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絶対に正解できないクイズ〜3歳児の世界〜

保育士おへそのごま の保育エッセイ(24)

「絶対に正解できないクイズ〜3歳児の世界」

 5月頃のことです。お昼ご飯を食べながら、3歳児のAちゃんが話しかけてきました。
「ごまちゃん、クイズねー。このどうぶつはなんでしょーか?」
 ジェスチャーとか鳴き真似とかそんなヒントが続くものだと思って待っていましたが、Aちゃんは無言で目をキラキラさせて僕が答えるのを待ってます。え?まさかのノーヒント!?

「いやいや、さすがにわからないよー」とヒントをもらおうと話を続けようとしましたが、Aちゃんは満面の笑みで「わからない〜?こたえは〜、ぞうでしたー!」

「えー!そんなのわかんないよー!」と悲鳴をあげるごまにかまわず「じゃあねー、このどうぶつはなんでしょーか?」得意げに第2問。「いやいやいや、わかんないって!」「んふー♪こたえは…ライオンでした♪」と鼻高々のAちゃんに完敗のごまでした。

 おとなからすると、無茶苦茶なクイズですが、Aちゃんが3歳児だと考えると「いかにも3歳児」らしい姿です。

 自分と他人の境界がまだまだあいまいで、自分中心のものの見方をするのが3歳時期。きっと、Aちゃんの頭の中では草むらに隠れて長い鼻や立派なタテガミがチラチラ見えているぞうやライオンがはっきりイメージされているのでしょう。けれどAちゃんにははっきりイメージできているそのぞうやライオンが「ごまには見えない」ということが想像できないのです。

 3歳児の“自分中心”というのは、まさにこの他者視点や客観的視点というものが思いもよらない「ワタシの見ているものを相手も同じように見ているはず」という認識の世界です。

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