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OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

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OKOCROSSING が運営する、香りにまつわる「わたしの物語」を編み集めるプロジェクトです。https://oko-crossing.net/okolife
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2020年6月の記事一覧

ケロヨン堂は芳香剤の匂い──正しくないものと子ども

ケロヨン堂は芳香剤の匂い──正しくないものと子ども

ステイホームのさなか、無性に不真面目なものが摂取したくなって、本棚にある蛭子能収のマンガを手に取った。読んでいたら、子どもが奪っていって、パラパラページをめくっている。しばらくそのままほっておいたら、内容を見た夫が「捨てる!」と激怒。いや捨てないよとヘラヘラしながら、これが一般社会の反応なのかなとしみじみした。

わたしが読んでいたのは『わたしは何も考えない』という一冊のなかの、「わたしは真剣な話

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「梅雨明け」~ 父の残り香 ~

「梅雨明け」~ 父の残り香 ~

まもなく父の七回忌を迎える。
そのせいか、この頃ふとその人を思う時がある。

父が亡くなったことで、私はことさらに泣いた記憶がない。同じように母や妹の涙も見たことが無い。一度だけ妹が声を上げて泣いたが、それは直前の体調の変化に気付かなかったことへの”後悔”で、悲しさや寂しさの涙とは違う気がした。

いなくなった実感が乏しいからかも知れない。
「パパのことだから、その辺フラフラしてるわよ。お墓なんか

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小麦粉よ!

小麦粉よ!

ウェブマガジン「アパートメント」の管理人をはじめ、ユニークな活動を展開する浅井真理子さんにご寄稿いただきました。打ち合わせで「食と香りについて書いていただけないか」と相談したところ、ベーグル作りの話に。社会の変化をきっかけに、新しい香りが漂いはじめた浅井さんの暮らしに、触れてみてください。

最近、ベーグルを作るようになった。

もともと料理は好きだし、お菓子作りも手慣れたものだけれど、パン作りに

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家と香木

家と香木

特に隠していたつもりはないが、香木が好きだということを特に言わずにいた。

周りに知られたのは結婚式がキッカケだった。会場入り口に、電子香炉と、当時持っていた香木の中で好みのものをすべて展示して、聞香ができるようにしたのである。それが元で、妻の友人には、式の最中に不安な眼差しで「なんか変な木が好きなんですね」と言われた。隣の妻は大笑いするだけで弁明せず。初めて会った妻の友人に必死で説明し、「良いご

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