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「保険」の是非、不安で目標達成率が下がる人、怒りで目標を見失わないためのテク【成長を加速する目標達成戦略#5】

「成長を加速する目標達成戦略」シリーズの5回目です!

早いもので2022年が始まってからもう1か月。そろそろ新年に立てた計画が崩れ始めてきている人も多いころでしょう。

しかし、スタートで躓いてしまえば残りの2022年もイマイチな時間になって、結局また「2023年こそは!」となってしまう可能性が高め。

てなわけで、今回も心理学の知見を最大限生かして、2022年の目標を継続し、そして達成する確率を高めるために抑えておくべきポイントをチェックしていきましょうー。


13. 失敗した時のための「バックアッププラン」って立てといたほうがいいの?問題

何か目標を立てて実行するプロセスでは、「バックアッププラン」を立てる人も多いでしょう。ここでいう「バックアッププラン」ってのは、

  • 第一の目標が失敗しそうなときに、代わりに最終目標を達成するためのプラン

のことであります。いわゆる「保険」っすね。「昇進するぞ!」っていう第一目標があったとき、「ダメそうなら転職すればいい」みたいに、「もっと給料を上げたい!」って最終目標を達成するための別ルートをあらかじめ想定しておくということですな。

ある調査では、48%の人が個人的な目標を達成するためのバックアッププランを用意していると回答したっていうデータもあったりして、不確実性の高い状況の中でこれを用意しておくことはある意味賢明な方法ともいえるでしょう。

もっとも、ウィスコンシン大学マディソン校のビジネススクールの研究(R)では、「バックアッププランを用意しておくのって第一目標を達成する妨げになるんじゃないの?」って結論になっておりましたんでこちらを確認しておきましょう。

確かに、あらかじめバックアッププランを用意しておけば将来に対する安心感が得られて、「先行きが見えなくて不安や!」「不安でやるべきことに集中できない!」って状況は回避できるわけです。が、逆に「まあ失敗しても別の方法があるからいいか」となって優先順位が1位の目標への取り組みも甘くなっちゃうんじゃないの?っていうのは想像しやすいですよね。目標達成の文脈ではバックアッププランはむしろコストになってしまうんじゃないか、と。

研究は複数の実験で構成されていて、大体の実験デザインはこんな感じです。

  1. 参加者の人たちには文章を解読するような課題を与えて、その課題で好成績を収めれば、無料のスナックまたは実験を早く切り上げるチャンスがもらえると伝えた

  2. しかし、一部の参加者には、課題でいい成績が取れなくても、キャンパスで無料の食べ物をもらったり、その日の内で時間を節約するために別の方法はないだろうか?と考えてもらう

って感じで、バックアッププランを計画したかどうかで課題のモチベーションとか成績に違いが出るのか?ってのを調べたわけですな。

で、その結果は、

  • 一貫して、事前にバックアッププランを「想像」した人は、タスクのパフォーマンスが低下した

  • さらに、その主な原因は、考えることが増えた疲労とかによるものではなく、目標を達成したい!って気持ちが低下していることにあった

だったそうな。バックアッププランに手を付けたわけではなく、単にバックアッププランを「想像」しただけで、第一のプランを達成するモチベーションが下がってしまった、と。

とはいえ、バックアッププランを立てるのが必ずしも悪なのか?っていうのは疑問で、ほかの研究でも、

  • この株は近いうちに急上昇するかも!って自分に都合のいいようにイメージするだけだと、リスクを過小評価してしまいがち

  • でも同時にバックアッププランを立てると(別にこっちの株でもいいんじゃないのか?)、リスクもしっかり見つめて現実的な意思決定ができるようになる

といったことが知られているんですよ。ウィスコンシン大学の研究チームも、

バックアッププランを立てることに潜在的なコストがあることは分かったが、それは人々がバックアッププランを立てずに人生を送るべきだということを意味するものではない。

これらのコストを軽減する方法、例えばバックアッププランを立てるタイミングをより戦略的にするなどの方法を模索するのもいいかもしれない。

まずは第一の目標を達成するために、できることはすべてやってからにした方がいいだろう

とコメントしておられます。やっぱり不確実性の高い現代では、必ずしも「自分にはこれしかないんや!」って状況に自分を追い詰める必要はないんだけど、そのコストも頭に入れておいた方がいいかもよ、と。

そんなわけでまとめると、

  • 一番最初に目標を立てるときには、最終的なゴールを達成するために考えられる複数の選択肢を柔軟に比較検討する

  • そしていったん計画を定めたらある程度それにしがみつくようにしてみる

って感じで行ってみるといいかもしれません。運とかが絡まず、自分の努力量だけが結果に結びつくような場合には、特にこの「バックアッププランのコスト」は意識しておいていただくのがいいんじゃないかと思う次第であります。


14. 不安対策は早めにやっとかないと目標の達成率まで下がっちゃう!説

続いては「不安」の問題。人によって不安の感じ方は違うわけですけど、不安をどう「受け止めるか?」によって目標の達成率が変わっちゃうかもよ!って話をしておきましょう。

不安は当然バックアッププランを立てるモチベーションにもなりうるわけですが、不安に対する考え方自体が目標達成率に影響を及ぼしやしないか?って話っすね。

そんなわけでボストン大学とテキサス大学の研究チームは、不安感受性と目標達成に関係ってあるのか?ってことを調べてくれております。(R

「不安感受性」ってのはちょいと耳慣れない言葉かもしれませんが、その定義を簡単に言えば、「不安に関連する感覚を恐れること」。胸が締め付けられたり、汗が出たり、心拍数の上がったりといった運動中にも起こるような現象にどれだけ嫌悪感を感じるか?っていう指標っすね。このスコアが高い人ほど、「この間隔が嫌だ!早く打ち消さなくては!」って焦ってさらに不安を感じやすかったりするんですよね。

で、実験では、運動量を増やしたい大学生145人を集めて、全員の不安感受性のほか、グリッド、衝動性、計画性といった行動改革に影響しそうな要素を調べて、各自次の1週間の運動目標を設定してもらったんだそうな。

そんで1週間後に目標の進捗をチェックしたところ、以下のようなことがわかりました。

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