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不確定日記

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2024年3月の記事一覧

不確定日記(一駅じゃ足りなかった)

不確定日記(一駅じゃ足りなかった)

 すっかり暖かいが、ホルモンのバランスが崩れた時特有の眠気と頭痛がある。春は黄色い花粉のイメージと共に、生命力、というかまあ性的なざわめきを感じて気圧される。生き物だから仕方がない。

 歩くと何かしら達成した気持ちになるので、何もしなかった日の翌日は歩きがちだ。ちょうど一駅先に用事があったので、歩いてゆく。長袖Tシャツに薄いコートでも暑かった。先日の雨で溶けたダンボールが自動車に引き摺られた跡が

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不確定日記(断片的な散歩)

不確定日記(断片的な散歩)

 朝には豪雨だったので傘を持って出たが、外はもう風だけになっていた。歩くのに苦労するほどの強風で、それなら髪の毛のセットなどするのじゃなかったと思う。風に向かって歩くので精一杯なので、今何か飛んできても避けられない、と思ったが、いつ何か飛んできても避けられはしない。マンションのゴミ置き場に出しっぱなしになっている段ボールの束がドロっと溶けていた。

 友人たちと待ち合わせて、カレーを食べる。「中1

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不確定日記(妖精の歌と踊り(誤))

不確定日記(妖精の歌と踊り(誤))

 わたしが小学生の中頃から父と母が小さな事務所を運営していたので、夕方まで家にほぼ1人でいて(正確には祖父もいたが、わたしは彼と雑談したことがない)、習い事のない日はずっとテレビを観ていた。アニメやドラマの再放送、ワイドショーや子供向けのバラエティ番組。観ながらおやつを食べたし、本もテレビをつけながら読んだ。だからテレビが好きだが、それは、求めてやまないというよりは、ないと困るといった類のものだ。

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不確定日記(はじめての胃カメラ)

不確定日記(はじめての胃カメラ)

 どうせ朝食は食べられないし、化粧もしなかったので朝は余裕があった。出勤の人たちに混じって歩く。店舗のシャッターを開けている人をみると、わたしも街の一員になった気がする。

 検診センターの受付は薄暗くてきれいだった。
ここの採血の人はものすごく上手なので安心感がある。血圧は高めなので、力を抜いたら少しでも下がるのではないかという希望のために血圧計に書いてある機種の愛称らしい「健太郎」という文字を

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不確定日記(朝食を食べておく)

不確定日記(朝食を食べておく)

 矯正歯科に向かう途中、雨の横断歩道は通行人それぞれの傘で前が見づらく、俯きがちだし、降ってくる雨で見通しが悪いので個人を識別しづらい中で、唐突にサンオイルを連想させるココナッツの香りがして、あたりの気温や景色との落差に意識が飛んでいきそうになった。

 矯正歯科医は、いつも、私が口を開けている時に雑談を振ってくる。リラックスさせようとしているのかもしれないが、答えづらい。「最近は何か料理を作りま

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不確定日記(のんきストッパー)

不確定日記(のんきストッパー)

 起きた時に、眠い、と思ったが、どうもただ眠いのではなく、船酔いのようにこめかみのあたりが引っ張られるようで、足元がフワフワしている。雨が降っているので気圧のせいかもしれない。いつにも増してぼんやりしており、解凍したごはんに、焼いてあったいわし明太の残りと昨日の椎茸と梅のスープを温めてぶっかけたものを食べ終えて、まだ部屋が香ばしいにおいだな、と思ったら、コンロの火が最小で点きっぱなしで、ほんの少し

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不確定日記(二日酔いに手厚くする)

不確定日記(二日酔いに手厚くする)

 2日連続で人がうちに来たので、料理を作った。メニューを考えてメモし、材料に目星をつけて買い物に行くが、売っているものによってメニューを変更し、帰ってから作りながらまたちょっと変えたり、一品増えたり、もともと作るはずだったレシピに足りないものがあって、また自転車で買いに行ったりする。わたしは料理をしている時が一番運動量と頭の回転数が上がるのではないだろうか。さらに部屋の各所も掃除し、花も買う。

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不確定日記(楽な仕事)

不確定日記(楽な仕事)

  口笛のコツを掴んだ、と昨夜は確かに思ったのに、また元に戻っていた。練習、という感じを久々に味わう。強く吹こうとするとだめな気はする。

 絵を描くのは仕事でも楽しい。子供の頃、いっとき習っていたバイオリンの練習は本当に気が向いた時くらいしかしなかったが、絵はなんとなくずっと描いていた。授業中や人の話を聞いている間も手元に紙があるとみっしり落書きをするのが癖なので、うわのそらに見えるのだろうと思

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不確定日記(においあわし)

不確定日記(においあわし)

 外に出たら思ったより寒く、ダウンジャケットを着ている人も多い。すれ違った女性が「さむ!」と言いながら小走りになった。自転車を漕ぐ人は風に対抗して前傾姿勢でこちらに向かってくる。

 人間ドックには文庫本を持って行ったほうがよい、という友人からのアドバイスにもとづき、書店の文庫棚を見に行く。『脳のなかの幽霊』が気になったが、体や病気に親和性がありすぎるタイトルだと緊張しそうだ。結局、もともと読みた

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不確定日記(人間ドック便り)

不確定日記(人間ドック便り)

 昨夜は布団に入ってもしばらく寒かったが、そのあと暑くて眠れなかったので、冬用のモコモコしたシーツを剥がして洗い、木綿のをかけ変えた。寒さがとても憎いので冬用のは目一杯暖かいのにしているが、皮膚に当たる感触はパリッとした生地のほうが好ましい。

 イラスト仕事の合間に、旅行ポーチを効率よくまとめたくなって全部をイラストで描き出した。そんなに近々旅行に行く予定はない。いっとき狂ったようにパッキング動

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不確定日記(100人と私)

不確定日記(100人と私)

 風が強いようだった。窓とは逆側の換気扇の奥から音がする。

 ささみを茹でて冷ましていた。
オンライン打ち合わせの時間を午後4時だと思っていたら14時だったことに、URL変更のメールが来たので気づいてあわてて机に座る。かろうじて髪を梳かしておいてよかった。
 イラストの打ち合わせが終わってからささみを裂いてきゅうりとトマトとキヌアでサラダにする。おいしかったのでおかわりして、勢いがついたのでスパ

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不確定日記(ただの休みとした)

不確定日記(ただの休みとした)

 昨日の日記のタイトルは「未確定」だけど、ただの間違いです(直さない)。

 布巾を漂白する。なんとなく、日曜日は清潔な感じがする。

 頭というよりは眼窩や耳や、顔のくぼみのその奥が痛い。頭痛薬を飲んだあとのひとときは、長編漫画に時々挟まれる呑気な温泉旅行やクリスマスなどの番外編、という感じ。頭痛はまた来る。

あまりに風が強いので、その中に洗濯物をぶらさげてみたくてくて、バスタオルとTシャツ類

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未確定日記(じんわりした陽気)

未確定日記(じんわりした陽気)

 自作グラノーラにアーモンドミルクとバナナをのせて食べたらちゃんとゴツゴツガリガリしていて満足した。欲求に沿ったものを作れると嬉しい。冬の間室内に入れていたカレーリーフの鉢をベランダに出す。

 友人と家事通話(1人だと家事をする気力が湧かないから通話しながらする)をするが、わたしはただ座っていた。実家と居場所の話、おじさんのプライドの話、友情の捉え方の話、お好み焼きに納豆を入れる話、など。

 

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不確定日記(甘さでどうにか)

不確定日記(甘さでどうにか)

 気温が低くなくてもストーブをつけてしまうのは温風がないとさみしいからか?と思ったが、単に貧血で手足が冷えているのだった。窓の外は晴れていて風の音がする。

 夢は見たが、起きた途端に他のことを考えると忘れてしまう。
立ち上がっても眠いままだ。今日のことはもう諦めている。どうしても済ませなければいけない仕事だけして、あとはじっとする。感覚だけが鋭くなるので、何か読むとすぐ泣くし、生ごみはすぐしまわ

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