夫」。


「彼はいったい、どこで
何をしているんだろう?」。


夫に対する私の疑念は深まるばかり…。

こんな生活が、一週間ほど続いたでしょうか。
ちょうど私は、体調を崩していました。

そのせいもあって、疲れ切った
表情で帰ってきた夫に、とうとう
怒りをぶつけてしまったのです。


「いつも遅くまで何をしてるの!?
こんな生活を続けてたら、私の
体調だって良くならないでしょ!」


夫の返事は、

「クリニックの資金をつくるために、ずっと働いていた。
何の仕事をしているか知れば心配すると思ったから、黙っていた」。


夫は、何の仕事をしていたと思いますか?


なんと。

「レンガ作り」

だったのです。
※実際は「コンクリート」です。。。


夫から話を聞いて知ったのですが、
主に住居を建てる時に使うレンガを
ここウガンダの村で作るのは、
本当に大変な重労働。

まず泥や砂を集めて、井戸から水を運んで、

1つ1つ手作業で作っていきます。

数日かけて屋外で乾燥させ、

1つ1つ積み上げていき、

数日かけて、焼いていきます。

火の強さは大丈夫か?

仲間と協力しながら交代で、
ほぼ眠らずに見張りをします。

予期しない雨が降れば、ダメージを受け、
良い状態で焼き上がることができません。
無事に焼き残り、乾いた物だけが選ばれ、
買い主に売ることができるのです。

夫は小学生の時、親が学費の
支払いを滞納していました。

ある日、担当の教師に

「お前は明日から学校に来れない」

と担当の教師に告げられた夫は、
どうしても学校に通い続けたい一心で
日雇いでレンガ作りの仕事をして、学費を
支払っていた、という経験をもっています。


クリニック開業のために
自分にできることがあるなら、
それを全力でやる。

そう思って、自分の時間も体も
犠牲にしてレンガを作っていた夫。


それでも怒りを抑えられない私は、
とうとう言ってしまいました。

「あなた、薬剤師でしょ?
レンガ作りの仕事なんて、
あなたがやる必要ないでしょ!」


この時の夫の悲しそうな表情を、
私は今でも忘れられません。


この数日後、私は
「3人のレンガ職人」の話を思い出しました。


夫は間違いなく、レンガ作りの
先に偉大な夢を描いていた...

「3人目のレンガ職人」

でした。


それに比べて私は…。

今までずっと、目標や
夢のために生きてきて、

目標や夢のためなら、
どんなに辛いことも、必ずしも
私がやる必要のない汚い仕事だって
やってきた私だったのに。

「私は3人目のレンガ職人だ」

と自負していながら、いつの間にか
目の前のことに追われて「レンガ作り」を
レンガ作りとしか捉えることのできない…

「1人目のレンガ職人」になり下がっていた

のです。


自分の人としての醜さや心の貧しさ
気づいたとき、とてもショックでした。

「ごめんなさい」

夫に対してだけでなく、自分に
対しても心から頭を下げました。

この出来事を思い出す度に、
私の胸は

「ギュッ」

と締め付けられるように痛くて、
涙が出てきそうになります。


この出来事のおかげで、私はまた
自分の原点に戻ることができました。


当時目指していたクリニックは、
仲間に裏切られて叶わなかった。

その代わり、サイドバイサイド薬局を開くことができました。

それが1年後、クリニックにつながりました。


夫が自分の全てを注いで作ってくれた
レンガが薬局となり、クリニックになったのです。

※その薬局は大家さんの立ち退き命令で廃業。
クリニックは、経営の失敗で潰しました。


ここで紹介した「3人のレンガ職人」の話は、
仕事の意味や働く目的を考えるために
使われることが多いです。

あなたは、どのタイプのレンガ職人でしょうか?
あなたが今取り組んでいる仕事の先に、何が見えますか?

外から見たら同じ「仕事」でも、

「何のためにやっているのか?」

という目的が異なるだけで、働く意味も
その仕事に取り組むモチベーションも…

とういうことは・・・?

生き方や人生まで変えられる
可能性があるんですよね。

ちなみに、少しでも効率良くレンガを
作れるよう、オーダーメイドで
「型」を作ってもらいました。

このおかげで、作業がかなり
はかどるようになったようです。


最後までお読みいただき、
どうもありがとうございました。


本文でご紹介した
「3人のレンガ職人」の話は
こちらの書籍から参考にしました。







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