Neb-u1a

2h later:私は、脳死後及び心臓が停止した死後すずらんが咲きます

Neb-u1a

2h later:私は、脳死後及び心臓が停止した死後すずらんが咲きます

マガジン

  • 空想的収穫物

    ここでは、支離滅裂を目指しています。

  • 生きて、いたくても(長編/完結)

    昔書いたもの。多少の手直しにとどめ、当時の書きたかったものを重視して、ストーリーなどには一切手をつけないつもり。

  • 淡い夢を見ていた(書き出しと終わりシリーズ/完結)

    診断メーカー「あなたに書いて欲しい物語」でランダムに決まった、「淡い夢を見ていた」で始まり「今なら告げられる」で終わる掌編/短編 全一〇作品 https://shindanmaker.com/801664

  • りんね と なまえ(書き出しと終わり3シリーズ/完結)

    診断メーカー「あなたに書いて欲しい物語3」でランダムに決まった「書き出し」「途中」「終わり」の文章の複数の結果を、一つずつスライドさせて使った掌編/短編

記事一覧

夢で見た話

 嫌いな言葉 〈「死ね」と言われるのが一番嫌いだが「お前が死ね」で返すと泥の掛け合いだから変化球で「お前の母ちゃんが死ね」って返す様にしてる〉  と言うツイート…

Neb-u1a
3年前
4

カフェ・オ・レが冷める前に(掌編/短編)

 およそ三〇〇年前、とっくに死んだ光だった。  アマチュア天文家だった彼女の、美しい間違い探し。昨日の夜空にはなかった星を見つけて、すぐに爆発直後の超新星だと確…

Neb-u1a
3年前
4

それだけが三月の始まり(雑記)

 どれだけの人が、「はい」と答えられるだろうか。「鶯を撫でた事がありますか?」と言う問いに。  運命みたいな鮮やかさだったので、すぐに気づいた。路傍で息を失った…

Neb-u1a
3年前
4

夢遊病、薬剤性健忘症、と、幻覚、?

 以前の夢遊病に続き、最近起きた事について ・夢遊病  大きな出来事は全然ないけど、あれからもちょいちょい形跡はあった。調べる内に、これが睡眠時随伴(遊行)症な…

Neb-u1a
3年前
3

原初的第Ⅹ感(掌編/短編)

「インディゴの国がある」。        x x x   〈その手はまたも遠くへ。哀しみとダイス。現実投影。  ぼくはまた祈るの? 閉じた目のままじゃいられない。嘘…

Neb-u1a
3年前
3

世界的隣人愛(掌編/短編)

 一三歳の誕生日から、半年が経ったの。ここから半年すれば、誕生日とも言えるんだけど。  私はずっと守られて来たわ。両親がどんな人かも覚えていない頃に引き取られて…

Neb-u1a
3年前
2

消極的創世記(掌編/短編)

〈pro:log〉〈10/03/2137_001〉   「空想、運命、希望、数奇だね。昨日の事、どうだろう、予定通り、言うの?」 「言えそう、予定の様に。強いて言うなら、緊張しそう、当…

Neb-u1a
3年前
2

雑記(夢遊病の記録)

 生きている間、大体の病気なんて、そもそも縁遠い気がしている。実感がない。癌とか、肺炎とか、それこそ、今流行りの何某とか。勿論、いつかはなるのかも知れないけれど…

Neb-u1a
4年前
7

140

 苦手だ、サーヴィス・トークは……嘘。やりたくないだけ。  誕生日。陳腐だけれど、毎日が誰かのそれだし、例えば時差ですら、日を曖昧にする。イッツジャップ。だって…

Neb-u1a
4年前
4

ありがとう

Neb-u1a
4年前
4

生きて、いたくても――Epilogue#38(完)

 自首とか出頭とかって、世間のフィルターじゃ簡単に篩い落とされちゃう情報だと思う。印象的には「捕まった」って言う、大きな所に統合されて記憶に残る。でも、こんなに…

Neb-u1a
4年前
2

生きて、いたくても――Dec#37

「相坂珠実って名前はね、両親二人の苗字から来てるの」  彼女も、壊れながら、動き始める。自分の事を壊した、僕を見詰めて。  言ってしまった後悔が、心に重く圧し掛か…

Neb-u1a
4年前
2

生きて、いたくても――Dec#36

 今学期最後の新聞には、遂に「クエスチョン」の目的がはっきりと載った。「いじめに対する復讐である」と。  謹慎最後の日に携帯電話を返して貰ってからその日は律儀に…

Neb-u1a
4年前
4

生きて、いたくても――Dec#35

「お待たせ、宮下君」  時刻表の列に並ぶ数字が少なくなったこんな夜遅くの駅で、偶見と待ち合わせるのは不思議な感覚だった。  天体観測、それも冬期となると、充分に過…

Neb-u1a
4年前
3

生きて、いたくても――Dec#34

 あれはカンディンスキーも吃驚の〈インプロヴィゼイション〉だったから、今後の事は全く考えていなかった。  状態が酷いのも勿論、角倉と顔を合わせられなくて、その日…

Neb-u1a
4年前
4

生きて、いたくても――Dec#33

 臨時に全校集会が行われた事は、休みが去ってしまった月曜朝の気分を一層萎えさせこそしたけれど、退屈な三〇分間は、或る意味では確定的な勝利の告知だった。  冬休み…

Neb-u1a
4年前
3

夢で見た話

 嫌いな言葉 〈「死ね」と言われるのが一番嫌いだが「お前が死ね」で返すと泥の掛け合いだから変化球で「お前の母ちゃんが死ね」って返す様にしてる〉  と言うツイートを見掛けて以来、それは面白いな、と実践しようと思っていた。  そして遂に、そのチャンスが訪れる。 「てめえいい加減しつけえんだよ! 死ねや!」 「はぁ? てめえの母ちゃんが死ねや」 「……、お前やん……」 「あたしか……」  箸の使い方  箸の使い方と言うのは様々なもので、それでも各人日常生活を送れているのだから

カフェ・オ・レが冷める前に(掌編/短編)

 およそ三〇〇年前、とっくに死んだ光だった。  アマチュア天文家だった彼女の、美しい間違い探し。昨日の夜空にはなかった星を見つけて、すぐに爆発直後の超新星だと確信した。  名前を「SN 2022 A」。今年初めて発見された証のAがつく。宇宙に関する話を聞くのは好きだったけれど、何も詳しくはない。命の終焉。強い光を放ちながら死ぬ星――爆発したものだから、正確に星、としては既に形を留めていないけれど――は、暫くの後に減光して、星雲状に変化するらしい。今はまだ、少なくとも星として僕

それだけが三月の始まり(雑記)

 どれだけの人が、「はい」と答えられるだろうか。「鶯を撫でた事がありますか?」と言う問いに。  運命みたいな鮮やかさだったので、すぐに気づいた。路傍で息を失った、深く優しい緑の鳥。生きていない事は感じ取れていたけれど、死んでいるとも見えなかった。「……駄目かい?」私は呼び掛ける。それは間もなく、世界から独白だった事にされてしまった。  そっと指を伸ばして、横たわった羽に触れる。その瞬間は、感触がなかった。ほんの少しだけ力を入れると、指先は沈み込み、静かに柔らかくなる。四度程、

夢遊病、薬剤性健忘症、と、幻覚、?

 以前の夢遊病に続き、最近起きた事について ・夢遊病  大きな出来事は全然ないけど、あれからもちょいちょい形跡はあった。調べる内に、これが睡眠時随伴(遊行)症なのか、中途覚醒時健忘なのか分からなくなって来た。スマートフォンなくした。 ・薬剤性の健忘  当時で、昨日途中まで読んだ本の続きを読もうと、展開の流れを追う為に一ペイジ前をめくった。分からなかった。十数ペイジめくった。知らない。遂に五〇も戻るとやっと知ったところで、最初は栞の場所を間違ったのかと思った。  ところが、

原初的第Ⅹ感(掌編/短編)

「インディゴの国がある」。        x x x   〈その手はまたも遠くへ。哀しみとダイス。現実投影。  ぼくはまた祈るの? 閉じた目のままじゃいられない。嘘を焦がして。闇を汚して。運命を揺らして。〉   〈白馬を願えば見える無駄な詩の、頻りに傾いてゆく修羅場に酔う。封筒の奥はよろずの灰、降り立つわたくしの幸運たち。  硝子の死骸朽ちて、まだ少し足りず最後の愛を捨てる。火照る、燃やす、片隅の迷子。黒ずんだ七色の反応材料。  この時だけに叱られた一言で陽だまりが綻びている

世界的隣人愛(掌編/短編)

 一三歳の誕生日から、半年が経ったの。ここから半年すれば、誕生日とも言えるんだけど。  私はずっと守られて来たわ。両親がどんな人かも覚えていない頃に引き取られて、今もこの広いひろぉい建物に、優しくて妙な大人たちと住み続けている。物心がつくと、私はようやく尋ねたの。 「私はどうして、あなたたちもでしょうけど、外に出てはいけないの?」 「至って簡単さ。危ないから、出てはいけないんだ。そう。我々もね」 「外には何があるの?」 「ゾンビだよ。知っているかい?」 「あら、シャール、あな

消極的創世記(掌編/短編)

〈pro:log〉〈10/03/2137_001〉   「空想、運命、希望、数奇だね。昨日の事、どうだろう、予定通り、言うの?」 「言えそう、予定の様に。強いて言うなら、緊張しそう、当然ね?」 「仰せの通り、分かろうさ、昨日と今日、理想の動機……執しても、狂う情、素晴らしい。とうとう集合、さあやろう、行動の用意、可能な状況。構想の様に、もう等しい、苦悩に問う、渇望」 「やろう、狂う情に、至上の行動、愛、そう思おうね」        x x x   〈当時の直筆による手記:国際

雑記(夢遊病の記録)

 生きている間、大体の病気なんて、そもそも縁遠い気がしている。実感がない。癌とか、肺炎とか、それこそ、今流行りの何某とか。勿論、いつかはなるのかも知れないけれど。  外部の要因で傷ついたり、ショックを受けたりする事は少ないものの、私は精神面に於いて脆弱で、勝手に浮き沈みする。殆どは沈んでいる。バス・ドラムに掛けるイコライザーの波形みたいな。私ならこんな例えは小説じゃ使わない。  で、今年二〇二〇年、八月中旬。おかしな事が起き始めた。これが夢遊病だと確信するのは少し後。まさか

140

 苦手だ、サーヴィス・トークは……嘘。やりたくないだけ。  誕生日。陳腐だけれど、毎日が誰かのそれだし、例えば時差ですら、日を曖昧にする。イッツジャップ。だって、これは日本語。でしょう?  五月三日。私は、やりたくない事をやれる程良心的じゃない。  おめでとうを、お世辞で言える程、ね。  ■    貴方はNeb-u1aで『サービストーク』をお題にして140文字SSを書いてください。 #shindanmaker https://shindanmaker.com/375517

ありがとう

生きて、いたくても――Epilogue#38(完)

 自首とか出頭とかって、世間のフィルターじゃ簡単に篩い落とされちゃう情報だと思う。印象的には「捕まった」って言う、大きな所に統合されて記憶に残る。でも、こんなに怖いんだよ。手は震えるし足は竦むし、ただ寒いだけって事にしといて、今すぐ家に帰れたら。リヴィングの炬燵もストーヴも惚けた顔で、あたしの体を温めてくれる。だって、知らないもんね。あたしのした事なんて。  マリオネットの糸が全て切られる直前の、最後の夜だった。  決定的な瞬間を自分で見た訳じゃないから、何が引き金なのかは分

生きて、いたくても――Dec#37

「相坂珠実って名前はね、両親二人の苗字から来てるの」  彼女も、壊れながら、動き始める。自分の事を壊した、僕を見詰めて。  言ってしまった後悔が、心に重く圧し掛かる。だとしたら、言わないでいる後悔は、一体どれ程だったのだろう。正しい答え、正しいと信じ込む答え。  進める未来は、一つしかない。 「結婚したら、父親の相坂って苗字は一家で決まっちゃうけど、この子は二人の子だから、二人の証を残そう、って。だからお母さんの苗字、偶見を字だけ変えて、珠実って名前にしたんだって聞いてる。だ

生きて、いたくても――Dec#36

 今学期最後の新聞には、遂に「クエスチョン」の目的がはっきりと載った。「いじめに対する復讐である」と。  謹慎最後の日に携帯電話を返して貰ってからその日は律儀に大人しく過ごし、翌土曜日、僕はすぐさま三上に連絡を取った。報道部部長と話がしたいと言うと、事情を悟ってくれたのだろう、例の喫茶店で会合をセッティングしてくれた。  僕はその座で、初めて会う相手に全てを明かした。両親相手に一度同じ経験をしているからか、思ったより簡単に伝えられた。但し、対象だけは伏せた。名指しで槍玉に挙げ

生きて、いたくても――Dec#35

「お待たせ、宮下君」  時刻表の列に並ぶ数字が少なくなったこんな夜遅くの駅で、偶見と待ち合わせるのは不思議な感覚だった。  天体観測、それも冬期となると、充分に過ぎるくらいの防備は必須だ。偶見はチェスター・コートにスヌードを巻いて、下はスエード素材のショート・ブーツとスキニー・パンツから、上はニットのキャスケットで耳を覆うまでだった。後々、帽子のつばが観測を阻害する事に気づくだろうけれど、まあ、今は構わない。何より新鮮な彼女を認めた。僕は精一杯のブルゾン以外拘らず、その下に適

生きて、いたくても――Dec#34

 あれはカンディンスキーも吃驚の〈インプロヴィゼイション〉だったから、今後の事は全く考えていなかった。  状態が酷いのも勿論、角倉と顔を合わせられなくて、その日は保健室で静養している事に決めた。大熊先生はやたら心配していたけれど、お茶を濁す様な言い方をすると何か言外に感じ取ったのか、深くは踏み込まなかった。一度病院で診察を受けるべきだ、と薦められただけだ。そんなに心配される様なヴィジュアルなんだろうか。  僕の中では夢で完結させた事とは言え、角倉にとっては全く違う。環境が揃っ

生きて、いたくても――Dec#33

 臨時に全校集会が行われた事は、休みが去ってしまった月曜朝の気分を一層萎えさせこそしたけれど、退屈な三〇分間は、或る意味では確定的な勝利の告知だった。  冬休みが近くなるに当たってとか、体調管理がどうとか、形式的な構成で進行する中に、本題であろう僕たちの話は目立っていた。学業とは無関係のものを持ち込み、食品を校内に隠す不衛生的な行為をし、著しく風紀を乱すとして、堀田先生が語気鋭く難詰する。まあ、端的に言って正論だ。 「――当校生徒による行動である事は自明です。以後、こう言った