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2023年11月の記事一覧

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読む。

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読む。

句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読みました。

この句集についての雑談。

タイトルに惹かれて購入して読んだところ、見覚えがある俳句がちらほらあり
「どこで見たのかな」
と考えていました。

すると手元にある
『天の川銀河発電所』
という現代俳句のアンソロジーの本で紹介されていて
「ここか!」
と納得しました。

五句選

チョコでもココアでもなく、高級感のある「ショコラ」です。

消しゴムを大切に

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歌集『バターロールがまた焦げている』(秋山ともす氏)を読む。

歌集『バターロールがまた焦げている』(秋山ともす氏)を読む。

文学フリマで購入した歌集のうちの一冊です。

概要

帯と、帯の背に「第一歌集」とあります。

収録されている短歌は、
「さびしさ」や「不在」が軸になっている歌が多いように感じました。

喩やレトリックが上手く、内容のかなしさが客観的な視線で消化かつ昇華されているように感じました。

今回は特に喩や見立てが上手いと思った短歌をご紹介します。

五首選

浮き輪の丸さと句点の◯を関連させて、なおかつ

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歌集『標準時』(佐クマサトシ氏)を読む。

歌集『標準時』(佐クマサトシ氏)を読む。

歌集『標準時』を(佐クマサトシ氏)を読みました。

概要

淡々とした短歌集でありながら、現実にあるおかしみやズレを描きだしていると思いました。

五首選

洗濯機が動く音を聞き、洗濯の終わりを待ちながら考え事をする場面は日常にあります。

コインランドリーの待ち時間のイメージでした。

魔女とお茶は近い取り合わせですが、間に日常的な場面が入ることで、内容の距離を遠くする工夫があると思いました。

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歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を読む。

歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を読む。

歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を拝読しました。

概要

生活、震災詠、相聞などのテーマで、
工夫のある短歌が多々収録されている印象です。

五首選

※紹介する短歌の選もかなり悩みました。

バスの動きと雨雲の動きが連動しているようで、面白いと思います。

「嘘」がひとつまみのスパイスのように効いている一首です。

景が良くて爽やかなだけではなく、結句に含みや内容の奥行きを感じま

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