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39才が突然泣いた『エンドロールのつづき』の究極の多幸感。【映画】

1年前まで年間1つ映画みれば多いほうだった。
「めんどくさいな」とか「2時間も閉じ込められるのちょっといやだな」とか、まぁ行かない理由を作って。
もうすぐ40になるのに映画のひとつも知らんでどうするんだ、とある日突然見に行くようにしたら「フゥン…面白いじゃないの…」と。(上から)
気づいたら毎月映画館に通うようになってた。特技は手のひら返しです
良いと感じてなかったものでも良いと思ったら積極的に取り入れる素直さ・柔軟性を評価してほしい。

39才、突然の涙

映画の内容は他の方の素敵なレビューに譲るとして、
なぜかわからないけどただただ良かった!という場面があった。

サマイが映写機に頬ずりする場面だ。

一度離された映写機に戻るシーンがある。
このシーンでサマイがとんでもなく愛しそうな顔をした刹那、

ひとりで号泣した
たった数秒のシーンで。39才が。突然。

「鬱なの・・・?」
と思ったけど、この感情がなんだったのかはまだよくわからない。
愛するものを愛せる尊さに心が震えたのか。
映画を通して一番心に残ったシーンがこの数秒のシーン。

純粋に愛せるものに対する愛情って自分は渡してきたのかな?
人であれ、モノであれ、コトであれ。
このシーンはただただ撃ち抜かれた。不意にきたシーンだったから余計に。

あのシーンで激泣きした人間は自分だけなんじゃないかというほど、
感動するようなシーンでもなかったと思うけど、
心の真ん中に思い切り鍼をうってもらった感じ。(わかりにくい)

この映画は、監督の半ば自叙伝みたいなものらしい。
事前情報はインド映画であるということしか知らずに駆け込んだ。
インド映画=派手、踊る、ぐらいの浅いイメージで行った。(全然違った)
映画へのラブレターのような情熱の映画と書いてあっていろんなオマージュがあるんだそうだ。
最初に言ったように今まで39年間、数えるほどしか映画館で映画を見ていないのでそのへんは全くわからない。
終わり方が素晴らしい!って色んなところにかいてあったけど「え?なにこの終わり方!?」というなんとも感受性に乏しい感想しか出せないお粗末なレベルだ。

それでもあのサマイが映写機に頬ずりしたシーンに恋い焦がれた。

好きなものを好きと正面から言えて行動できること
こんなに尊いことはない。

超えていく若木の見守り方

自分にはサマイと同い年の娘がいる。
これからの時代を作る若木の成長を、超えていかれる木が邪魔しちゃいけない。
自分も「何か」を超えていこうと生きてきた時もあるけど、サマイの父親の行動を見て、これからは次の世代を活かす動き方をしたいのかもと気づいてしまった。

サマイの父親は最初「毒親かよ…」みたいな軽い気持ちで見ていて、
インドの身分制度に縛られていたり自分の生き方が今更変えられない不器用な人間として描かれていた。でもそんな父親も最後には生き方を変えた。
途中の苦悩がとてもよくわかって最初は「なんこの親…」と眉間にシワを寄せて見てたけど気づいたら途中からめちゃくちゃ共感してしまってしんどい。そこまで丁寧に描かれていなかったのが逆にリアルでゾッとした。

結局、人生の歩みを進めるものは、「情熱」と「出会い」で、親だからといって支配していいわけでもない。とことん応援する側でいられるか?という覚悟を問われた気がした。情熱を注げるものに出会うまで共に歩くのが親の使命で、出会いを応援するのが親の仕事なのかも。

根底に流れる「発て。そして学べ。」というセリフが最近自分が自分をちょっとサボってて嫌だなっていう気持ちを割ってくれた。気がする。
立ち止まってる理由を探すより、進む理由を探したほうがサマイみたいに愛するものを愛する人生を歩めるよね。
不思議な雰囲気で進んでいく映画で、派手な内容ではないけれど、淡々と大事なことを伝え続けてくれた良い映画だった。

写真引用HP:https://movies.shochiku.co.jp/endroll/


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