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中山かず葉
2024年3月18日 01:31
まだ蝉も鳴き始めない夏の日の朝。私が生まれついたこの街は、「午後」に切り替わらないうちからうだるような暑さに占拠されるような所なのに、爽やかだった。「爽やか」は、すごい。停滞していたエネルギーがブワワワッ!と音を立てて流れ出すかのように、気づけば普段取らない行動にすんなりと身を委ねていた。ただただ、歩く。「なにか」を求めて。◇一体どれほど歩き続けたのだろう。蒼く、時折緑
2024年2月22日 17:34
あのこは今日も、ちいさな身体で必死に何かを訴えている。耳をぺたんと折りたたみ、毛を逆立てて、とびきり低いうなり声をあげながら。んなぁぁぁぁぉん!んなぁぁぁぁぉん!美しいオッドアイから流れる悲しみを、ふわふわの体毛に隠された見えない傷跡を、もう二度と取りこぼすことがないように。私は「わたし」の心に住む黒猫をそっと抱きしめた。どうか、あのこの傷がすこしでも癒えますように。愛