おへそのごま

保育士の おへそのごま です。日々の保育をエッセイとして綴っていきます。保育の実践記録…

おへそのごま

保育士の おへそのごま です。日々の保育をエッセイとして綴っていきます。保育の実践記録でもあり、僕自身が忘れたくない光景でもあり、保育現場や子ども達のイキイキとした姿に広く触れていただける読み物でもありたい。そんな思いで続けています。どうぞごゆるりと。ご感想頂けると嬉しいです!

最近の記事

見立て・つもりが広がるとき

巧技台で遊んでいました。 3歳児のAくんが「これデコボコにしてよ」と訴えてきました。 普段凸型で組んでいる太鼓橋(商品名「丸型はしご」)を逆向きアーチの凹型にしてくれというのです。この表現も面白いですね。デコをボコにする。凸を凹にする。と考えると「デコボコにして」というのは理にかなった表現ですよね。 リクエストに応えてハシゴをひっくり返して設定しました。そうすると、低い段から高い段へ向けて逆アーチがかかるわけで、y=(xの二乗)のような登るほど角度が急になるアーチがかかりま

    • 梅は咲いたか桜はまだかいな

      保育士おへそのごま の保育エッセイ(27) 「梅は咲いたか桜はまだかいな」 「ごまちゃん!花咲いた!白い花!来て!いいから!」 Sくんが興奮して駆け寄ってきました。腕を引かれて連れていかれた先は園庭の隅の梅の木でした。Sくんの指さす先には、ぽっと開いた梅の花が二輪。 「おー、ホントだ。よく気がついたねぇ」 「うん、咲くかなーって見てたら咲いてた!」  数日前に一緒に枝先を見上げて「まだ咲かないかな〜、だいぶつぼみが膨らんできたからもう少しだと思うんだけどね」なんて話し

      • 肌で感じるセンス・オブ・ワンダー

        保育士おへそのごま の保育エッセイ(26) 「肌で感じるセンス・オブ・ワンダー」  保育室の窓を開けて換気していたら、5歳児の男の子が「ねぇ!ごまちゃん!ここ(窓の上部)はあったかいのに、こっち(窓の下部)は寒いよ!なんでだろう?」って上下に手をやりながら驚いた顔で聞いてきました。 「すごいことに気がついたねぇ!」とこちらも驚き大いに感心しました。  まさに、センス・オブ・ワンダー。身近な科学。 ほんのわずかな肌感覚の違いに気づいて、そこに疑問を持つ。きっと彼にとって

        • 譲ったり譲られたり

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(25) 「譲ったり譲られたり」  今年度、年長児の話し合い活動を大切にしてきました。行事や活動など様々な場面で「自分達のことは自分達で決める」という経験を積んでいます。  年長児になって最初の大きな活動は5月のお泊まり保育です。お泊りに向けてもたくさんのことをクラスで話し合って決めてきました。  この日は、朝食のメニューについて。色々な案が出て検討をすすめるなかで「ホットケーキなら自分達でも作れる」「上に何を乗せるか自分で選べるから好き

        見立て・つもりが広がるとき

          絶対に正解できないクイズ〜3歳児の世界〜

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(24) 「絶対に正解できないクイズ〜3歳児の世界」  5月頃のことです。お昼ご飯を食べながら、3歳児のAちゃんが話しかけてきました。 「ごまちゃん、クイズねー。このどうぶつはなんでしょーか?」  ジェスチャーとか鳴き真似とかそんなヒントが続くものだと思って待っていましたが、Aちゃんは無言で目をキラキラさせて僕が答えるのを待ってます。え?まさかのノーヒント!? 「いやいや、さすがにわからないよー」とヒントをもらおうと話を続けようとしまし

          絶対に正解できないクイズ〜3歳児の世界〜

          保育園で楽しめる球技〜ルールはたった2つ〜

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(23) 「保育園で楽しめる球技〜ルールはたった2つ〜」  保育園で子ども達が遊びこめる、ボールを使った遊びというと何を思い浮かべますか?ドッヂボール?中当て?サッカー?  確かによく遊ばれていますが、中当てはともかくとしてドッヂボールやサッカーはルールが煩雑で、僕から見るとすぐに遊びが止まって遊びこむところまで行かない印象です。  そこで。  今年度、意識的に子ども達と楽しんできた遊びがあります。「タッチラグビー 」と呼んでいます。

          保育園で楽しめる球技〜ルールはたった2つ〜

          「一緒だね」を生む

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(22) 「一緒だね」を生む  僕が今の保育園に勤務し始めて驚いたことや感心したことは多くあるのですが、そのひとつが0,1歳児クラスでの絵本の扱いでした。子ども達が自由に手に取れるように絵本が棚に並べて置いてあります。それだけなら多くの園でやられていること。僕が驚いたのは、同じ絵本がそれぞれ3冊ずつ用意されていることでした。今日はそんな保育環境だからこそ生まれたエピソードです。  1歳児クラスに応援に入りました。普段あまり関わりが深くな

          「一緒だね」を生む

          泥だんご時間

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(21) 「泥だんご時間」  11月も半ばを過ぎたある日。お日さまのあたたかい小春日和の園庭では、あちらこちらの陽だまりで、しゃがみこんで泥だんごを磨く子ども達の姿が見られます。  3歳児クラスのYさんは今日保育参加で、お母さんと一緒です。お母さんの作る泥だんごに「こっちに(砂を)かけて」「こうやって(磨くんだよ)」と手つきを見せて熱血指導です。自分の好きな遊びに大人が興味を示して一緒に楽しめるだけでも嬉しいのに、大人よりも“先輩”の立

          泥だんご時間

          〇〇人組を作りましょう〜あぶれた人はどうなるの?

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(20) 「〇〇人組を作りましょう〜あぶれた人はどうなるの?」  火曜日のこと。月曜が一日中雨で、週末もはさんで感覚的には久しぶりの外遊び。子ども達は小集団に分かれてそれぞれが今ひとつ遊び込めていないと感じました。  こういう時は、まず全体を掻き回して、大きめの集団で動きのある遊びを提示して子ども達を巻き込んでいけるといいな、それなら単純な鬼ごっこだ。ヨシ!と氷鬼で自分が鬼になって走り回りながら目についた子に手当たり次第タッチして「タッ

          〇〇人組を作りましょう〜あぶれた人はどうなるの?

          遊びを因数分解する〜花いちもんめ〜

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(19) 「遊びを因数分解する〜花いちもんめ〜」  保育している中で【遊びの因数分解】ということを時々考えます。この遊びが子ども達を引きつける要素は何だろう?子ども達は何を面白がっているんだろう?保育士としてはどこをポイントやねらいに置いてこの遊びを楽しむといいのだろう?そんなことを考えていくと、ひとつの遊びに様々な要素が含まれていることに気づきます。  今日は実際に子ども達と遊んでいた姿から【遊びの因数分解】をじっくり考えてみます。

          遊びを因数分解する〜花いちもんめ〜

          保育士は友達

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(18) 「保育士は友達」  今日、担当している子の保護者からとても嬉しい言葉を頂きました。 「ウチの子が、『ごまちゃんが、友達じゃなくて家族だったらよかったのになぁ』って言うんです。家族だったらって思えるくらいにごまちゃんを好きなこともそうだし、保育園の大人を『友達』だって思えているのもすごいですよね」と。  ウチの園は保育園を「昼間の家族」と捉えているんだけど、家族でもあり友達でもあれるってホント嬉しいことです。  普通だったら、

          保育士は友達

          虫捕り網を自分で取るのはイケナイこと?〜ルールって変えられるんだ〜

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(17) 「虫捕り網を自分で取るのはイケナイこと?〜ルールって変えられるんだ〜」 「ごまちゃん、アミ取って」とTくん達がやってきました。虫捕り網を置いてある所へ行くと、Hくんが手を伸ばして自分で網を取ろうとしていました。年中組の子も見ていたので「年長さんとして小さい子のお手本にならなくちゃ。網は大人に取ってもらうはずだよね」と話しました。叱られた形になり、黙り込んでしまったHくん。  少し時間を置いて話そうとごまは一旦その場を離れました。

          虫捕り網を自分で取るのはイケナイこと?〜ルールって変えられるんだ〜

          約束の、やってみるマン

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(16) 「約束の、やってみるマン」  仕事を終えての帰り道、2年前担当したKくんのご両親とばったりお会いしました。  Kくんは失敗することが嫌で、自信のないことや初めてのことには尻込みする子でした。日常の中で成功体験を積み重ねて、「大丈夫、やってみればできる」ということをひとつひとつ一緒に確認する日々でした。  卒園を前に、保育園での成長を振り返りながら「Kくんはさ、できないかも…って思っちゃうんだよな。でもさ、いつもごまちゃんと『やっ

          約束の、やってみるマン

          Tくんの活躍

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(15) 「Tくんの活躍」 ‪ 体を動かすことは好きだけど、疲れやすい5歳児のTくん。最近は室内でブロックの大作を作ることに凝っていることもあって、外遊びをするよりは「もうお部屋入りたい…」と訴えてくることが増えています。‬ ‪ 我が園では、自由保育として子ども達の意志や、したい遊びを保障することを大切にしていますが、担当としてはもう少し体幹を鍛えてしっかりとした体をつくることで基礎体力をつけて、疲れにくい体になってほしい。そうすること

          Tくんの活躍

          怒りんぼ

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(14) 「怒りんぼ」  4歳児のAちゃんMちゃんが木登りをしていました。見守っているごまの元に2歳児のNちゃんがポケット図鑑を持ってきて「ごまちゃん、このカエルなに?」と図鑑を指差しました。Mちゃんは小さい子に対してとても自然体で関わりを持つ子です。この時も「え、なになに?Mちゃんも見せて」と関心を示しました。これに対してNちゃん、「ダメ!いまNちゃんが見てるの!!」と図鑑を抱えて取られまいとするかのよう。何も取るつもりもないのに…とし

          ハンモックは甘えの場?

          保育士おへそのごま の保育エッセイ(13) 「ハンモックは甘えの場?」  ようやく暑さもひと段落でしょうか。今日は過ごしやすくなりました。  こんな日は、ハンモックに揺られてゆったりしたいもの。ごまがいそいそとハンモックを準備し始めると「あー、いいなぁ。乗りた〜い」とやって来る子ども達。「えー、ごまちゃんが出したハンモックだからごまちゃんが乗るのー。子どもはあっちで遊んでこーい!」ひとりで楽しもうとしているのに、問答無用でワラワラと乗りこんでくる子ども達。あっという間に、

          ハンモックは甘えの場?