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【古備前鑑定秘話】古備前焼の贋作事情は?古備前蒐集家最大の難敵「贋作」の特徴や真贋の見分け方を解説!【前編】
古備前研究・鑑定の古陶磁鑑定美術館です。
古備前焼や古美術品の鑑定は、「贋作」との闘いと言っても過言ではない程、その真贋判定には細心の注意を払います。
もちろん鑑定以外でも、蒐集家や数寄者の方々は、古備前焼や古美術品を購入する際に、常々「贋作」を掴まないために苦労されているかと思いますが、今回のコラムでは、そんな「古備前焼の贋作事情」について、考察してみたいと思います。
さて、ひとえに「贋作」と言っても、その種類や内容や程度は実にさまざまで、一概に言えない点がやっかいです。
以下に主な贋作の種類を挙げてみましたので、事例別でみていきましょう。
①:明治~昭和以降に贋作として作られた作品
②:江戸時代以前に贋作として作られた作品
③:江戸時代以前の作品を時代相違で売っている場合
④:現代の作品が「古物」として売られている場合
⑤:品物は本物だが、箱が入れ替わっている場合
⑥:修理や傷を隠して売られている場合(※)
①・②は、皆さんが想像する、いわゆる「贋作」のイメージ通りの品です。すなわち、全くのニセモノを、本物として誤認させるために、故意に作った品物のことです。
このような悪意のある贋作が作られる背景には、「真作」が高価で売れるという事実があります。
ニセモノを作っても、それが高く売れなければ、元手すら回収できません。そのため、贋作の多い作品は、過去や現在において価格が高騰している、または非常に希少なものであることが多くなります。
また贋作は、それが高く売れる時代ほど、多く作られる傾向があります。特に、年銘などが刻まれた作品は、贋作のケースが多々ありますので、注意が必要です。
次に、③・④ですが、これらの品物自体は「贋作」として作られた訳ではありませんが、二次流通の過程で贋作に仕立て上げられてしまったケースです。
例えば、③では、古美術と言う世界では、どうしても時代が古いほど価値が高くなる傾向がありますので、江戸時代の後期や幕末期の作品が、江戸時代前期~中期の物として相場よりも高く売られたり、江戸時代の作品を桃山時代の作品として売ったりするケースがあります。
④は、現代作家の作品が、「江戸時代」や「桃山時代」の品として売られるケースです。この場合、現代作家が作品を作った時点では、贋作ではなく、あくまでも現代の作品として売られていますが、それが中古市場などで古い箱に入れられて古美術として売られてしまうことがあるのです。そうなってしまうと、その作品は「贋作」として扱われてしまいます。
なお、僅かですが、本来は本物である品物を故意に「二度焼き」して景色を加えるなどの創作がされている悪質な事例もあります。
作家には何の罪もありませんが、備前焼の中でも、このような形で古備前焼の市場に紛れてしまっている近現代の作品も少なからず存在するのです。
また、⑤・⑥のケースは、少し複雑な事例です。
⑤は、品物と箱とが、別々の物に入れ替わっているケースです。
古美術の世界では、箱と中身(品物)とがバラバラになってしまうと、次第が揃った完品とは見なされなくなってしまい、価値がグッと下がってしまうことがあります。
そのため、品物が優品でも、箱が紛失してしまっていたりすると価値が下がってしまいますので、別の丁度いい大きさの時代箱を用意して、あたかも「共箱」だったかのように装っている場合があるのです。
これらは、本来は別々の箱と中身(品物)ですから、当然組み合わせても価値が上がったりはしませんが、それを知らずに高値で買わされてしまう事がありますので、注意しましょう。
茶道の家元や著名鑑定人の箱書が偽造されているケースもよく見られます。
⑥は、品物は本物だけど、傷や修理痕を隠して、無傷の品として高く売っているような場合です。このようなケースも実に多く、共直しやニュウやヒビ割れを告知せずに販売していることが多くあります。
高額な品物を購入する場合は、直接自分の目で確認してから買うことを強くお勧めします。
ということで、今回のコラムでは古備前焼(古陶磁・古美術品)の「贋作」事情について紹介しました。
次回、後編のコラムでは、それらの「贋作」を掴まないようにするために、何に気を付けて古美術を買えばいいのか?について解説していきます。どうぞお楽しみに!
【 後編の記事はこちらから 】
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