記事一覧
プライム市場再編、TOPIX再編は株式市場に何をもたらすか
新市場への上場基準や移行プロセスが明らかに2020年12月25日、東京証券取引所は新市場区分への上場基準や移行プロセスを示した第二次制度改正事項の概要を発表した。合わせてTOPIXの指数見直しについても発表されている。
序盤は時価総額の足切り基準に関する未公表の重要情報が投資家にバラまかれて某証券会社が業務改善命令を喰らったりするなど前途多難な船出であったが、第一次制度改正事項で示したスケジュー
人材版伊藤レポートに関する雑感
CHRO設置を語る前に踏まなければならないプロセス2014年に伊藤レポートが初めて出たときは、多くの企業・投資家が「ROE!ROE!」と必死に叫んだり、少し勉強をしたIR担当者がROEから株主資本コストを差し引いて「エクイティ・スプレッドがプラスじゃないと企業価値がうみだされない!」などと話題になっていた。
それに比べると人材版伊藤レポートは、もちろん世間から多少の反応はあったかもしれないが、あ
オーナー企業が孕む「光と影」
ガバナンスの世界では悪、マーケットでは正義創業者が主要な株主として君臨するオーナー企業は、コーポレートガバナンスの観点からは問題視されることが多い。社外取締役や株主をはじめとするステークホルダーからの監督が効果を及ぼしづらく、経営トップの暴走を止めることが困難であるからだ。2019年の株主総会で大きな話題をさらったLixilの事例はオーナー企業の経営の問題点を浮き彫りにした。
一方、マーケットの
人権保護の潮流とグローバリズム
前々回がカーボンニュートラル(Environmental)、前回が政策保有株(Governance)の話だったので、今回はSocialに絡む人権の話をしたいと思う。
労働集約的性質の強いアパレル産業は人権に敏感トヨタ、日立など製造業に分類されるグローバル大企業はどのように利益を拡大してきたか。
利益拡大に貢献してきた施策のひとつに、労働集約的性質の強い作業工程を人件費の安い発展途上国で引き受け
政策保有株への批判と企業の防衛手段
議決権行使助言会社は政策保有株に厳しいスタンス政策保有株をめぐっては、二大議決権行使助言会社であるISS、グラスルイス共に厳しい立場を示し始めている。最大手の助言会社であるISSは2020年の11月、政策保有株式を純資産の20%を超えて保有する企業について経営トップの取締役選任議案に反対推奨する方針を発表した(2022年2月より適応)。
グラスルイスは2019年の時点で純資産の 10%以上の政策
脱炭素社会の実現に向けた日本の課題
「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」
菅首相は臨時国会の所信表明演説で上記のように宣言した。これまでは2050年に温室効果ガスを80%削減し、2070年までに温室効果ガスのネット排出量をゼロにする方針であったが、その目標を20年前倒しすることになる。
先進国が2050年カー