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「飲むヨーグルト」は、なぜ「飲みヨーグルト」ではないのか?

「くしゃみがよく出るなぁ」

そこで病院に行き薬をもらい、身体に良さそうな、『飲むヨーグルト』を買ってきました。


『味わいとコク のむヨーグルト』
日本ルナ


ここで、疑問に思ったんです。

◆飲み薬
◆飲み水
◆飲み物


これらの理屈で考えたら、

「飲みヨーグルト」

であるべきです。


しかし、どこからどう見ても、

「のむヨーグルト」

と書いてあります。


なぜ「飲みヨーグルト」ではないのでしょうか・・・・・・。

この不思議を、一緒に考えてみませんか!!?


この記事について👇👇



1.飲み〇〇という言葉


「飲むヨーグルト」「飲み薬」以外の言葉を見てみましょう。

日本最大の時点『日本国語大辞典』(第二版)に載っている言葉から「飲む〇〇」「飲み〇〇」という言葉を列挙してみます。


小学館『日本国語大辞典』(第二版)
全14巻で一つの辞書・・・・・・!


『飲む〇〇』
※記載なし


『飲み〇〇』

◆飲み物
◆飲み水
◆飲み会
◆飲み放題
◆飲み友達

※他にも載っています


すべて「飲み〇〇」です。「飲む〇〇」はありません。
やはり「飲むヨーグルト」は、異端なのです。



2.言葉を分解する


では、「飲み〇〇」という言葉を分解してみましょう。


規則性はないようですね。
むしろ、

飲み薬
→(人が)飲む薬

飲み水
→(人が)飲む水

飲むヨーグルト
→(人が)飲むヨーグルト

に注目すれば、やはり「飲むヨーグルト」は「飲みヨーグルト」であることが自然のはずです。

すべて「(人が)飲む」ものなのですから「飲み〇〇」という形であるべきですよね?


さぁ、オモシロくなってきましたよ。

3.誰が言った?「飲むヨーグルト」


調べてわかったのですが、日本で初めて「飲むヨーグルト」という言葉を使ったのは、関西ルナ株式会社です。

【※】
2001年に社名を「日本ルナ」へと変更。

下記ツイートの画像にある『バニラヨーグルト』を食べたことがある人も多いのではないでしょうか。


日本ルナの公式ウェブサイトの「日本ルナの歴史」のページでは、

日本で初めて「のむヨーグルト」と銘打ったドリンクヨーグルトを発売し、大ヒットする。

日本ルナ公式ウェブサイト

とあります。(商品名は、「のむ・・ヨーグルト」とひらがな表記)



とすれば、日本ルナさんに、

どうして「のむヨーグルト」という名前にしたの?
「のみヨーグルト」じゃない?

と聞けば話は早いです。


しかし、ちょっと待ってください。

それではオモシロクありません。
知的な感動を得るために、一緒に考えてみましょう!

4.考える人・動く歩道・飲むヨーグルト


「考える人」という美術作品がありますね。



「考える」行動をしているのは、「人」です。


また、「動く歩道」というものがあります。


空港や都心の駅にある


「動く」動作をしているのは、「歩道」です。


こう考えれば、「飲むヨーグルト」についても、

「飲む」動作をしているのは、「ヨーグルト」

と言えます。


ヨーグルトは生き物ではないので、何かを飲むことはできません。


「歩きタバコ」も、「歩くタバコ」という表現では不自然。
(タバコが歩き出したら恐怖!)



「漬けマグロ」も、「漬けるマグロ」では不自然。
(マグロが自ら漬かり出したらホラー!)


ますます「飲むヨーグルト」の不適切さ・不合理・不条理が明確になってしまいました。


5.とあるスーパーで


「飲むヨーグルト」は、なぜ「飲みヨーグルト」ではないのか?

この謎を解くことができないまま、半年の月日が流れました。


しかし、「気づき」はいつも偶然やってきます。


それは、スーパーに食材の買い出しに行ったとき。
2歳の息子が、


「さけるチーズ!さけるチーズ食べたい!!」

と言ったんです。


息子にせがまれ、買ってきた『さけるチーズ』
雪印メグミルク


さけるチーズだと!?

「考える人」の理屈で考えると、「さけるチーズ」は、

「チーズが、さける」

と解釈できて不自然。
(チーズが、自ら裂け出したら戦慄😱)



しかし、スーパーには、たくさんいたんです。
「飲むヨーグルト」の仲間が。

食べる・・・ラー油
とろける・・・・チーズ
肉汁あふれる・・・・唐揚げ

おぉぉぉぉぉ・・・・・・!

ここで、あることに気づいきました。

これらはすべて「商品名・・・」である。


食べ物に限りません。

飛び出す絵本
光るアンテナ
洗えるキーボード

どれも、商品名ですね。


これから推測できることは、ひとつ。

「飲むヨーグルト」という名前は、



という売り手(日本ルナ)の商品アピール・・・・・・の意味が込められているのではないでしょうか。


「飲みヨーグルト」

という表現では、消費者が受けるインパクトが弱いと思うんですよ。


「飲むヨーグルト」

と力強い表現にすることで、わかりやすく強烈な印象を与えることができます。


きっと、当時の消費者は、

「ヨーグルトってスプーンで食べるものでしょ!?」
「飲めちゃうの??オモシローい!」

と興味を持ったはずです。


「食べるラー油」も理屈は同じ。

「(ラー油は、ふつう調味料として使うけど、私たちが作ったのは)食べることができるラー油ですよ」

という開発者のアピールなのです。

実際に、初めて目にしたときは、あなたも、

「エッ!?食べるラー油!?」

と衝撃を受けたのではないでしょうか?


他の商品もきっと同じです。

【洗えるキーボード】

「(キーボードは、電子機器だからふつう洗えないけれど、私たちが作ったのは)洗えるキーボードですよ」

というアピールです。



その商品を開発するまでに心血を注いだ人たちの、

「すごくないですか?」
「斬新じゃないですか?」

という魂のメッセージ・・・・・・・なのです。


もし、日本ルナさんが「のみ・・ヨーグルト」という名前で発売したら、「飲み薬」「飲み水」といった似た言葉に埋もれて、印象を残すことができなかったかもしれません。



と、いうわけで結論です。


日本ルナさん、合ってますか?笑



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